見出し画像

分割キーボードのテンティングと一体型パームレストにたどり着いた話

分割キーボードのパームレスト探し

私は自作キーボード、特に左右分割型をメイン機として使っている。Corne Cherry、Lilly58、ErgotonicF24他、そして自身で設計のErgo The Endである。これら左右分割キーボードを使い始めると同時に感じたのが…

パームレストが欲しくなる…!

という感覚である。

自作キーボードに触れるまでは、基本的にノートPCユーザーであったこと、デスクも狭いということもあり、正直あまりパームレストの使用機会がなかった。
もともとキーの高さが低いことに加え、PCの筐体に掌を乗せるような形をとるため、パームレストがなくても打鍵にそこまで支障がない。
(本当は色々あるが

しかしながら、上述、私の手にした自作キーボードたちは、ボトムプレート(キーボーの底)からキートップまでの高さが概ね、25mm~30mm程度である(キーキャップは標準的なMXプロファイルとした場合)。ノートPCのそれより高い。

具体的な弊害としては、掌をテーブルに着けた状態だと、一番奥の列のキー打鍵が若干窮屈に感じる点である。
デスク環境や個人差の部分も大きいと思うが、長時間打鍵していると、やはり手首の屈曲した部分に対して、疲労を感じてしまう

さらに、巷で投稿されてる写真を見ても、自作キーボードとパームレストの組み合わせが多く感じる。左右割型であれば、パームレスト自体も左右分割されているものが使われていたり。

単純ににコーディネートが、カッコイイよいよ、これ…!!!

機能とコーディネートを求める、パームレスト沼を垣間見つつ(笑)、試行錯誤を開始した。

まずは高さを突き詰めていった。
筐体に合わせた高さがいいのか、あるいは若干高め、低めがいいのか・・・試行錯誤のためにメモ帳をあてがってみて、ページをめくりながら高さ調整をして使ってみた
大体、トッププレートまでと同じ高さがしっくりときた。

次の要素としてはである。
パームレストというくらいなので、ホームポジションに指を置いたときに手のひら全体がカバーされている幅をひとつの目安とした。

試行錯誤しながら、色々なものをパームレストにしてみたり、ちょっと遊んだりもした笑

カロリーメイトは滑るし、ちょっと座高が高め・・・
見た目は最高に好き(笑) 4本入りはなお良い…

何となく好みのサイズ感がわかったので、カロリーメイトを卒業して笑
マルトクショップ(木材加工の通販サイト)で、ウォルナット材を発注することにした。
パームレストをキーボードの筐体に密着させて、手のひらまでカバーできるぐらいの幅を想定してカットしてもらった。

実際べスポジとしてしっくりきたのは、筐体とパームレストの間に少し隙間を作って配置、手のひらから手首の付け根までが若干カバーされる状態であった。

青丸の箇所に隙間ができるぐらいに手前に配置したい
(旧在宅環境の狭デスクのため、左手側に若干限界が見えるが・・・)

さらには椅子のひじ掛けとの関係性も重要だった。
パームレスト~リスト(付け根)レスト+椅子のひじ掛けで、手のひらからひじまでを一直線に支えている状態が、個人的にもっとも疲労感なく、安定して打鍵できる姿勢だと感じた。

個人的に休憩以外のひじ掛けの使い方を知ったと言っても過言ではない(過言

サイズ感に関しては個人的な理想形が見えてきたところで…

あとは、まあ・・・カッコ良くないとね!


キーボードの筐体幅と同じぐらいの面積で常に視界に入るし、デスクも占有するので、実は「見た目」は重要な要素である。

無垢板パームレストは気に入っていた。
一方で、手持ちのスケスケキーボード笑に合わせるパームレストや、夏場も手のひらに張り付かず、快適なパームレストもほしい。
ついでに一体型用もほしくなったので、これはもう、幾つあってもいいやつだと悟った笑

次の瞬間には100円ショップに足を運んでいた。
キリン舎さんのアクリルリストレストの記事に感化されたということもあった。

実はマルトクショップ以降、ほぼすべて100円ショップで何とかしてしまった。
使いながらベストな構成を検証するには手軽が1番…と思って始めたが、実際ほとんど普段使いレベル。

特にキリン舎さんの投稿を参考にさせて頂いた、アクリルプレートをサンドしたパームレストがよかった。
間にブリキ板やら包装紙を閉じ込めて、色々と量産してしまった。

分割型以外のパームレストも作ってみたり・・・これで200円也・・・(笑)

ミニ畳は見た目もよく、夏場は蒸れにくくてよかったり


テンティングはとてもよかった

分割キーボード使いとして、やってみたかったことがもう一つ、テンティング、及びチルトである。
そもそもテンティングとは、自然な手首の角度で打鍵するためのアプローチの一つであると理解している。
例えば、Kinesissdactyl、Charybdis、ように筐体自体を3D形状にするようなアプローチも一つである。
それらに比べれば、手軽に取り組める。
分割キーボードのチルト・テント用のケースの自作例もいくつかあるようだ。
理想の書斎づくりさんや、かみだいさん投稿のカメラ三脚を活用したテンティングギアが刺ささった。
少し前に投稿されていたHanachさんの100円スマホスタンドでのテンティングを参考に、お手軽(とはいうものの結構機能的だった!)な検証から始めた。

