【シノビガミ】シナリオ作成時の細かすぎる留意点

 シノビガミのシナリオばかり作成している筆者がシノビガミのシナリオを作成するときに個人的に注意していることをまとめようと思う。細かい話なので、私と同じようにシノビガミのシナリオばかり作成している者以外にはピンと来ないと思うが、少しでも参考になれば幸いである。


ダメージ or 生命力を減少する効果

 シーン表、プライズ、その他シナリオ独自のギミックなどにキャラクターにダメージを与える効果を実装するときは注意が必要だ。その効果は本当に「ダメージ」で大丈夫だろうか。その効果が単なるアクセント程度の役割であれば気にする必要はないが、プレイヤーへの強めの動機付けを目的としているのであれば「ダメージ」を避けた方が良いだろう。何故なら、接近戦ダメージ・射撃戦ダメージ・集団戦ダメージは悪名高い【肉風船】+【悪食】で無効化されてしまうからだ。

 対策方法は2つある。1つ目は、「ダメージ」ではなく「生命力を減少する効果」として記述することである。この記事に目を通すような物好きシノビガミプレイヤーには常識であろうが、シノビガミでは「ダメージ」と「生命力の減少」はイコールではない。代表的な例は奥義【クリティカルヒット】と【範囲攻撃】だ。【クリティカルヒット】は接近戦ダメージを4点与える効果ではなく、『ランダムに特技分野四つを選び、目標の【生命力】を失わせる』(基本p38)効果であり、【範囲攻撃】は射撃戦ダメージを2点与える効果ではなく、『目標の【生命力】を2点失わせる。どの特技分野の【生命力】を失うのかを、目標が選ぶことができる』(基本p38)効果である。【クリティカルヒット】と【範囲攻撃】は「ダメージ」という用語を使用していないので、【肉風船】や【悪食】などの「ダメージ」を受けたことを条件とする効果の対象にならないのだ。シナリオのギミックによってキャラクターの生命力を確実に削りたいのであれば、「○点の生命力を減少する」のような表現にすると良い。

 2つ目の解決方法は妖術戦ダメージである。妖術戦ダメージは『シノビガミ流派ブック 隠忍の血統』で導入された4種類目のダメージである。妖術戦ダメージもダメージの一種であるが、実は【肉風船】の効果の対象外である。【肉風船】の効果を今一度再確認してみて欲しい。接近戦ダメージと集団戦ダメージを名指しした効果になっているため、妖術戦ダメージに対して使用できないのだ。

集団戦ダメージ or 変調を与える効果

 前項の「ダメージ or 生命力を減少する効果」と類似の留意点である。集団戦ダメージは【肉風船】+【悪食】で無効化されてしまうため、「変調を○個与える」のような表現にすると良い。

受け渡し不可の【秘密】

 簡単に【秘密】を拡散できないようにするために「この【秘密】は受け渡しすることができない」のような記述をする場合がある。だが、実現したい難易度によっては、これだけでは不十分だ。受け渡し以外にも【秘密】を拡散する手段はある。代表的なものを以下に示す。その【秘密】の入手難易度をどの程度にしたいのかによって、禁止する拡散手段を選択しよう。

  • ドラマシーンでの受け渡し

  • ファンブル表の3番

  • 【感情】による情報共有

  • 遺言

  • 忍法【怪文】

プライズの【秘密】

 プライズの【秘密】の獲得方法は明記しておくとGMに対して親切だ。デフォルトの扱いは『持ち主のみ見られる』(基本p132)であると基本ルールブックで定められているが、内容も記載ページもいちいち覚えていないユーザの方が多いと思う。

