【羊羊特集】 死んでいるけど生きている。ウールの機能と不思議
※この記事は『洗えない？いや洗わない「羊羊特集」』に付随した特集記事で、メールマガジンでリリースした内容をアーカイブしています。
メールマガジンの新規登録はこちら。
「髪の毛は死んだ細胞でできている」という話を美容院の方から聞いたことがあります。皮膚の中にある毛根で細胞が分裂を繰り返し、押し出すようにして髪の毛は伸びているんだそうです。そうした毛が、私たちを含めた動物の体温を保ったり、外からの刺激から身を守ってくれています。
その中で、毛織物として親しまれるウールは、あたたかいだけでなく、吸湿性がある、水を弾く、汚れにくい、ニオイにくい、洗うと縮むなどなど、、、様々な特性を持ち合わせています。詳しく調べてみると、その特性は ”死んでいる” にもかかわらず、まるで ”生きている” かのように働いている繊維の性質によるものでした。
今回は、ウールの様々な機能とその不思議について見てみようと思います。
繊維が開閉する！？
ウールの不思議は構造にあり
ウールの繊維を顕微鏡でみてみると、ひとつひとつの繊維が鱗で覆われており、松ぼっくりのような形をしています。この鱗は「スケール」と呼ばれ、３層構造でできています。このスケールにウールの特性の秘密が隠れています。
不思議① 水は弾いて、湿気は吸収
スケールの外側は撥水性をもち、水を弾く（汚れがつきにくい）性質をもちます。その一方、スケール同士の隙間には水が通ることのできない小さな隙間があります。水蒸気のような小さな粒子はその隙間を通ることができるため、湿気を繊維内に吸収することができます。この性質が、吸湿性が高くムレにくいというウールの特徴を生み出しています。
不思議② 水分でスケールが開閉する
スケールの外側は撥水性がある一方、内側の２つの層は親水性で水を吸収する性質をもちます。スケールの隙間から水蒸気を吸収すると、内部が膨張して閉じていたスケールが開きます。すると、さらに水分を吸収します。また、繊維の表面積が大きくなることで水分の発散性が高まり、素早く水分を蒸発させることができます。
水分をすばやく吸収し、すばやく蒸発させることができる吸湿機能と放湿機能のおかげで、ムレたり、ジメジメせず、汗をかいても臭くなりにくいという効果が期待できます。
細胞としては死んでいるのにも関わらず、機能としては生きているウールの繊維。 吸湿性がある、水を弾く、汚れにくい、ニオイにくいなどの特徴の背景には、こうした見えない不思議が隠れているのです。
【余談】ウールはどうして縮むの？
− ウール繊維が絡まると、元に戻らない −
ウール製品は洗濯すると縮む、とよく言われますが、これもウール繊維がもつ鱗状のスケールのためです。水で濡れたウールを強く揉み洗いすると、スケールが開き水分を吸収します。するとウール繊維が膨張してスケール同士が絡み合ってしまいます。繊維が絡み合ってしまうと、生地が硬くなり、厚みが増し、縮んでしまい、元の大きさより小さくなってしまいます。この現象を、フェルト化と言います。
フェルト化による縮みを最小限に抑えながら家庭で洗うコツは、摩擦を防ぎ、繊維を傷めないようにすることです。衣類を裏返してネットに入れ、短時間で優しく洗い上げる「ドライコース」などを選ぶこと、洗濯後はしっかりとシワを伸ばして日陰で平干しするなどです。それでもフェルト化する可能性は残ります。フェルト化をできるだけ回避したい場合は、石油系の溶剤を用いるドライクリーニングをおすすめします。ウール繊維のスケールが開くことがないため、フェルト化することはほとんどないようです。
RECOMMEND ITEMS / おすすめの関連商品
気負うことなく付き合える
ウールと過ごすあたたかな冬
[1] blanket ハマグリコート&ピーコート
毛織物産地、直送のコート
10年後も変わらずに着られるコートをめざして
85,800円（税込）〜
ご購入はこちら
[2] MONPE 尾州
毛織物産地・尾州の再生ウールMONPE
あたたかな着心地
16,500円（税込）
ご購入はこちら
[3] HAORI 綾織
羽織の型を再解釈
サッと羽織ってあたたかい
28,600円（税込）
ご購入はこちら
[4] KATA-KNIT
「KATA」を通して「編み」を体感
軽くてあったか、肌触りの良いニット
価格 ：30,800円（税込）〜
ご購入はこちら
[5] NISHIGUCHI KUTSUSHITA ウールジャガードソックス
縮みにくい防縮ウールを使用
「はくひとおもい」なあったかソックス
1,980円（税込）
ご購入はこちら
[6] 久留米絣のためのくくり糸帽子 モヘヤ混
「くくり糸」を使ったニット帽
モヘヤ混であたたかな着心地
6,050円（税込）
ご購入はこちら
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？