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免疫(32)-マクロファージ-

マクロファージという免疫細胞について。

MΦなんて書かれたりもするよね

どんな機能があるのか、よくしらないので、調べるしかない

マクロファージは、貪食機能に優れた細胞である。

病原体、死細胞、細胞や細胞外マトリックス由来の老廃物といった不必要な物質の排除を担っている。

それにより、生体の防御や恒常性の維持を担っている。

マクロファージは、病原体を認識する多くのレセプターを発現し、自然免疫応答と獲得性免疫応答のいずれにも寄与する。

また、成長因子を分泌し、血管増殖、コラーゲン新生、線維化を通じて皮膚の創傷治癒においても肝要な働きをする。

皮膚のマクロファージの種類

皮膚炎に際し、Ly6c陽性CCR2陽性CX3C chemokine receptor 1(CX3CR1)陰性の炎症性単球が多く皮膚へと浸潤する

これらは、一部は単球由来樹状細胞へと分化するが、多数はM1型マクロファージとして初期の炎症誘導に働く。

一方で、皮膚にはもともとLy6c陰性CCR2陰性CX3CR1陽性の組織在住のM2型マクロファージが存在し、組織修復や炎症収束過程において主要な役割を担う。

組織在住マクロファージの分布

組織在住マクロファージは真皮内において、真皮ネットワークを形成するようにして蜜に存在する。

真皮樹状細胞よりも少し下層にマクロファージのネットワークが存在することが報告されている

また、皮膚血管やリンパ管に沿って存在するマクロファージ集団とその間隙に存在するマクロファージ集団があり、血管周囲のものに関してその特化した役割が報告されている。

創傷治癒におけるマクロファージ

創傷形成直後の皮膚炎症に際し、炎症性単球由来のM1マクロファージが創傷部に集積し、TNFαやIL-6といった炎症性サイトカインや活性酸素を産生する。

組織在住のM2マクロファージはtransforming growth factor(TGF)βやvascular endothelial growth factor(VEGF)といった血管新生や線維化に関わるサイトカインを産生することで、創傷環境を血管新生や線維化や再上皮化へと誘導する。

ここで、

誘導型皮膚リンパ組織(inducible SALT:iSALT)と命名された状態を確認しておく。

組織マクロファージ-真皮樹状細胞クラスター-エフェクターT細胞の一連の相互作用ならびに会合が、炎症によって皮膚局所に誘導される。これは定常状態では存在しない。

これを指している。

血管周囲マクロファージの役割

血管周囲マクロファージの役割の一つは、iSALTへの関与である。

他にも皮膚免疫に関連が有り、血管周囲マクロファージが好中球の皮膚への流入を制御するというものである

例えば、α溶血毒素を産生する黄色ブドウ球菌の局所皮膚感染下では、感染部位のマクロファージが毒素によって消失するが、血管周囲マクロファージが消失した部位からは、マクロファージによるケモカイン産生がないため、好中球の流入が生じず、ブドウ球菌排除が傷害されてしまう。

加えて、

iSALTとよく似た構造として、膣粘膜組織におけるMemory lymphocyte clusters(MLCs)とよばれる組織在住マクロファージとresident memory CD4陽性T細胞のクラスター形成が報告されている

MLCsでは、組織在住マクロファージが分泌するCCL5と、resident memoryCD4陽性T細胞が分泌する低濃度のinterferonγが相互作用して互いを維持し、HSV2再感染時の効率的なCD4陽性T細胞活性に繋がるとされている。

参考:小野さち子ほか 皮膚免疫における樹状細胞・マクロファージの役割 Jpn. J. Clin. Immunol. 2016;39(5):448-454

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