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2020.01.18 夏みかんマーマレード①

マーマレードアワードの本命は今年も夏みかん。

いや知らんがな、という方は昨年の記事↓をご参照ください。マーマレードアワードについての細かい説明も今回は省かせていただきますので。

『2019.03.31 夏みかんマーマレード①』
https://note.com/uncountable/n/nc26926305967

昨年同様、材料は「実家の庭」の夏みかん。正月の帰省時に収穫してきた。なんの世話もされてなくても健気に毎年同じくらい実をつけるけど、天候によって質が変わったり、収穫時期によっても状態が違う。だから昨年とまったく同じレシピならまったく同じような仕上がりになる、というわけでもないのが、ジャムづくりの難しくも面白いところ。

そもそも、今年はレシピをかなりいじくるつもりだ。昨年は昨年で美味しいマーマレードを作ったという自信があるし、実際に銀賞の評価をいただいた。それでも課題は多く、しかし既存レシピの微調整だけでは解決できなさそうな気もしているので、あまり経緯にこだわらず抜本的に見直したい。

昨年の審査員コメントから、主な課題は以下の通り。
・皮が固い
・皮が多い
これだけ見ると不味そうだな。いや風味は良いし薄切りの皮がきれいとも書かれてたんだよ。でも正直なところ皮が固いのは作ってるときから自覚があって、薄くしたのは食感をなんとかするためでもある。

一方の皮が多いのはなんというか、昨年時点では僕の中に「マーマレードに対する美意識」が少なく、これはこれでアリ、みたいな傲慢さがあったのは間違いない。しかしこの一年、いろんなマーマレードを見たり食べたりすることで、目指すべきものと、そこへ至る道筋が見えてきた。それを如何に具体化するかが今年の目標になる。

そういえば、年末に作ったはるか(?)マーマレードは、なんの柑橘だかよくわからないのを良いことに、とりあえず夏みかんの練習がてらのレシピとしたのだった。
https://note.com/uncountable/n/n02bf91baff1c
・皮が固いことへの対策としてルクルーゼの重い蓋をして下茹で
・見た目をよりクリアに美しくするために、果肉をサラシで搾る
結果はどちらも上々だったので、今回これをベースに進めていくことにする。

さて、今回の夏みかんはさらに、皮の割合の問題に取り組みたい。昨年の審査で指摘のあった「皮が多い」とはつまり、美しいマーマレードは「ジュレ部分」が美しいという、マーマレード界に共有される美的感覚による判断だ。美しいジュレの中にバランスよく皮が浮いているのが、良いマーマレード。僕のマーマレードにはそれが無かった。インスタのジャム界隈なんか見てると、まさに!というマーマレードを散見するのだけど、具体的にどうすればいいかのレシピまではわからない(たいていプロなので仕方ない)ので、レシピ本なんかも参考にしつつ、方針を固めていく。

とりあえず、ジュレに対する皮が多いのだから、考えられる方向性は「水分を増やす」か「皮を減らす」のどちらか、または両方だ。

皮を減らすのはシンプルというか、まぁ当然のような対応で、なんなら今まで通りのレシピで作って、瓶詰めの時に皮を少なめに入れれば良い。残った皮はスタッフが美味しく頂けば良い。あるいは煮る際にはじめから皮を減らしても良いが、この場合は残りの皮を捨てることになり後ろめたい。

水分を増やすのは、煮る時に水を足すだけの話ではあるものの、それがちゃんとジュレ状に固まるのか、わりと不安。じつは昨年のレシピは「皮以外の部分」がかなりゆるめの仕上がりで、とても「ジュレ状」とは言えない。なので、さっき書いた「瓶詰めの際に皮を少なめに入れる」をやってもダメなんである。

ここまで考えて、解決すべき課題は明確になった。すなわち「ちゃんと固まるジュレを作る」である。

要はペクチンだ。果実から如何にペクチンを取り出すか。経験的には夏みかんは皮だけそのまま煮てもあまり固く仕上がらず、他方レモンなんかは少し煮詰めるだけでガチガチになってしまう。夏みかんでも種や薄皮を煮出すとヌルヌルとしたペクチン多そうな煮汁ができる。

というわけで例のはるかマーマレードのレシピをベースにしつつ、いくつか変更を加えたレシピで。

①夏みかんは8等分のくし切りにして外皮と房に分ける

②外皮は2mm厚に刻み、たっぷりの水で鍋に蓋をして茹でる

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③夏みかんの房はざっくり刻んでサラシで搾る

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④レモンの果汁を搾る(夏みかん2個に対してレモン半個)

⑤夏みかんとレモンの搾りカスを200mlの水で煮出す

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⑥煮出した汁をまたサラシで搾る

⑦夏みかんの茹でこぼした外皮、搾った果汁、煮出した汁を合わせて計量

⑧全て鍋に入れて火にかける(ここで砂糖を入れない)

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⑨5分ほどグツグツ煮たら砂糖(⑦の50%)を加え、さらに煮ること10分

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えっ完璧じゃん?

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ジュレが良い具合に固まってる。外皮も柔らかくなっていて、食感が良い。やはり「はじめは砂糖を加えずに煮る」ほうが良さそう。煮物と一緒か。

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いや、完璧じゃんとか調子に乗ってみたけど、まだいろいろ課題がある。まず、見た目、皮がまだ多い。ジュレ部分を増やそうと思ったら水を足すことになるけど、それでペクチン濃度が下がった時にちゃんと固まるだろうか。あるいは、それこそ瓶に詰める皮を減らせばいいのか。

それから、味としては苦味がもう少しハッキリとしたほうが好み。茹でこぼしを無くすか、それだと皮が固くなりそうなので茹でこぼした汁で搾りカスを煮出すか。それで砂糖を60%に増やせば味のバランスも取れてトロみも出せるだろうか。


ところで、今年のマーマレードアワードの作品募集は昨年より半月ほど前倒しのスケジュールとなっており、2月中旬に受付開始、3月末が締め切りとなっている。早めたのは、昨年の実績、すなわち想定を大きく上回った応募数を鑑みてのことだろう。それでも1月から準備を始めるのは(昨年の2週間で作った感覚からすると)少し尚早な感もあるが、これにはワケが。

コレ↓に参加申し込みをしたんである。
http://marmalade-festival.jp/newstopics/4911.html
なんと、大会審査員であるダン・レパード氏(英国本国大会でも審査員)によるマーマレードレッスンだ。3216円だ。平日の昼間だが、当然のように有給を取った。

レッスン自体がかなり楽しみだが、なんと自作品を持っていけばテイスティングしてくれるというので、急遽作ることにした。というのが、1月のうちから試作する理由。レッスン受けてから作ってもいいかもしれないけど、せっかくだからね。

ということで、今回の反省を踏まえてレッスンまでにもう一回試作して、どちらか上手くできた方を持っていこう。

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