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「身内だけには面倒をかけたくないんです」

創業の相談をお受けしていると、まれにこのセリフを聞くことがあります。

創業にあたって、建物や機械などの設備資金、仕入れ、光熱費や人件費などの運転資金など相当の創業資金が必要となります。
自分が自由に使える自己資金が足りなければ、外からお金を借りてくるしかありません。

政府系金融機関の日本政策金融公庫がまだ国民金融公庫と言っていた昔は、「創業に必要な総額の半分以上」の自己資金が確認できなければ、新規創業融資申し込みのテーブルにつくことさえできませんでした。

時代は下って令和の御代。

必要総額の1割の自己資金が確認できれば申し込みOKということになり、資金調達のハードルは大幅に下がりました。
それでも諸物価高騰の折、創業に必要な金額に調達見込み額が届かないケースが起こります。

そうなると選択肢は三つに一つです。

1.創業計画を見直して、創業資金を切り詰める
2.創業を延期して、その間に自己資金を積み増す
3.創業計画はそのままに、さらに創業資金を借り増しする

3の場合、すでに融資枠いっぱいの判断、金融機関からの追い金は期待できません。
でも、当初の計画通りに開業したい・・・
その時、先ほどのセリフを聞くのです。
そして次の言葉が

「なんとかなりませんか?」

融資する側としては最大限頑張った上での結果ですので、なんともなりません。ここで、悪あがきすると融資担当者の心証にプラスとはなりません。
あとは自分の才覚でお金を安全に調達するしかないのです。それも返済負担を増すことなしに。

残された道は身内からの融資や出資の相談です。
創業者を取り巻く環境はそれぞれですので、最初から何でもかんでも身内に依存するのは間違いだと思います。

しかし、大昔、金融機関勤めの知人と呑んでいる時、ボソリとつぶやかれた言葉が耳に残っています。

「お身内を納得させられず、協力さえ得られない創業者を、第三者である僕らがどうして支援できるでしょう?」

世界三大商人こと華僑、インド商人、ユダヤ商人。いずれもその発祥からファミリーのチカラとコネを最大限に活かすことで、市場に地位を築いた歴史があります。

迷惑をかけられるのは身内しかいないのです。
頼るべき最後の砦は・・・身内なのかもしれません。

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