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鹿でもできるティラノスクリプトのApkビルド【不完全版】


はじめてのApkビルド

Windows対応のexe化はもちろんAndroid対応のApk化も簡単という触れ込みに惹かれ選択したノベルゲーツールのティラノスクリプト

コイカツスタジオ出力という著作権的に販売目的では世には出せない素材を使用したものの1本のゲームを完成させ公式チュートリアルを参考にApkビルドにチャレンジします。

Android Studioを使うのは初めてでUIとか使い方とか全く訳が分かりませんでしたが、公式チュートリアルのやり方をなぞり何とかApk出力まで完了。
自作のゲームがAndroidで動いたのを見たときは感動しましたね。

それからしばらくはゲーム制作のペースは落ち、Apkビルドをすることもなく時は流れていきます。

久々のApkビルドで…

そこから紆余曲折があり、今度はBlenderを使用し販売目的でも問題なく公開できるCGで1本のゲームを完成させます。その辺については前回の記事に。

DLsiteで公開することを見据えたノベルゲーを完成させ久しぶりにApkビルドをしようとAndroid Studio(公式チュートリアルと同じVer3.5.3)を立ち上げますが…まずエミュレータがグレーアウトして起動できません。

通常ならここからADV Managerを呼び出せるはずなのにそれも出来ず

Welcome to Android Studio画面に戻りAVD Managerでデバイスを追加しても上のグレーアウトした状態のまま

いろいろ調べてみますが出てくる情報は英語だったりガチ開発者向けのそれ何語?的なものばかりで理解不能。まぁ別にPC上で確認しなくてもApkを吐き出して実機でテストでいいや、と開き直りApkビルドをしようとしますがビルドするメニューがありません。
あれ?確か前ビルドしたときはここのメニューから実行したような…

OneNoteに残していたメモ書きのスクショでは
Build Bundle(s) / APK(s) Generate Singed Bndle / APK…
という2つのApkビルドメニューが確かに存在していました。

再び検索したりリートン(AIエージェント)に聞いたりして何とか解決策を探りますがやっぱり出てくる情報はほとんど理解不能。元々イマイチ理解していないAndroid Studioでのトラブル。全く事態は好転せず無駄に時間だけが溶けていきます。
そもそもそれなりに存在するはずのティラノユーザーからこの手の話が全く聞こえてこないってことは多分自分以外こんなわけのわからないトラブルには巻き込まれず問題なくApkビルドできてるってことなんでしょうか?
あれ?またオレ何かやっちゃいました?なの?
というか上で挙げたティラノ公式のチュートリアル、もう4年以上前のものでかなり古い情報なんですよね。本体の更新は活発に行なっているようですができればスマホアプリ化の最新情報も提供して欲しいですね。

こんな感じでしたのでDLsiteに公開した第一作目は結局Windows版のみのリリースとなりました。本当はApk同梱したかったのですが無念。

このままティラノで開発を続けるべきか?

ティラノに決めた最大の理由と言っても過言ではないApkビルド可能という謳い文句ですが私のようなバカには簡単じゃない。ティラノを選んでからしばらく経っているので情勢は変わっているかもということで改めて他のノベルゲームツールの情報を集めてみます。しかしApk化できそうなツールはいくつかあったものの、ワンクリックで簡単Apkビルド的なものは見つかるわけもなく、軽く流し読みした限りではどれも面倒そうだったり仮実装だったり。というかそれなりに覚えたティラノスクリプトでの開発ノウハウを捨て新しいノベルツールに乗り換えるのにも躊躇があります。
ただでさえ覚えが悪い上にまだまだBlenderでやろうと思っていること、覚えなくてはいけないことも山積み。限りある少ない時間の中でそんなに脳のリソースは割けません。

この問題は先送りにして第二作目の制作に注力します。二作目はゲームではなくスマホ+VRゴーグルで観る立体視コンテンツ(静止画&動画)。
実は第二作目が(ノベル)ゲームではなかったのはスマホ+VR立体視のコンテンツを作りたいという思い以外にこういったティラノスクリプトを使い続けるかどうか悩んでいたという裏事情があったのでした。

鹿でもできるティラノスクリプトのApkビルド

YouTubeしかのこのこのここしたんたんOPダンスのVR動画を上げてますのでよろしければご視聴ください。スマホ+VRゴーグル+YouTubeアプリで見れば立体視でご覧いただけます。

