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アーカイブ/2023年4月号

驚異の殺菌力 O3(オゾン)

コロナ禍で皆さんはどこに行っても「消毒を!」と声を掛けられましたよね。除菌に対して神経質になり、宣伝につられて抗菌洗剤を買ってしまった方も多いでしょう(言うほど効力がなく、環境や生体への毒性だけが強いので、抗菌洗剤はお勧めしません)

もちろん細菌やウイルスに接触しないのが一番なのですが、「まさか家をまるごと除菌なんてできないしね~」と思っていませんか?

実はそれ、できるんです。

オゾン殺菌のしくみ

オゾンの分子構造はO3。酸素原子(O)が3つくっついたものです。この構造は
とても不安定なのですぐに壊れて、より安定的な構造の酸素(O2)になりま
す。壊れる=酸素原子がひとつ離れるのですが、この酸素原子が菌、ウイルス、カビや臭い物質などの有機物と結合することで殺菌・消臭効果が発揮されます。

オゾンは取扱注意

オゾンと聞くと「オゾン層」がイメージされます。宇宙に近い感覚ですよ
ね。しかしオゾンは低濃度で自然界にも存在しています。すぐ分解して酸素
になるので危険はないのですが、人為的に高濃度のオゾンガスを発生させて
殺菌・消臭を行う場合は次のことを忘れないで下さい。

「生物のいる場所でオゾンガスを噴霧しない」

オゾン消臭は、人間もペットもいない状態で行いましょう。

オゾンができること・できないこと

オゾンガスは毒性に気をつけさえすれば、環境に優しく効果の高い殺菌方法です。放出されたオゾンはどんどん分解されて酸素になりますので、窓を閉め切った部屋でオゾン脱臭を行った後はしっかり換気をすれば薬剤の成分なども残らず、環境負荷もゼロ(むしろ酸素が増えるだけ)の画期的な殺菌法なのです。
噴霧時間も長くて15分ほどで充分です。
オゾンをかけた時間の3倍ほどおいて、部屋に戻ってしっかり換気です。

その他に思いがけない効果もあります。
例えば
①食品会社でオゾンガスによる殺菌を行っていたらゴキブリが出なくなった
②精肉工場でオゾンガスによる殺菌を行っていたら、ハエやネズミなどが激減した
といった事例が多くみられます。

オゾンガスの噴霧で消臭もできますが、消せる臭いと消せない臭いがあります。
オゾンが得意とするのは「有機物」の臭い。たとえば生ごみ、ペットの糞尿、汗などの臭いです。
たばこの臭いも得意なので、ホテルなどで「かつて喫煙可能だった客室を禁煙室にする」場合の対処や、「禁煙室なのに宿泊者がタバコを吸った」際の消臭が可能です。(だからといって「オゾンできるからいいじゃない」と、禁煙室でタバコを吸わないようにしてもらいたいですが)

オゾンでも消せないアレ

オゾンガスが太刀打ちできない臭い。
それは「人工的な香料」です。
柔軟剤や洗濯洗剤、消臭剤、芳香剤などに含まれている石油由来の香料は落とすことができません。引越の際に脱臭をしても落とせず次の借り手や買い手がつかなかったり、退去時に高額な清掃費用や内装修繕費を負担しなければならないケースが出てきているそうです。

孤独死等の現場を清掃する特殊清掃業者さんは
「死臭のほうが落ちる!人工香料は落とせない」と断言します。特殊清掃ではオゾンだけでなく二酸化塩素も使いますし、そもそもオゾンガスの濃度
が桁違いです。それでも落ちない人工香料が体に良いとはとても思えません
ね...。少なくともペットと暮らす皆さんは、このようなものは絶対に使わないようにしてくださいね!

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