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【前世の記憶】飛行機事故の墜落恐怖を語る少女


アメリカ・テネシー州。

ミッシエルの娘カーシンは17歳で妊娠し、困難な妊娠・出産の末、孫アレクシス(愛称レキシー)を産んだ。

産後しばらく起き上がることのできなかったカーシンの代わりに、孫の世話をしたミッシェルにレキシーはべったり。レキシーは4歳になり、妹もできた。

ミッシェルは、レキシーが生まれてきた時からずっと普通の子と違うと感じていた。

レキシーはわずか生後6ヶ月にして鉛筆をきちんと持った。ほとんどの子供はグーで握るが、レキシーは大人が持つように鉛筆を握った。それも偶然ではなく、毎回きちんと握り直すのだ。

また、生後すぐからレキシーの睡眠には問題があった。レキシーの父ダスティン曰く、眠ったと思い、ベッドに置くとすぐに目覚めて泣いてしまう。泣くというよりも怯えて泣き叫ぶことが多かった。ベビーベッドを両親の寝室へ持ってきても変わらない。

何度も小児科と救急処置室を行き来したが、何も問題はなく、何が原因なのか分からなかった。

レキシーは眠ることができず、ひどく夜を怖がるようになる。その様は、自分の髪の毛や家族の引っ張って叫び声をあげるほどで「助けて!怖い!」と叫んだ。

そんな状態が何ヶ月も続くとミッシェルは、これはただ事じゃない、普通の子供はこんな言動はしないと感じるようになる。

眠れずに歯軋りをしながら泣き叫ぶレキシーを見るのは胸が潰れる思いだ。それでも、夜間の恐怖はいつかはなくなるものだと思っていたが、そうはいかなかった。

カーシンが、最初に娘レキシーが変わっていると感じたのは2歳の時。そこにいない誰かと会話をしている時だった。誰と話しているのかと聞くと、レキシーは隣の家の庭を指差し「あの小さな男の子」と言う。「どの子?」と聞くカーシンに、レキシーは「彼よ。私と同じで2歳なの。」と。そこでその男の子を見たことがあるかと聞いてみると、レキシーは「うん。私が行くところにどこでもついてくるの。」と言った。

また、レキシーが「私はもうすぐ9歳」と言うので、ミッシェルが「そうなの?もうすぐ3歳だと思ってたけど」と言うと、「ノー、もうすぐ3歳なのはレキシー」と言う。「レキシーがもうすぐ3歳であなたはもうすぐ9歳・・あなたは誰?」と聞くと、「アレクシスではないわ」と言いながら去っていった。

ある時は窓から外を眺めて「オーノー!彼らが来る」と言う。このような言葉に慣れてしまったミッシェルは振り向きもせず、「大丈夫よ、誰も来てないわ。」と答えるが、レキシーは彼らが来ると主張。そしてある日突然「オーノー!彼らが来た。ついに来た!」と言う。家族は手を止め周りを見渡して誰もいないことを告げると、レキシーは「彼らはいる」と言って振り返り、ミッシエルの娘ブルックを見て、「彼らはあなたを傷つけようとしてるの」と言う。

この時点で家族も、気味が悪いと感じており、レキシーの言動に目を引かれた。家族は他にも奇妙なことを目撃する。

ある日泥遊びをしていた当時2歳のレキシーは、突然立って木のそばへ行くと話しだした。誰と話しているのかとミッシェルが聞くと、レキシーは、「あの人たち」と答え、2人いるという。家族は顔を見合わせた。どんな人たちなのかと聞くと、「あの人たちは燃えてる」と言う。

想像上の友達がいることは小さな子にとって珍しいことではないが、レキシーにはそれが見えている。2歳児に恐ろしい惨状が見えているのだ。嘘をつくには早すぎる年齢だと思った家族はレキシーを医者に連れて行くが、何も問題はないと診断される。

初めて飛行機がレキシーの頭上を飛んだ時、レキシーは怖がり、泣き叫んでパニックになる。走って庭を駆け抜けると必死で助けを求めた。ミッシェルが大丈夫だとなだめてもレキシーは泣き叫び続け「落ちる!落ちる!」と言った。

ミッシェルが「ただの飛行機よ。落ちたりしないわ」となだめても「でも落ちるの!落ちるの!」と繰り返す。そこで飛行機に乗ったことがあるか聞いてみると、レキシーは、イエスと答えた。実際は一度も乗ったことがない。

