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2019.07.11 あんずジャム(信州大実)①

だいたい6月の下旬頃に平和が店頭に並ぶあたりからあんず祭は始まる。

が、今年はぜんぜん出てこない。

あんずのために6月のスケジュールを空けておいたのに、おかしい。仕方なく大石早生を煮たりする。

7月に入ってようやく並び始めたが、なんかちょっと高いし、これはたぶん…信州大実?平和はどこへ?

有事ということで近所のスーパーや八百屋で買っても良かったんだけど、あまりあちこちで買って何度も煮る時間的な余裕もないので、絶対外せない毎年恒例有楽町の交通会館マルシェへ。あんずの旬にあんずだけを売るお店があって、今年はどうですかみたいな話をしながら買う。で、今年は花の時期に霜が下りた影響で、大凶作らしい。って話を一昨年も聞いたような…。そして平和みたいなどちらかというと加工用の品種は、業務用優先になって小売市場には回ってこないんだろうな…。

あんずの生産地、といって真っ先に挙がるのが長野県の千曲市。このお店で売っているのも千曲のあんず。たぶんこれまで千曲の気候が栽培に適しているから名産として作られてきたんだろうけど、もしかして気候が少し変わりはじめていて、「適している」とも言い切れなくなりつつあるのでは…杞憂であればいいが。

まぁ僕にできるのは買うことだけだ。

「これ品種はなんですか?」
「信州大実。何に使うの?」
「ジャム」
「なら信州大実がいちばんいいよ!」
「ですよね!」

などと会話をしつつ、とりあえず、信州大実を2kgくらい買った。

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大実を名乗るだけあって実が大きい。

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あと、生あんずはうぶ毛がフワフワしてめっちゃかわいいし触り心地いいんだよ。

気持ちはすぐにでも煮たいが、すこし未熟なので、しばらくおいて追熟させる。と、ひとことで言うほど簡単ではない。基本的には室温に放っておくだけなんだけど、ちょっと目を離すと傷んで茶色くなってたり、と思ったら別の実はぜんぜんまだ緑っぽかったりするし。色みと、感触の柔らかさで「そろそろ良さそう」と判断したものは冷蔵庫に入れて、他が熟すのを待つ。

多少未熟で煮ても美味いジャムにはなる。ただ、明るいオレンジ色に仕上げたいところに、緑が少しでも混ざると色がくすんでしまう。だからできるだけきれいに追熟したい。プロはどうしてるんだろうなー。うまく熟したものから刻んで冷凍してしまえば良いのでは?と思ったりもしたが、今年は結局やらなかった。

さて、半分の1kgくらい追熟させたところで、1回目。

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縦にクルッと切り込みを入れて、手で捻って半割にする。ちなみにあんまり熟し過ぎてると潰れてしまってやりにくい。実が大きいので4分の1カットにする。

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果肉は煮ると崩れてしまうので、コンポートにするのでもなければ大きさにこだわる必要はない。刻み方の違いは、皮の残り具合と、砂糖に浸けたときの水分の出の具合(細かい方が表面積が増して水分が出やすい)が変わるくらい。お好みで。

信州大実は酸味が比較的マイルドなので(酸っぱいけど平和ほど鮮烈ではない)、砂糖は40%とする。全量を刻んだあんずにまぶして置いておく。

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3〜4時間でこんな感じに。すももと同じバラ科スモモ属ながら、すももほどジューシーではないため水分が出るのに時間がかかる。砂糖を半分でなく全量入れるのもそのため…かな、いや、すみませんそこはあんまり考えてなかった。別に半分でもよかった気がする。

鍋に移して火にかける。灰汁がたくさん出てくるので取る。

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ここで、先日マーマレードでやった例のアレをやってみる。そう、鍋に蓋をするのだ。まぁ、鍋に蓋をするだけなんだが、マーマレードではそれによっててきめんに外皮が柔らかく仕上がったことに調子づいて、あんずでやったら滑らかな食感になるんじゃないかとの期待を込めた。

ざっくり灰汁を取ったところで蓋をして弱火に。時間は適当に、とりあえず10分くらい。

と、ここで寝てた息子が起きる(いま午前2時)。で、なんと息子氏、鼻血!とりあえずティッシュ詰めて上むいてろ!あっ布団が汚れてる!早く洗わないとシミになる!血にはやっぱり過炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム過酸化水素化物)!きれいになった!洗濯は明日!息子氏は?寝てる!よし、続き!!

鍋を見に戻ると…ふっ!

ふきこぼれてるう!!!

というわけで盛大に吹きこぼれた。

とりあえずコンロを掃除するが、結構な量(集めたら100mlくらいにはなりそう)が鍋から噴き出していて、残念で仕方がない。

鍋の中は、うーん特に問題はなさそう。あんずは柔らかくなっているっぽい。

いちおう完成したし、なんか良さそうではあるけど、なんだかなぁ。

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吹きこぼす前提のレシピというわけにもいかないので、工程は改善していく必要がある。

基本的に灰汁の泡が多い方が吹きこぼれるリスクは上がる(と思う)ので、蓋をする前に灰汁は出来るだけ取り除いておく必要がある。あとは単純に、鍋から目を離さない。

あ、そういえば。

そう、あんずと言えば「本気めんどくさ仕込み」つまりオーブンドライによる前処理を含んだ工程で、ほぼ日で販売する「おらがジャム」のレシピ。

じつは、昨年の試行錯誤からオーブンドライをすると灰汁が出る量が減ることは既知なので、蓋をして煮る手法と相性が良いのでは?もしかして、これで「おらがジャム」のクオリティに近づくのでは?という考えが頭をよぎる。

というわけで、次回「本気めんどくさ仕込み・リベンジ」お楽しみに!


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