最初から獲得している【居所】

 各キャラクターが最初から他のキャラクターの【居所】を獲得しているシナリオでは、【居所】が関係する忍法の扱いを記載しておくと親切だろう。

【電撃作戦】

 【電撃作戦】は【居所】を獲得したときに使用できる忍法である。最初から【居所】を獲得しているシナリオでは、【居所】の獲得タイミングと、そのタイミングでの【電撃作戦】使用可否を決めておくと良い。特に導入フェイズで【居所】を獲得させる場合は処理を明確にした方が良い。導入フェイズで忍法を使用して良いかどうかはルールで定められていないので、シナリオかGMが処理を決めなければならないからだ。
 導入フェイズで【電撃作戦】を使用できない裁定にした場合は、そのシナリオでは【電撃作戦】の有用性が失われてしまう。【電撃作戦】ユーザを不憫に思うのならば、「情報判定や忍法などの効果で改めて【居所】を獲得し直したときは【電撃作戦】を使用して良い」などのフォローも検討しよう。

情報型遠隔忍法

 【居所】が必要なタイプの情報型遠隔忍法の存在を考慮しておくべきだろう。このタイプの遠隔忍法には強力な効果が多い。このため、最初から【居所】を獲得できるとなれば、遠隔忍法を修得してくるプレイヤーが増える可能生が高い。もし、最初から【居所】を獲得している状況にした目的がメインフェイズ戦闘の促進であるならば、このような状況は避けるべきだろう。この場合は、「【居所】を獲得していないキャラクターにも戦闘をしかけることができる」のような特別ルールにすると良い。

神器の欠片

 プライズとして神器の欠片を登場させるときは、念のため儀式忍法【神器創成の法】発動時の効果も実装しておいた方が良い。え、【神器創成の法】を修得してくるPCなんていない? そうですね、私もそう思います。

退魔編 or それ以外

 忘れられがちだが、退魔編は妖魔化と退魔編忍法修得が可能であるというだけのレギュレーションではない。地獄門が開いてしまった世界という設定があるので、他のレギュレーションとは厳密は異なる世界なのだ。正直、世界設定は卓ごとに大きく異なるので気にする必要はないし、弊卓でも退魔編の世界設定は厳密運用していない。筆者が自分自身のために勝手に気を遣っているだけである。

エネミーの特殊能力

 エネミーの特殊能力の実装方法にも色々ある。シナリオの性質や難易度と相談して適切な実装方法を取ろう。以下に代表的な例を列挙する。

  • エネミー自身のハンドアウトに記載する。

  • エネミーとは別のハンドアウトに記載する。

  • エニグマとして設定する。

  • シナリオの地の文に記載する。

  • オリジナルの忍法や背景としてエネミーに修得させる。

 中でもオリジナルの忍法として実装する方法は、変調「呪い」に対する脆弱性を持たせることができるので、プレイヤーにとっては思わぬ突破口になって面白い。

限定不死

 限定不死を持つエネミーの生命力が指定された条件以外の攻撃で0点になった場合の処理を明記しておくとGMに親切である。代表的なパターンを列挙する。

  • 指定された条件以外の攻撃で生命力が0点になった場合、その攻撃は無効となり、生命力は攻撃を受ける前の状態に戻る。(恐らくルルブの想定はこれ)

  • 指定された条件以外の攻撃で生命力が0点になった場合、生命力は0点になるが脱落はしない。生命力が0点の状態で、指定された条件の攻撃を受けると脱落する。

  • 指定された条件以外の攻撃で生命力が減少すると、例外的に生命力が0点以下になる。生命力がマイナス○点になると脱落する。(限定不死を破る方法の別解として実装できる)

クライマックスフェイズの演出

 登場人物が一堂に会してクライマックスの戦闘を開始するに至る理由や演出を簡単でもいいので記載しておいた方が良い。単に「リミットのサイクル数が経過したので戦闘してください」というだけだと、ぬるっと戦闘が始まってしまい締まりがなくなってしまう。慣れたプレイヤーが多い卓であれば、プレイヤーが自発的に演出してくれるだろうが、期待しすぎるのは良くない。

以上

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