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免疫(26)-好酸球-

好中球、好塩基球と調べていったので、好酸球もやらないといけないだろう。

最初は好酸球の血管内からの局所への遊走について

①血管壁接着

好酸球はセクレチン分子を介したローリングによって速度を落とす

血管内皮細胞上にプロテオグリカンとの結合を介して固相化されたケモカインなどにより活性化を受ける。

その後、firm adhesion(和訳すると、しっかりとした接着)が形成される。

firm adhesionはTNFα・IL-1・PAF・PANTES等により活性化された血管内皮細胞上に発現したVCAM-1・ICAM-1と、好酸球表面βインテグリンの結合によるものである。

②経血管内皮細胞間移行

血管壁に結合した好酸球は次に血管内皮細胞間を移行する。

ここでは血管内皮細胞に発現しているICAM-1が重要。

また、Th2細胞の産生するIL-13によって、例えば気道上皮細胞ではエオタキシン(eotaxin)の発現を亢進して、好酸球の局所への浸潤を亢進させる。

このときに起こることは、eotaxin-2が、好酸球が血管内皮を移行する際、β1インテグリンからβ2インテグリン優位にシフトするdetachmentに働くことであるとされている。

③間質内遊走

好酸球は血管外に移行した後、β1インテグリンであるVLA-4とファイブロネクチン(FN)の接着を使って間質内を上皮側に向い移行していく。

その際、IL-5、GM-CSFなどにより生存が延長し、またRANTESなどの刺激も受けて好酸球は活性化する。

●肺では、好酸球の遊走により、気道障害を惹起する。

気道に到着した好酸球は気道上皮ICAM-1を介して接着し、抗原や免疫グロブリンなどにより刺激を受けて、顆粒蛋白、活性酸素などを放出し、気道上皮剥離など障害性に作用する。

気道上皮細胞はeotaxinの重要な産生細胞でありながらそのレセプターCCR3を発現している。

気道上皮CCR3からのシグナルにより、IL-8、GM-CSFが産生され、IL-8もGM-CSF存在下では好酸球に作用する。

これらの作用によって好酸球はさらに遊走され集積する。


次に好酸球がもつ顆粒蛋白について

好酸球顆粒中には、major basic protein (MBP)、eosinophil peroxidase (EPO)、eosinophil cationic protein (ECP)、eosinophil-derived neurotoxin (EDN)といったタンパク質が含有されている。

これらの蛋白質が放出されることで、気道粘膜が障害され、アレルギー疾患の病態が形成される。

ちなみに、好酸球由来のロイコトリエンも気管支収縮や気道過敏性を惹起する。

話を戻すが、この脱顆粒は、eotaxinによって誘導されるという報告がある。

好酸球では、eotaxinの働きが重要な位置を占めていると考えて良い。


参考:茆原順一ほか 好酸球・リンパ球の動向とその治療への応用 日呼吸会誌 2003;41(9):589-594

参考:岩崎成仁ほか Cutting Edge 好酸球 鼻アレルギーフロンティア 2017;17(2):20-22

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