しばらく使ってみたが、結論テンティング・チルトは良かった…!少なくとも自分にとってはパームレストと共に快適な打鍵のラストワンマイルを埋めてくれた。
特に左右の内側のキーと上段のキーが無理なく指が届くようになったと感じる。
また長時間になるほど、手首に無理がないという感覚がはっきりと体感できた。
机と並行のキーボードに対しては、多少手首を内旋する力が掛かっていたものと思われる。
表現が難しいが、脱力してまっすぐすっと腕を伸ばすと、変なひねりがなく自然にホームポジションに手が添えられる感じである。

テンティングするだけでコクピット感が増す
パームレスト同様見た目も重要
キーボードに合わせてパームレストも同様のテンティングさせた

最終的には、肘(アームレスト)を支点に弧を描くように、左右展開するようなデスク配置となった。
肘を支点とすると、外側のキーボードに対してはハの字、内側のキーボードは逆ハの字に手を添える形がしっくりくるという状態である。

唯一のマイナス面は位置決めが非常に面倒である点であろうか。
ただでさえ分割キーボードであり、パームレストにもテント確度をつけているのである。
外出時に持ち運んだり、机の上を片づけたりして、配置がリセットされると
べスポジで配置し直すのに結構、心が折れる・・・。

テンティングの良さは十分に体感できた、少なくとも自分には合っていたので、位置決めストレスなく、かつ、ある程度の自由度を持たせた構成を考えることにした。

鶴翼の陣。左右のキーボード位置、確度、パームレスト位置、確度と位置決めが大変で動かしたくない・・・(笑)

一体型パームレストの構造と可変機構の検討

前述のカメラ三脚は非常に自由度の高いテンティングを可能にするだろう。携帯性にも優れている。
ただし、今回はパームレストを含めて位置決めできることを大目的とした。
ある程度の自由度があり、位置決め(一体化)ができるというコンセプトに関しては、
強くインスパイアされた作品が2つある。
一体型の構造は、サリチル酸さんのErgoArrows
可変機構はオタヒーのサメさん、k2さん、e3w2qさんのPangea
である。

まずは一体型構造に関して具体的に説明したい。
私の所有する分割キーボードはサンドイッチケース構造となっており、上から、スイッチが固定されているトッププレート、基板、ボトムプレートとなっており、これらの各プレートにスペーサーを通して固定している。

この中で、筐体の底面に当たるボトムプレートを手前方向に延長し、その上にパームレストを固定する方式を採用したいと思った。
こちらは上述のErgoArrowsの一体型パームレスト構造を参考にさせていただいた。

次に分割キーボードのパームレスト探しで記載したような、個人的べスポジの追求である。

完全にパームレストを固定してしまうと、筐体から少し離した位置取りが難しくなると考えた。
そこで、固定を保持しつつ、パームレストを可変させられる機構が採用できると良いとかんがえた。
磁石方式やプレートの間にアームのようなものを仕込むことも検討したが、強度や実用性の面で懸念があった。
結論として、延長したボトムプレートとパームレストのねじ止め箇所にスリットを入れガイドてレールとし、ネジ止め箇所を起点にガイドレース上を移動できるようにした。
これは、上記Pangeaキーボードで各クラスターの位置を調整する機構を参考にさせていただいた。

一体型可変アクリル積層パームレスト爆誕!

パームレストのイメージが固まったのでKiCadで図面を引いていく。
筐体の手前が若干複雑な形状となっているため、若干斜め外側に引き出すような、可変機構にする必要があった。

KiCad上で可変部分をグリグリ動かしてみながら、干渉しないスリットを引いていく
ネジ径とスリット幅を合わせて

結果、ガイドレールのスリットは「」の漢字っぽくなった(笑)

スチレンボードでモックアップを作り、取り付けてみたが、可変機構含め問題なさそう。この時点で結構実用に耐えるという…

最後に、大事な見た目に関しては、甲板やフライトユニットのようなニュアンスを出したかったので、キープアウトエリアを利用して縞鋼板のパターンを入れてみた。

JLCPCBさんに発注。なかなか良い質感に仕上がった!

爆誕!!(笑)

The Endシリーズ専用のパームレストであることパームレストを含めた底知れぬ沼を体現する意味で、EndlessとPalmrestをかけて、「Endrest」と命名。

Endrest爆誕…笑

ついでにキャンペーン中であったElecrow社でアクリルVerも発注。
中空のプレートを積層して、ナニカを閉じ込められるようにした笑
これは前述のキリン舎さんのアクリルパームレストの再現である。

というわけで、分割キーボードを使い始めてから、テンティングと一体型パームレストにたどり着いた話であった。

それでは良き、自キ活を!
(この記事はEndrestを取り付けたThe End Customを使って作成しました)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?