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2020.07.02/2020.07.05 あんずジャム①

あんずが不作!大凶作!

という話を昨年もしてた↓

一昨年はそうでもなかったと思うけど、3年前もやっぱり不作だった。

あんずの大規模な生産地はごく限られていて、長野県と青森県で98%を占める。特に長野県千曲市はあんずの里としてあんずをゴリ推ししているし、家の近所のスーパーで買ってもだいたい千曲産のあんずに当たる。だからそれらの地域で天候不順があると、致命的にあんずの出荷量が減ってしまう。

その千曲で今年は、というか今年も、花の時期に気温が下がって霜が下りてしまい、大打撃を受けたらしい。

そして今年は特に酷かったのでは。こっちの店頭には一切並ばなかったような…。昨年までは不作とはいえ少しくらい、信州大実とかハーコットとかが出てたような気がするけど。SNSなんか見る限り、プロでも手に入りにくい状態みたい。

春先に冷え込んで嫌な予感はしていたので情報収集は欠かさず、不作の予測は事前に知っていた。しかし実際にどの程度店頭に並ぶかまではわからない。さらに、いつも千曲産あんずを購入している都内マルシェも、今年は新型コロナでどうなるか不透明なので、本当ならモノを見て買いたいところではあるが、あきらめて通販で予約購入。そして通販も次があるかどうかわからないので、3kg。これだけあればとりあえずじゅうぶん、今年もあんずをじゅうぶん煮たという感触を得られる程度にはじゅうぶんな量。

結果的に、店頭に全く出てこなかったし、通販は早々に売り切れてやはり次は無かったので正解だった。


あんずを通販で買うとき、収穫量や配送時期などが確定できないために品種指定できないことが多い。今回もそうだったんだけど、届いたあんずは信州大実っぽい。でかいし。なんか小さいのも混じってるけど、信州大実ということにする。

ワケあり家庭用を頼んだので、キズあり、いたみあり。ジャムにするのにほとんど問題はないけど、そういえばあんずには「きれいでかわいいあんずを愛でる愉しみ」もあるのを忘れてた。もちろんきれいなあんずはお値段がそこそこ違うし、今年は送料もかかるからケチってワケありを購入したのだけど、ちょっと後悔。なんなら両方買えばよかった。


あんずジャムのレシピといえば「本気めんどくさ仕込み」があるが、昨年いろいろやってみて結果的にパッとしなかった(設備その他に限界を感じた)ので、今年はもうやらない。めんどくさいので。

そのかわり、と言ってはなんだが、今回は「冷凍の影響」について検証したい。

ご存知のとおりあんずは旬が非常に短く、かつ日持ちしないので、たくさん買ってたくさん煮るあんず祭りにならざるを得ないという問題がある。しがない会社員にとってはけっこうしんどい場合もある。

そこで冷凍。冷凍が可能なら、たくさん買ってたくさん冷凍してゆっくり煮ればいい、ということになる。いや、冷凍は可能だとは思うけど、冷凍&解凍によってジャムの仕上がりにどの程度の影響があるのか具体的な情報がないので、実験して確かめてみるしかない。

本気めんどくさ仕込みの検証でも同じことやったけど、できるだけ条件を揃えるためにひとつのあんずを2つに割って、一方を鍋に、もう一方はフリーザーバッグに入れて冷凍庫へ。

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煮るにあたっては2つ割りのままでもいいのだけど、皮が結局残ることになるので個人的な好みはちょっと小さめに8等分までカット。重さを量ってその40%の砂糖に浸漬。たまに混ぜながら水分が出てくるのを待つ。

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今年はあんずも「シロップ後入れ」で。とはいえ果肉だけでは火にかけられないので、シロップと果肉に分けるというよりは、果肉をおたまで掬って鍋に移す感じで、ある程度はじめから鍋にシロップが入るようにする。

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で、火にかける。

沸騰したら出てきた灰汁を取りつつ、適当なところで鍋に蓋をして弱火で10分。鍋に蓋をすると仕上がりが滑らかになる、ような気がする。火加減に気をつけないとすぐに吹きこぼれるのが難点。

蓋を取って煮詰めていく。残ったシロップを2回に分けて入れる。シロップ後入れでは毎度のことだが、水分が常に少ない状態なのでけっこうしっかりかき混ぜないと焦げそう。

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なかなかきれいにできたのでは。

仕上がりの色の決め手は結局のところ追熟の管理で、未熟で青みが残る実を使っても、傷んで一部が茶色くなった実を使っても、鮮やかな色が出ない。今回は届いた時点でよく熟しているものをピックアップしたので、熟度としてはかなり良好、それが仕上がりの美しさを決定づけている。


で、冷凍したほう。

全く同じレシピで。と思ったのだけど、いろいろ問題が。

まず、冷凍した状態のあんずに40%の砂糖を加えて解凍を待つが、なかなか溶けない。

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1時間や2時間ではまったく溶けない。で、仕方なく一晩寝かせた(自分を)ところ、めっちゃグズグズになってた。

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ただ、皮が一部褐変してしまっている。一晩放置したせいかなあ。完全に溶けるまで待たずに、ある程度のところで煮はじめてしまう(この場合はシロップ後入れは難しいが)ほうが色の面では良いかもしれない。いずれにしても、茶色い皮はそのままでは仕上がりの見た目を悪くするので、鍋の中でできるだけ取り除く。

あと、灰汁が取りにくい。シロップ中に泡が移動してしまっているようで、鍋にシロップ後入れするとそのたびに灰汁が浮いてくる。その時点でそこそこ煮詰まって粘度が高いので、泡を掬いにくい。冷凍しないで煮た前回は、はじめの果肉だけを煮たときにひとしきり灰汁が出て、後からシロップを加えたときにはそれほどだったんだけど。まあこれは冷凍のせい、というよりはシロップに浸かってる時間が長くなったせいだと思うので、褐変防止対策案と同じく完全な解凍を待たずに、且つシロップ後入れなどと調子づいてないで始めからぜんぶ一気に火にかけることで回避できそうではある。

とりあえず今回に関しては、やはり色は少し悪くなった。同じ材料を使って比較してるので間違いない。ただ、味は良い、ほぼ変わらない。むしろ余計な皮を除去してるぶん食感が滑らかになっているかもしれない。


結果として、基本的には冷凍あんずを使ったジャムでも、冷凍じゃないものに比べて遜色はない。少なくとも味については同じと言って良い。

仕上がりの色には多少影響する。ただし冷凍自体に問題があるというより冷凍することによる工程の変化が直接的な原因である可能性が高く、したがって対策のしようはありそうだ。

というわけで結論。

「あんずは冷凍でもいける!」


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