とまぁ宣伝はさておき、問題はティラノスクリプトで作ったゲームのApkビルド。おま環を疑ってメインPC以外にAndroid Studioをインストールしてみたりしましたが全く駄目。しかし別方向から打開策が見えてきました。

ティラノスクリプトはHTML5で動作可能なのでブラウザアプリとしても公開可能。言い換えればWebサイトとして公開できるということです。
そしてWebサイトをAndroid アプリ(apk ファイル)に変換してくれるWindowsソフト Website 2 APK Builder (以後W2AB)を見つけます。
無料版ではいくつか機能制限はあるものの基本的なビルドは問題なしとのこと。そんなに簡単にできるんかいな、と半信半疑でしたがあっさりApk化完了。さすがにワンクリックで…というわけにはいきませんがAndroid Studioで脱出不能の泥沼にハマっている私からするとまさに鹿でもできるレベルの簡単さです。

私でも理解できるほど簡単なので説明不要な気がしますが一応手順です。
ティラノスクリプトのプロジェクトフォルダ自体がそのままWebサイト形式だと思われるので不要な作業かも知れませんが、一応ティラノスタジオでブラウザゲームとしてエクスポートすることにします。こちらも意味は無い過程かと思われますが念の為64bitとかファイルを隠蔽とかにチェックを入れてエクスポートを実行します。

日本語等の全角文字をファイル名に使用すると実行時フリーズするので半角文字を使用すること

エクスポートが完了したらフォルダを確認するか問われますのでOKをクリックし出力した場所(フォルダ)を確認しておきます。

ティラノスタジオでのエクスポート

W2ABをインストール&起動します。

Javaランタイムが必要らしいですが私はAndroid Studioでのゴタゴタで既にインストールしていたのでそのまま起動できました。必要に応じてインストールしてみてください

赤青の三角が付いている項目は無料版では設定不可な項目なのでそれ以外を設定します。

基本的な設定項目をいくつかピックアップしておきます

Website type to Convert
  Local HTML Website の方にチェック
App Title:適当に
App Orientation:アプリのデフォルトの向き
Output Directory:Apkの出力先
Change Icon:アイコンの変更。正方形の画像を用意する
Customize App:アプリの権限のカスタマイズ。アプリをインストールし起動したときによく出てくるアレ。ゲームアプリなら基本的に下のような感じでいいと思われる

Directory of Local Local Website:先ほど出力したフォルダ(index.htmlがあるフォルダ)を指定
Splash Preview:
起動画面。表示時間やお好みの画像を設定できる。ただし1280 x 2400 ピクセル以下の画像にすること
Extras:いろいろ並んでいるが Full Screen にチェックするくらい。他は各自お好みで

Fileメニューから現在のプロジェクトを保存し Build Android APK をクリック。ネット経由でビルドするからそのまま待機!的なダイアログが出るのでOKをクリック。しばらく待つと下のようなダイアログになるのでFinish!をクリック。指定したフォルダにApkファイルが作成されています。

このAPKファイルをAndroid実機に転送しインストール。野良Apkと同じ扱いなのでインストールできるように設定してやらなければいけません。

そう言えば以前Xでこんなことを呟いたことがありますが、問題なく[bgmovie]タグでのループ動画再生できています。

手持ちの各種Android端末にインストールしてみましたがどれも問題なく動作。こちらのサイトでApkを分析したところ恐らくAndroid 5.0(Lollipop)以上で動作すると思われます。何故か起動しスプラッシュ画面が表示された後ワンタッチしないとゲームは始まりませんが。
これで散々悩まされたティラノスクリプトのApk化問題も解決…となるほど世の中甘くはありませんでした。このW2AB無料版でのApk化には様々な問題が潜んでいます。

W2AB無料版での問題点

私が参考にしたW2ABについて日本語で詳しく解説している記事がこちら。

非常に有益な記事ですが残念ながら無料版でできること(していいこと)の説明や各エディションの比較記事はありませんでした。よってここから先は英語が得意ではない私が機械翻訳に頼って調べたことになるので間違っていることがあるかも知れません。英語とアプリ開発に詳しい人のフォロー待ってます。

まずはこちらの各エディションの比較を御覧ください。4つのエディションが存在しています。買い切り版は存在せず基本サブスクのみです。

買い切り版があれば趣味使いだとしてもある程度は出してもいいのですが、サブスクだとかなり躊躇します。そりゃ1作品が千本・万本クラス売れるようなつよつよサークルなら年139$なんて端金かも知れませんがウチのような弱小サークルにとっては現状だと年10本リリースしたとしても多分赤字です。言ってて情けないですが…
自ずと選択肢は無料版しかなくなるわけですが、この無料版で出力したものを販売していいのかという問題があります。

