【フタリソウサ】ディテクティブ・ファイト【シナリオ】

●シチュエーション

 美術館の展示品が盗まれた。探偵と助手は窃盗犯を捕まえることには成功したものの、盗品は犯罪組織に売り払われた後であり、地下格闘大会の優勝賞品になってしまっていた! 奪還のため地下闘技場に忍び込んだものの、探偵が選手と間違えられ無理やりエントリーさせられてしまう!こうなったらやってやるしかないのでは!? いつも助手を困らせる異常な癖もリングの上では強力な武器になるかも知れないぞ!

次回、フタリソウサ『ディテクティブ・ファイト』

犯人に真実のストレートをお見舞いしてやれ

●ロケーション・用語

地下闘技場
 煉獄組が運営する非合法施設。世界中のならず者がリングの上で命を賭した戦いを繰り広げています。

煉獄組
 煉獄太郎一(れんごく・たろういち)が率いる新興ジャパニーズ・マフィア。地下闘技場や地下賭博場の売上が主な収入源です。

●登場人物

怪盗ゲシュリーナ 24歳 女性
 事件発生フェイズにて地の文であえなくお縄となる怪盗。煉獄組とはビジネスライクなお付き合い。

アイアン・オーガ 36歳 男性
 地下闘技大会トーナメントの挑戦者。

ブラインド・スポット 28歳 男性
 地下闘技大会トーナメントの挑戦者。

アルファ・パンチ 年齢不詳 性別不詳
 地下闘技大会トーナメントの挑戦者。

バンシー・アマゾネス 25歳 女性
 地下闘技大会トーナメントの挑戦者。

トキシン・ハリテ 33歳 男性
 地下闘技大会トーナメントの挑戦者。

鏡人間ミラーパーソン 年齢不詳 性別不詳
 地下闘技大会トーナメントの挑戦者。

スキャタリング 年齢不詳 性別不詳
 地下闘技大会トーナメントの挑戦者。

煉獄太郎一(れんごく・たろういち) 55歳 男性
 煉獄組の組長。地下闘技場のオーナーにしてチャンピョンです。探偵PCを酷く恨んでいます。

煉獄一朗太(れんごく・いちろうた) 23歳 男性
 煉獄太郎一の一人息子。過去に探偵PCによって刑務所送りにされ、現在服役中です。

●真相・犯人

 本作はミステリーではなくアクションなので真相や犯人と言えるものはありません。では真相フェイズでは何をするのでしょうか?―地下闘技大会のチャンピオンと戦います。犯人が誰なのか言い当てる代わりに、チャンピオンの攻撃をいなして反撃して下さい。詳細は「真相フェイズ」を参照して下さい。

●事件発生フェイズ

 神奈川県のとある美術館から5000カラットのブラックダイヤモンド「アティギ」が怪盗ゲシュリーナによって盗まれましたが、怪盗ゲシュリーナは探偵PCと助手PCの活躍によって直ちに確保されました。捕物の様子は自由に演出して下さい。怪盗ゲシュリーナはダイヤモンドを所持していませんでした。なんと、クライアントである煉獄組の組長「煉獄太郎一」に売り払ってしまったというのです。

 かくして探偵PCと助手PCは「アティギ」を取り戻すために煉獄組の拠点に乗り込むことになりました。煉獄組は地下闘技場や地下賭博場の経営で財を成している闇組織です。彼らの拠点は当然地下闘技場を兼ねています。地下闘技場は公然の秘密となっているため、簡単に場所を突き止めて入場することができます。

 さて、ここでトラブル発生です。PCたちが地下闘技場に到着するや否や、探偵PCが地下闘技大会に参加させられてしまいます。理由はGMとPLで自由に決めて下さい。

探偵PCが地下闘技大会に巻き込まれる理由の例
・助手が勝手にエントリーした
・探偵が自らエントリーした
・探偵が他の選手と間違えられた
・探偵が他の選手をぶちのめしてしまった

 PCたちが状況を理解しようとしていると大会スタッフが探偵PCのところまでやって来て「もう試合が始まりますよ! 早く控室に来て下さい!」と言います。言う通りにしなければ不戦敗となってしまいます。賢明なバディなら直観することでしょう。いっそのこと試合に参加した方が煉獄太郎一にたどり着くことが容易なのではないかと。

