【シノビガミ】シノビカート火車杯【シナリオ】

シナリオスペック
レギュレーション:現代編
タイプ:バトルロイヤル型
リミット:3
プレイヤー人数:4人

トレーラー

 忍者の高速機動と科学技術の融合により速度の限界を超えたモータースポーツ、それが「シノビカート」。その人気は実際凄まじい。能力や種族の垣根を越えて忍者、一般人、妖魔までもがシノビカートに興じている。人気の理由は勿論シノビカートが真の漢のスポーツであるからだ……と言いたいところだが、一番の理由はシノビカート公式アイドル「火車にゃあ」の存在である。彼女のお陰でスポーツに興味の無い層までもがシノビカート会場に足を運ぶのである。

 火車にゃあの人気は最早シノビカートを超え、彼女の名前を冠した大会が開かれるに至った! シノビカート火車杯である! 大会を制し、火車にゃあとの一日墓場デート権を手に入れる者は誰なのか!

背景

 シノビカート公式アイドル火車にゃあ。彼女の人気は凄まじく、弱小事務所から大手事務所に移籍し、移籍先で酷使され、そして過労死しました。火車死亡の事実は隠匿され、彼女の死体は冒涜的ネクロマンシー技術によって事務所の傀儡と化しました。

 PC1、2、4はそれぞれの理由で火車にゃあを狙っています。彼らにその自覚はありませんが、死体を狙う様はまさに妖怪の火車のようです。PC3だけは火車ではなくスポーツ選手です。

特別ルール

 特別ルールとして「シノビカート」を使用します。下記リンク先を参照してください。

 3サイクル目終了時にレースの順位が1位のキャラクターは、特典として装備忍法【疾風】を個数や階級の制限を受けずに修得できます。クライマックスフェイズが終了すると、【疾風】は未修得になります。

導入

 火車にゃあはシノビカート公式アイドルです。彼女の人気は実際凄まじく、とうとう彼女の名前を冠した大会が裏鈴鹿サーキットにて開催されるに至りました。その名も「火車杯」。火車杯の優勝商品は火車にゃあとの1日墓場デート権です。デート権に視線が行きがちですが、賞金もなかなかのものです。大会参加者はアイドルオタクと大金が必要なならず者が入り混じり、混沌としたアトモスフィアを生み出しています。
 PC達は自己紹介、大会への意気込みの発表、ハンドアウトの公開をしてください。

マスターシーン

金平金平の参戦
 PCが「大会運営」の【秘密】を獲得した直後に発生します。禍々しい形状の暗殺武装フォーミュラーがレースに参戦します。暗殺武装フォーミュラーの名前は「モクサツ」、その乗り手の名前は金平金平(かねだいらこんぺい)です。
 金平金平の正体は「大会運営」の【秘密】を知る者を始末する為に送り込まれた刺客ですが、このマスターシーンの時点では「大会運営」の【秘密】を知らないPCがいると思うので、単に「金平金平は賞金稼ぎである」とだけ説明しましょう。

金平金平のシーン
 「金平金平の参戦」が発生したサイクル以降、サイクルの最後に金平金平がシーンプレイヤーのシーンが発生するようになります。行動指針は事項「金平金平の運用方法」を参照して下さい。

金平金平の運用方法

金平金平のキャラクターシートへのリンク
武装暗殺フォーミュラー「モクサツ」のキャラクターシートへのリンク

 金平金平が登場したサイクル以降、サイクルの最後にマスターシーンとして金平金平が行動します。金平金平もシノビカートのルールに従います。金平金平は、大会運営の【秘密】を知っているPC(以降、ターゲットと記載)に戦闘を仕掛けたり、レース用忍具で攻撃したりします。ターゲットに戦闘を仕掛けることができない場合は、ドラマシーンを行いターゲット以外のPCと感情判定を行います。

 戦闘シーンでは、ターゲットのみを攻撃の目標とします。ターゲットが全員脱落した後は、大会優勝を目指して残りのPCと戦います。一応、金平金平もシノビカートの選手なのです。

 金平金平が参加する戦闘シーンには、金平金平と武装暗殺フォーミュラー「モクサツ」がセットで登場します。金平金平とモクサツは基本的に別々のキャラクターですが、以下の特殊な扱いをします。

・金平金平とモクサツは必ず同じ速度にプロットする。
・金平金平が戦闘から脱落するとモクサツも一緒に脱落する。
・モクサツが戦場にいる間は、モクサツの【疾風】の効果が金平金平にも適用される。
・モクサツが戦闘から脱落したり、モクサツの【疾風】が未修得になったりすると、モクサツの【疾風】の効果が金平金平に適用されなくなる。

