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免疫(35)-マイトジェン活性-

マイトジェン活性について考えてみたい。

まず、マイトジェンとは、

細胞の分裂を誘起する物質のこと

免疫学の分野では、抗原非依存的にリンパ球の幼若化、分裂増殖を誘導するものを指す。

多くはレクチンであり、コンカナバリンA(ConA)、インゲンマメレクチン(PHA)、ポークウィードマイトジェン(PWM)などがある。

ほとんどがT細胞マイトジェン(PWMだけがB細胞マイトジェン)である。

リポ多糖(LPS)はグラム陰性菌由来でマウスB細胞マイトジェンである。

レクチンとは、糖鎖を認識する植物由来のタンパク質につけられた名称

現在では動物組織に存在する抗体以外の糖鎖認識タンパク質に対しても使用される。

ConA、PHA、PWMは植物レクチンである。

リンパ球幼若化とは、リンパ球が非自己抗原による刺激に反応して芽球化する現象。

リンパ球幼若化検査は、マイトジェンに対するリンパ球芽球化反応によりT細胞の機能不全の有無を知るために行われる。これは、リンパ球に刺激物質(マイトジェン)とトリチウム(三重水素)チミジンを加えて培養し、DNA合成によりトリチウムチミジンが細胞に取り込まれる量を放射活性として測定して行われる。

引用文献:武元則人ほか 十全大補湯の免疫系に対する作用-マウス・リンパ系細胞に対する十全大補湯のマイトジェン活性- 炎症 1989;9(2):137-140

この文献は十全大補湯という漢方薬に抗体産生増強作用やマクロファージ活性化に伴う貪食能亢進作用があるという先行文献を土台に、抗体産生増強作用の機序解明を目的としている。

抗体産生増強作用の機序として、脾臓細胞に対するマイトジェン活性を指標にして検討している。

試験では、脾臓細胞培養時のトリチウムチミジンの取り込み量を測定する方法で行われている。

十全大補湯では、マクロファージに対する作用、およびそれを介してのマイトジェン作用が抗体産生増強に寄与していると推察している。

この試験はマウスで行われているため、人間に直接その結果を適応できないことは知っておく必要がある。


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