 ここで、探偵PLに知ってたカードA〜Gの7枚を渡します。そして、特別ルールについてPLたちに説明します。

 特別ルールの説明が完了したら、1試合目が事件発生フェイズの最後に行われることを説明します。そうです、もう試合が始まるのです。対戦相手の弱点はおろか、誰が対戦相手なのかすらわからない状態であるにも関わらずです。そこで、初動捜査で1試合目の対戦相手について調べることになります。本シナリオの初動捜査では以下の2つの判定を行います。

判定1:1試合目の対戦相手が誰なのか調べます。技能は情報、噂話、流行です。
判定2:好きなキーワードを調べます。どの選手に関連するキーワードであるかによって使用する技能が変わります。

 初動捜査が終わったところでアナウンスが流れます。

アナウンス「まもなく第1試合! 飛び入り参加の○○(探偵PCのリングネーム)とベテランの△△(対戦相手のリングネーム)の対戦カードだ! 〇〇はおよそリングに立つことを舐めているかのような格好だが大丈夫なのか!? きっと大丈夫だ! ここは反則以外なんでもアリの掟破りの地下闘技場! 最後にリングに立つ者はその拳で真実を叩きつけた者だけだ!」

 第1試合として「試合シーン」が開始します。

●特別ルール

 本シナリオでは特別な処理があります。シナリオの根幹部分なのでプレイヤーに十分に説明して下さい。

◆地下闘技大会
・トーナメント形式です。
・探偵PCを含めて以下8名の挑戦者が参加します。
 ・探偵PC
 ・アイアン・オーガ
 ・ブラインド・スポット
 ・アルファ・パンチ
 ・バンシー・アマゾネス
 ・トキシン・ハリテ
 ・鏡人間ミラーパーソン
 ・スキャタリング
・トーナメント表はセッション毎にランダムです。GMはセッション開始前にトーナメント表を作成しておきましょう。
・トーナメントの優勝者はチャンピオンへの挑戦権を得ます。
・探偵PCの試合は後述の「試合シーン」で処理します。
・その他の試合の結果はGMがその場の勢いで演出して下さい。
◆試合シーン
・「試合シーン」はマスターシーンの一種です。
・捜査フェイズにおいてシーンプレイヤーが「試合シーンを開始する」旨を宣言すると「試合シーン」が開始されます。
・「試合シーン」では探偵PCが試合に勝利できるかどうか行為判定で決めます。この判定を「試合判定」と呼びます。
・探偵PCが試合に敗北した時点で事件は迷宮入りとなります。心労が3未満であったとしても迷宮入りです。
◆試合判定
・「試合判定」に成功すれば試合に勝利、失敗すれば試合に敗北となります。
・「試合判定」に技能の指定はありません。
・「試合判定」のダイスはデフォルトで1個です。3個まで増加する可能性があります。
・「試合判定」の前に「異常な癖」を発動することができます。異常な癖は1D6で決めます。「異常な癖」を攻撃に転用するようなロールプレイができれば「試合判定」のダイスが1個増えます。
・「試合判定」の前に対戦相手の弱点を言い当てることができれば、「試合判定」のダイスが1個増えます。
◆試合判定に失敗した場合
 「試合判定」に失敗しても挽回のチャンスがあります。余裕を1点消費することで以下の行動を行うことができます。
①まず、助手PCが行為判定を行います。これを「セコンド判定」と呼びます。「セコンド判定」に成功すると現在の対戦相手に関するキーワードを1個獲得できます。この判定では選手毎に定められた技能で判定を行います。
②①に続いて、探偵PCが「試合判定」をやり直すことができます。やり直しの際、「異常な癖の発動」や「相手の弱点の指摘」を再度行えば、ダイスは最大3個まで増えます。