クライマックスフェイズ

 PC全員と金平金平が参加する戦闘です。最後まで生き残ったキャラクター1体がシノビカート火車杯の優勝者となり、火車にゃあの処遇を決めることができます。

 戦場は「平地」です。金平金平が脱落すると「極地」に変わります。

ハンドアウト

PC1

PC1【使命】
 あなたは火車にゃあのファンだ。彼女を我が娘のように愛している。何処の馬の骨とも知れない奴とデートなんてさせるわけには行かない。あなたの【使命】は、シノビカート火車杯に優勝して火車にゃあとの1日デート権を獲得し、その権利を行使しないことだ。
PC1【秘密】
 あなたは火車にゃあのファンだ。あなたは火車にゃあが事務所に酷使され、プライベートの時間が全くないことを知っている。あなたの【本当の使命】は、火車にゃあに休みを取らせて好きなことをさせてあげることである。
 忍者として多くの命と向き合ってきたあなたの直感は、今日が火車にゃあにとっての最後の日となるだろうと告げている。

PC2

PC2【使命】
 あなたは大金が必要だ。理由は言えないが兎に角大金が早急に必要なのだ。あなたの【使命】は、シノビカート火車杯に優勝し、優勝賞金を獲得することだ。なお、火車にゃあとのデートには興味がない。
PC2【秘密】
 あなたは本間舞蹴(マイケル)という男から依頼を受けた。その依頼とは火車にゃあの誘拐である。
 本間舞蹴は火車にゃあ(本名:本間舞凛(メアリ))の実の父親である。火車にゃあが大手事務所に移籍して以来、本間舞蹴は火車にゃあと連絡が取れなくなっていた。本間舞蹴は不審に思い事務所に問い合わせたが取り付く島もなく、挙げ句の果てに夜道で忍者に殺されかけた。殺されかけていた本間舞蹴を救ったのが、偶々そこに居合わせたあなたである。事情を知ったあなたは二束三文の報酬で火車にゃあ奪還を引き受けたのだった。あなたの【本当の使命】は、火車にゃあを本間舞蹴の下へ連れ帰ることである。

PC3

PC3【使命】
 あなたはモータースポーツに命を懸ける真の選手なので、神聖なレースの優勝賞品がアイドルとのデート権であることに腹を立てている(そもそもアイドルありきの大会であることは棚に上げている)。あなたの【使命】は、シノビカート火車杯で優勝することである。
PC3【秘密】
 真のスポーツ選手に秘密なぞ存在しない。真のスポーツ選手なのでスポーツマンシップから外れた者は許さないし、人道から外れた行いも許さない。

PC4

PC4【使命】
 あなたは速度の限界に挑戦する真の漢である。大会そのものに興味はなく、速度を追い求める同志と切磋琢磨することを目的としている。あなたの【使命】は、シノビカート火車杯で誰よりも速いタイムを出すことである。
PC4【秘密】
 あなたは火車にゃあに冒涜的テクノロージーが用いられていることを突き止めた。あなたはその冒涜的テクノロジーの構造を解析し、場合によっては破壊するために大会に参加しているのである。あなたの【本当の使命】は、火車にゃあを拉致することである。


大会運営

大会運営【使命】
 シノビカート火車杯を成功させる。
大会運営【秘密】
 火車にゃあの人気は実際凄まじい。モータースポーツに興味のない層までが、裏鈴鹿サーキットを訪れている。また、火車にゃあとの1日デート権に釣られた裏社会の強者達が集まり、非常にハイレベルなレースが展開されることも予想される。火車にゃあを見い出し、奴隷めいた専属契約を取り付けた営業部の下衆川武治(げすがわ・たけじ)はその功績を認められ、今や営業本部長だ。
 下衆川武治は、火車にゃあを酷使しすぎて過労死させてしまった。そこで、死体をネクロマンシー技術によって傀儡とすることで事なきを得た。ちなみに、この冒涜的テクノロジーの名は“Kasha Reproducing System 2.0 (KRS2.0)”である。
 この秘密を知っているキャラクターには下衆川武治から刺客が送られる。この【秘密】がPCに獲得されたシーンの終了後、「最下位のPCのDP+2」の位置に武装暗殺フォーミュラー「モクサツ」が出現する。モクサツのドライバーは無慈悲なる傭兵忍者「金平金平(かねだいら・こんぺい)」である。
 この【秘密】を知っているキャラクターは、「金平金平」に情報判定できる。