とりあえず機械翻訳に頼りつつも公式サイト内を調べてみますが明確な答えは発見できませんでした。有料版に明記してあるAdMob Monetization(AdMob収益化)がそれに当たるのかと一瞬思いましたが、こちらはどうやらアプリ内広告での収益化ということらしいので、アプリ自体を商用利用するというのとはちょっとニュアンスが違う気がします。

ひとまず商用利用の件は置いといて無料版のその他の問題に触れてみます。

1端末に1つしかインストールできない

2つのゲームをティラノで作ったとします。それぞれW2ABでApkビルドし端末にインストールしようとしてもこの2つは同一アプリとみなされてしまい片方しか存在を許されません。最初はパッケージ名(W2ABの設定のApp Titleとは別物)を変更すればこの制約を突破できると思いApkRenamerというソフトでパッケージ名を変更しましたが改善されず。いろいろ調べたところパッケージ名とアプリケーションIDというものが存在し、アプリの個別判定しているのはアプリケーションIDらしいということが判明します。ただややこしいのはパッケージ名とアプリケーションIDを同じにしているケースが多いということ。確信は持てませんが恐らくW2ABにおいては設定の Package Name がアプリケーションIDのことで、有料版でこちらを変更することによって複数のApkを同一端末にインストールできるようになると思われます。

100Mの容量制限がある

私がApkビルドしたゲームは全て100M以下でしたので問題ありませんでしたが規模の大きいゲームを作ろうとしたら厳しいかも知れません。
ただこの辺は画像・動画・音声ファイルをギリギリまで圧縮することである程度は回避可能でしょう。

キーストアの作成ができない

キーストアとは簡単に言うと自分がアプリを作ったという証明書というか鍵みたいなものでGoogle Playにアプリを登録するのに必須のものです。
ただしR-18コンテンツは元々登録できないし、DLsiteでApkファイルを直接配布するような場合には不要のものですので今回の私のケースでは特に問題ではありません。

現状こんな感じでしょうか。
私の状況からして容量制限とキーストアはまだ対処可能なのですが、1端末に1つしかインストールできないのと、そもそも無料版の商用利用の是非が不透明のままというのはかなり辛いところです。ティラノで作ったノベルゲーがお手軽にApk化できると喜んだのも束の間、結局DLsiteでのApkリリースは難しい状態です。

結局どうするの?

ティラノでの制作物のApk化については結構な時間をかけていろいろ調べ実行したにも関わらず大した進展は見られませんでした。まさに無駄骨。
正直この件についてはもう考えたくもありません。疲れ果てました。未だに訳が分からないAndroid Studioですが腰を据えて勉強する気にもなりません。できれば一生触りたくないほどです。
かと言ってノベルゲーとスマホは相性がいいと思うのでノベルゲーのApkビルドは諦めきれません。

現在私は3DCGでコンテンツを制作しています。将来的には3DCGをプリレンダリングしたものを使うのではなくリアルタイムレンダリングの作品を作りたいという思いがあります。簡単ではないでしょうが。
Apkビルドの泥沼にハマっていた私ですが、その一方少しずつUnityの勉強を開始していました。現状初心者・子供向けの教材と格闘している状態ですが、サンプルファイルを試しにApkビルドしてみました。

何これ……めっちゃ簡単やん

ティラノ+Android Studioその他で散々泥沼にハマっていたのをあざ笑うかのような簡単さ。マジで今までの苦労は何だったんだろうって感じです。もちろんW2AB無料版のような致命的な問題も(現状では)ありません。

勝手な思い込みでUnityでノベルゲーを作るのは難しいという先入観がありましたが、よく調べてみるとそれ系のチュートリアルは結構見つかりましたし有料ですがなどノベルゲーム用アセットも充実しています。先に述べた3DCGでの将来的なことも考えるとUnityに乗り換えるのが正解じゃないのかという気に現在なっています。

もちろんUnityの学習も簡単ではないでしょうがAndroid Studioの使い方や設定で不毛に悩んでいるよりは遥かにマシでしょうし少し頑張ってみようかと思っています。ってことで三作目のリリースは当分先になりそうです。

#AndroidStudio #ティラノスクリプト #Unity #しかのこのこのここしたんたん


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