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免疫(21)-好中球-

好中球について調べてみる。

参考:安井耕三 好中球の情報伝達機構-殺菌・遊走能の生化学- 日小血会誌 9:1-12, 1995

好中球の役割の一つに、細菌感染における細菌の貪食=殺菌がある。

好中球が異物を貪食する際、あるいは細菌由来の走化性ペプチド(N-formyl-leucyl-phenylalanine ; FMLP)やロイコトリエンB4、インターロイキン8(IL-8)、phorbol myristate acetate(PMA)など種々の可溶性刺激物質、サイトカインにより刺激されると様々な代謝変化を引き起こす。

その中で特に殺菌作用に重要な代謝活性は、活性酸素の産生。

NADPH oxidaseによって、活性酸素であるスーパーオキシドや過酸化水素、ハイドロキシラジカルなどが作られる。

また、好中球が炎症の場に到達する上で必要な機能として、遊走能(走化能:chemotaxis)がある。

これは走化性因子(chemotactic factor:CF)の濃度勾配に従って移動する方向を決める運動能のこと。

好中球遊走能が低下すると、易感染性が見られるといわれている。

ヒト末梢血好中球膜上には細胞1個あたり2~5万のCFを認識するレセプターがある。

CFを認識することで、好中球膜上の接着蛋白(セレクチン、インテグリンファミリー)発現が増強され、血管内皮に付着し、CF濃度の濃い炎症の場へと遊走する。

好中球の運動装置として、アクチン繊維の重合による収縮と離合による伸展運動の調節が挙げられる。

CFの作用直後に、一過性の細胞内Caイオン上昇がみられ、それに伴い微小管重合が起こることも観察されている。

コルヒチン処理による微小管重合阻害により好中球の走化能を低下させることができるということも確認されている。

さて、ここで好中球機能に影響を与えるサイトカインを列挙する。

TNF、GM-CSF、G-CSF、IL-1、IFN-γ、IL-8、IL-12

これらのサイトカインは感染、炎症の場、創傷治癒の過程で好中球に対して、接着蛋白の表出、遊走惹起、活性酸素産生などの作用を有している。

参考:伊藤隆史 好中球ワールドへようこそ(好中球に関する総説シリーズ) 血栓止血誌 2019; 30(3) : 564

好中球は1日に100億個作成される。

骨髄から循環血液中へと送り出される。

循環血液中からの好中球の半減期は半日ほど。

夕方からよるにかけて循環する好中球の割合が増え、朝方から昼には組織に浸潤する好中球の割合が増える。

感染や組織損傷の調光を察知すると、好中球が活性化。

微生物やデブリスを貪食したり、好中球細胞外トラップ(NETs)と呼ばれる網状構造物を細胞外に放出したりして、感染防御と組織修復に寄与している。


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