火車にゃあ

火車にゃあ【使命】
 シノビカート火車杯を盛り上げることが【使命】である。
火車にゃあ【秘密】
 シノビカート運営に酷使され続けた結果、過労死してしまった。その死体は冒涜的死霊術と計算機科学により大会運営の傀儡となっている。火車にゃあの魂は死体に囚われたままであり、解放を望んでいる。
 火車にゃあの死体を傀儡とする技術“Kasha Reproducing System 2.0 (KRS2.0)”は、シノビカート大会の出場選手とマシンが生み出す超自然の力場を利用したシステムであるため、サーキット場でしか運用できない。KRS2.0が破壊されるか、火車にゃあがサーキットから10km以上離れれば、火車にゃあは半日だけ自分の体の制御権を取り戻し、その後完全に死亡する。
 この【秘密】を知っているキャラクターは、「KRS2.0」に情報判定できる。

KRS2.0

KRS2.0【概要】
 Kasha Reproducing System 2.0。火車にゃあの過労死偽装ならびに、より純化した不滅のアイドルを生み出すことを目的として開発されたシステム。本システムの主要コンポーネントは次の通りである。
・火車にゃあの遺体:大前提。
・呪術的腐敗防止機構:最先端死霊術により火車にゃあの遺体を完全な状態に保つ。
・三人遣いチーム:3人1組の人形遣い。文楽めいて火車にゃあの遺体を精密制御する。遠隔操作ゆえの遅延まで考慮した職人芸である。
・擬似人格AI:生前の火車にゃあの言動から構築した擬似人格AI。未だ不完全であるため、このAIに体を制御させることはない。意識と肉体のコンポーネントが分離している都合上、AI独自判断で発言するとボロが出る可能性が高いため、通常は定型文しか喋らせない運用である。
・シノビカートサーキット:回路と環状道路のダブルミーニングである。シノビカート大会によって生じる超自然の力場から火車にゃあの動力を取り出す。呪術的に大きな制約を課しているため、火車にゃあがシノビカートサーキットから10km以上離れると12時間以内に火車にゃあは崩壊する。なお、このコンポーネントから動力を得られなくても、遺体内臓電池で6時間は動作可能。逆用すればマシンがサーキットから動力を得ることも可能である。
・火車にゃあの魂:呪術的コンポーネントの動作に必須。ただ、これが無くても科学的コンポーネントの機能だけで100人中99人のファンをごまかすことは可能である。凡庸な人間は相手の魂なんて見てやしないのだ。
KRS2.0【秘密】
 KRS2.0の主要コンポーネントの一つシノビカートサーキットは、サーキット場を走るマシンや忍者も回路の一部として利用している。つまり、サーキットを流れる超自然の力は大会出場選手にも流れているのである。この【秘密】を知っているPCはサーキットを逆利用して以下の行動が可能となる。
・自分がシーンプレイヤーのドラマシーンにおいて変調を1つ受けることで、DPを+5できる。この効果は1サイクルに1回だけ使用できる。
・戦闘シーンにおいて【血断】の効果を使用することができる。

金平金平

金平金平【使命】
 下衆川武治に雇われた無慈悲な傭兵忍者。金の為ならばどんな非道なことも辞さない。下衆川武治から成功報酬を受け取ることが【使命】である。
 金平の乗る武装暗殺フォーミュラー「モクサツ」はレース会場から生じる超自然の動力を得ており速い。
金平金平【使命】
 金の為ならばどんな非道なことも辞さないという触れ込みは嘘である。本当は好き好んで非道なクライアントの仕事を受けている好事家である。
 金平の乗る武装暗殺フォーミュラー「モクサツ」は「シノビカートサーキット」という大掛かりな装置から動力を受けている。なお、シノビカートサーキットは火車にゃあの動力としても使用されている。
 金平金平がクライマックスフェイズの戦闘から脱落すると、行き場を失った超自然の力が暴走しシノビカートサーキットが崩壊する。以降、戦場は極地となる。
 この【秘密】を知っているPCは、金平金平がクライマックスフェイズの戦闘で脱落した時に、好きな特技で判定を行うことができる。判定に成功すると、自分以外のキャラクターを好きなだけ選び目標にする。「モクサツ」の爆発を利用して目標に接近戦ダメージを1点与えることができる。2名以上のキャラクターがこの判定に成功した場合、効果は重複する。

あとがき

 お待ちかねのシノビカート第二弾です。前作「シノビカート朧杯」はレース以外の要素を盛りすぎたので、今作はレースだけで全てが決着するシナリオにしました。

 「シノビカート火車杯」というタイトルは、死体を盗む妖怪「火車」めいてアイドルの死体を奪い合うPCを暗示しています。

以上

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