飛行機で何が起こったのか聞くと、

「雨が降ってる。たくさん、たくさんの雨。雷も鳴ってる。酷い嵐よ、酷い嵐。」

大丈夫かと聞かれてもレキシーは、ノーと答える。

ミッシェルはこの子を助けると決めたものの、どうしていいか分からなかった。この頃からレキシーが前世の記憶を抱えているのではないかと思うようになる。

2〜3週間後、レキシーは飛行機事故についての詳細を語り始めた。妹と一緒に飛行機に乗っていたのだと言う。

「みんな叫んでた。私落ちちゃう。飛行機が落ちちゃう。」

その時のことを語るたびに、涙が流れ、頬を伝って流れ落ちた。そして「私は空を飛べない」と言って泣き崩れては、すすり泣きをした。

墜落する燃え上がった飛行機の中にいて、自分が抜け出せないことを知っている。そんなビジョンをまだ小さな孫が持っていることがミッシェルは耐えられなかった。

クリスチャンとして育った彼女は前世があることが信じられなかった。が、レキシーを助けるため何らかの答えが欲しいと言う一念で心を開こうとした。

ある日ミッシェルが塗り絵帳を捨てようとしていた時だった。866という数字が書かれているのに気がつく。誰かが書いたのだろうとミッシェルは、一度はゴミ箱に捨てる。

しかし「ちょっと待てよ、いま他に家族は誰もいなくてレキシーがこの塗り絵帳を塗り終えたばかり。」と思い、ゴミ箱から塗り絵帳を取りした。

数字が気になったミッシェルは「飛行機事故 866」で調べてみるが何も出てこない。しかし1966年8月で検索をかけると、酷い飛行機事故の記事が目に入る。飛行機が燃えて砕け散ったのだ。

そこで乗客名簿を見ると、1人目は軍人、その次にナンシー・チャンブリン18歳とスーザン・チャンブリン15歳の姉妹の名前があった。

これがレキシーなのだろうかか。レキシーは幼児が知る由のない詳細な部分をよく知っている。

1年後、チャンブリン姉妹の兄弟であるバズ・チャンブリンが、レキシーとミッシェルに会いに行く。

バズはレキシーのことをテレビ放映で知った。それ以来、レキシー家族と連絡を取っており、今回会うことに同意したのだ。

バズは言う。

「これからレキシーを助けに行く。彼女には、私の姉妹が亡くなった飛行機事故のビジョンがある。どこまで自分が輪廻転生を信じられるか分からないけど、そこから何が出てくるかも分からない。」

ミッシェルはこれはレキシーに最も有益なることだと思っていた。

レキシーの記憶についてたくさん話してから、感情を吐き出したせいなのか、彼女は電気なしで1人で眠れるようになった。

そのため、前世から知っている弟と会うことは、状況が好転すると考えた。

バズがレキシー宅へ到着する。ミッシェルはバスに話す。レキシーと外で遊んでいた時に、テストをしてみたと。

遊んでいるレキシーに「ハーイ、バーバラ」と言ってみると振り向きもしない。そこで数分してから、「ハーイ、ナンシー」と言うと、「何?」と反応した。

ミッシェルが驚いていると、「やっと私の名前を呼んでくれたわね。その名前好きだったの。」と言った。

バズは「それは奇妙だ」と言い、姉妹の写真を見せる。

それを見て「可愛い」と言っていたレキシーだが、突然「わー!私大きかったね」と言う。

ミッシェルとバズは目を見合わせる。写真の女性に見覚えがあるかと聞かれて、うなづくレキシー。そしてこの女性たちを知っているか聞かれてると再度うなづいた。

バズは「ワオ」と驚いた。

ミッシェルによると、レキシーは他人に対し「今日は華やかね」など褒めるのが好きだと言う。

レキシーがミッシェルを「ミミー」と呼んでいるのを知ったバズは、さらに驚いた。彼の母も孫たちからは「ミミー」と呼ばれていたからだ。

実際は、孫からは違う名前で呼ばれる予定だったのだが、レキシーがミミーと呼び始めたのだと言う。

「全部一致するね」

バスは言った。

「他には考えられない。世界には自分が理解できないさまざまな現象がある。しかし自分が理解できないからといってそれが真実じゃないとは限らない。レキシーは姉の生まれ変わりだと今日知ることができた。よかった。」

予想通り、ナンシー・チャンブリンがレキシーの前世だと検証する結果となる。

レキシーにとって問題が解決は近いとミッシェルは信じている。ナンシー・チャンブリンが彼女の前世であると確信してるのだから。

レキシーは前世の記憶の中に、ナンシー・チャンブリンの顔を思い浮かべることができる。今ではその記憶は実際には彼女のものでもなく、飛行機に乗ったことがないことも理解していると言う。

バズと会ったことが、忌まわしい記憶をしまって、4歳の少女らしく生きる助けになるはずとミッシェルは信じている。


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