アオジタトカゲの雌雄判別について
アオジタトカゲは雌雄判別が難しいと言われているし、実際そうだと思います。僕も最初は全然わかりませんでした。
どれくらいわからなかったかというと、初めて飼った1匹目がメスなのにオスだと信じて「源次郎(爆)」と名付けちゃったくらいです。
今は見るべきところがわかるようになって、ヤングアダルト以降の個体なら大体の雌雄判別できるようになりましたが、そうなるまで割と時間がかかりました。
ということで。
”経験とかそういうの無しに客観的に評価できるスコア"とか、"なんとなくわかる、の精度をより上げてくれる基準"とかないんかなー、と思って今回調べたところ一応あるはあるようなので今回ご紹介します。
Australian VETERINARY JOURNAL から。獣医さんのジャーナルですね。
題名は
Sex identification in the eastern blue- tongued lizard(Tiliqua scincoides White,ex Shaw,1790)using morphometrics
CA Phillips, JB Roffey, E Hall and RSP Johnason らの論文。
筆者はオーストラリアの獣医さん達で、治療のためにヒガシアオジタトカゲ69匹を用いて非侵襲的な雌雄判別技術を確立するために書かれたもの、だそうです。
読んでみた結果としては、上の圧倒的画力を誇る図が全て。
H:頭部の一番広いとこの幅
SVL:鼻先から総排泄孔まで
T:体幹
あと体重。
これらを測って、HをSVLで割ったH/SVL %、HをTで割ったH/T %を算出。
これらを解析して出た結果としては、最も有効な雌雄判別の数値として
H/SVL %が最も使えることが判明。
その数値としては
メス13.20-13.94 オス15.35-15.99 (95%信頼区間)
これが1 %上がると25.89倍オスの可能性が高まるようです。ちなみにH/T %は10.62倍で、これも有用ですね。Hのみだと1.237倍。他はちょっと使えんレベル。
よく頭の幅とか言われますけどそこだけ切り取ってみても有用性はやっぱり薄いみたい。だって1.237倍だもんね。他はそれ以下。
結果としてはこれが最もでかい情報なんですが、個人的に気になったことを何個か。
サブアダルトのオスはHが24-32mm、メスは31−38mmとアダルトとは逆の傾向を示すこと。これは意外に思えるけど、結局SVL%を計算すれば結局上と同じような値になります。雌雄揃えたい時にサブアダルトから育てて〜なんて考えてる方は頭の幅だけで選ばんようにしましょう。
もう一つは結局、これヒガシアオジタトカゲだけでやってるからキタアオジタとかオオアオジタとかはどうなの?って思いませんか?
本当におまけ程度になりますが、一応論文内ではマツカサトカゲとマダラアオジタに関しても計測してまして、マツカサではH/SVL%は微妙だったがH/T%は使える、マダラアオジタに関してはH/SVL%は全然使えるといった結果でした。
結論としてはTiliqua属だったらまずH/SVL%を計算してみて、微妙だったらH/T%を使えば大体の雌雄判別は可能そうですね。
最後にうちのアオジタトカゲ達の計測も雑にしてみました。
Tiliqua.gigas.gigas ♂ Adult H:45mm SVL:310mm H/SVL%:14.5%
Tiliqua.gigas,gigas ♀ Adult H:40mm SVL:290mm H/SVL%:13.8%
Tiliqua.scincoides.SP ♂ Adult H:40mm SVL:270mm H/SVL%:14.8%
今回はT測ってないのでH/T%出せてないですが、時間があったら測ってみたいと思います。
それでは皆さん、良いアオジタライフを!
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