ミスチル熱唱してみた

それは私が新卒3年目くらいのお話しです。私は某電気メーカーのエンジニアとして働いていました。当時の日本の電気業界はまさに絶頂期。時代はCD→DVD→大容量HDD→ブルーレイディスクへ移り変わり、プレステによってゲームの世界が激変し、デジカメの登場により当時お付き合いしていたカメラメーカーさんは本社に行くたびに建物が増えていく勢いで、毎回打ち合わせの会議室どこやねんと警備員さんに聞く感じ。世界の電気メーカーTOP10のうち5社くらいは日本企業でまさに絶頂期。

そんな中で働いていた私も充実した日々を・・・・過ごせるはずもなくマジ生死をさまよう勢いでした。働き方改革?QOL?ライフワークバランス?なんですかそれ?どこの会社もこの競争に勝つため過度な開発競争をした結果職場環境は最悪でした。

多少の波はあるけど、基本帰るのはほぼ終電かタクシーまたはそのままお泊まり。会社もコスト削減より1日でも他社より早く、いいものを作り出すことが命題だったので終電後のタクシー代やら残業代はガッツリもらえましたが長くは続けられないなーなんて思いながら仕事してました。

お泊まりする場合、ただ泊まりで作業をやってるわけではなく、漫画読んだり音楽流したりデリバリー頼んだりみなそれぞれのペースで適度に快適に過ごしながら朝まで作業します。私の過ごし方はフロアでお泊まりするのが自分だけの時にする一人カラオケ。私が働いていたフロアは200~300人くらいはいある広いフロアで働いており、誰もいない空間で夜中熱唱するのはめちゃ気持ちよいのです。私のお気に入りはミスチルでベストアルバム持参でよく大熱唱していました。

その日もほぼお泊まり予定だったのでミスチルアムバム持参で出勤。終電時間が近づくとだんだん人が減ってきて夜中12時すぎると広いフロアに自分一人。最初はちょっと怖いくらいでしたが慣れると逆に開放感というか、何しても誰にも迷惑かからない環境にそれはそれで好きな時間でもありました。

仕事も乗ってきて、近くのコンビニで夜食を買ってきて一息ついた頃からCDを聴き出し徐々に鼻歌から一人カラオケの始まり。最初は口ずさむくらいですが、だんだん声も大きくなり、手元にあったボールペンマイクがわりにミスチル憑依。女の子口説いてる?くらいの熱意を込めて唱いまくる。CD1枚すべての曲を覚えてるので1時間くらいずっと唱いっぱなし。時々仕事もしつつですが。

ただその日は仕事が割と進んでて、3時だか4時くらいで大方片付いてしまい。朝まで仮眠しようかなとも思ったんですがちゃんと寝たかったので家に帰って寝て午後出社にしようとタクシー呼んで帰ることにしました。その時の満足感は仕事なのかストレス発散一人カラオケだったのかは覚えて前sんが、せっせと片付けて部屋を出ようと戸締り確認しフロアの電気全消しして部屋を出ようとした時、どこからともなく人の声が!!

「・・・・消さないで」

「え?」

振り返ったその目線の先には人影が、、、

「まだ僕いますので電気消さないでください」

そこには顔は知ってますが話したことも名前も知らない別の部署の男性が。

「え?」

「いたの?」

「いつから?」

「えーっと、僕の歌聞いてました?」

「ミスチルのフルアルバムを?」

「抱きしめ〜たい〜とかも聞いてました?」

「どの曲がよかったですか?」

と質問する余裕は微塵もあるわけもなくお疲れ様です!お先です!といってとっとと退社してタクシーに乗り込みました。

いや、確かにフロア広いよ。ちゃんと隅々まで誰もいない人確認したかと言われるとしてないよ。油断はしてたよ。

でも、でもね。知らない者同士だし話しかけづらいのはわかる。でも視線にさりげなく入ろうとしてみるとか音出してみるとか立ち上がってみるとかそとハモるとか意思表示はあったんじゃない?静かに聞き入ってどうすんのよ?今なら間違いなくライブ中継アップされてネット世界で永遠に笑い物にされてたのでそこはいいとして、もうちょっとやりようあったんじゃない?

っていうのをミスチルの曲を聞くと思い出すというお話しでした。

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