 上記の処理は「試合判定」に成功するか、心労が3点になるまで、繰り返すことができます。
◆知ってたカード
・探偵PLはいきなり7枚配られてびっくりしましたか?
・今回の知ってたカードは事件のあらましではありません。地下闘技大会参加選手のプロフィールです。選手1名につき1枚の知ってたカードがあります。プロフィール中のキーワードはその選手の弱点を示している場合があります。対戦相手を十分に調査しておくことで「試合判定」が有利になるでしょう。
・普通のキーワードであってもフタリソウサシーンによって獲得することができます(キーワードの数が異常に多いことに対する救済措置)。

●捜査フェイズ

 試合と試合のインターバルの間に地下闘技場を駆け回って対戦相手や「アティギ」の情報をかき集めましょう。そして試合に勝ち抜きましょう。

●マスターシーン:2試合目終了時

 煉獄太郎一がリングに登り、マイクパフォーマンスを行います。煉獄太郎一は体中に綺羅びやかな装飾を施した筋骨隆々の大男です。

煉獄太郎一「今日もよく集まってくれた! 今の世の中、嘘、嘘、嘘! まやかしばかりだ! 真実はどこにある! そうだ! リングの上にしか真実はない! 命をかけた戦いの中にこそ真実はある! 今宵真実をつかみ取り、真の漢である煉獄太郎一に挑むのはどいつだ! 〇〇(探偵PCのリングネーム)なんて超新星も現れたようだからな! 今宵は期待していいんだな!? そうだろ!? 俺は逃げずに待ってるぜ! 真実にたどり着いて見せろ!」

 煉獄太郎一の胸に巨大な黒い物体が見えることでしょう。胸毛ではありません。光沢を放っています。

 ここで、探偵PLに知ってたカードHを渡して下さい。

●フタリソウサシーン:重要キーワードH1

 PCたちは煉獄太郎一の弱点を探るべく、彼の控室を探したり彼の付き人を詰めたりします。その結果、煉獄太郎一が違法薬物を大量摂取していることがわかります。それも命に関わるほどの分量です。1時間に1度摂取しなければ身体の維持はおそらく不可能でしょう。重要キワードの『H1:1時間に一度のドーピングが必須』を獲得します。薬物依存が弱点のようです。何かしらの策を打っておくとよいでしょう。

対抗策の例
・薬物を隠す
・薬物をすり替える
・薬物に酒を混ぜる
・探偵PCも薬物をキメる

●フタリソウサシーン:重要キーワードH2

 煉獄太郎一の胸で輝く巨大な黒い物体の正体は一体何なのか。考えるまでも無いことでしょう。そう、5000カラットのブラックダイヤモンド「アティギ」です。彼の胸部にアティギが埋め込まれているのです。しかし何故そんなことを? PCたちは訝しんだり訝しまなかったりします。そこへ、2回戦目で探偵PCと戦った選手がやって来ます。

2回戦目で探偵と戦った選手「どうしてジェムボーグ・煉獄太郎一がアティギを体に埋め込んでいるのか知りたいか? 奴は美術品に宿るオカルティックな力を信奉しているんだよ。パワーストーンとかあるだろう? 同じ類の呪い(まじない)さ。奴は美術品と一体化することでオカルトパワーをより強く引き出そうとしているのさ。実際効果があるかは知らないがね、奴自身が美術品で有り続ける限り奴の心は絶対に折れない。用心しろよ」

 PCたちは重要キーワードの『H2:自身に装飾したり埋め込んだりすることで美術品との一体化』を獲得します。

●フタリソウサシーン:重要キーワードH3

 探偵PCはふと思い出すことでしょう。かつて解決した殺人事件の犯人が煉獄一朗太という名のチンピラであったことに。かの事件は謎解きとしては非常につまらないありふれたものでしたが、見つけた証拠が次から次へと揉み消され、犯人を追い詰めることに苦労した記憶があることでしょう。証拠隠滅を図るほどの親バカであれば、煉獄太郎一は探偵PCを酷く恨んでいるに違いありません。

 PCたちは重要キーワードの『H3:刑務所にぶち込んだ探偵PCを酷く恨んでおり、地下闘技場で直々にぶちのめさんと探偵PCを誘き寄せた』を獲得します。 

知ってたカード

 弱点、特記事項、指定技能はGM向けの情報です。知ってたカードやキーワードと一緒にプレイヤーに渡さないよう注意して下さい。
 弱点はその選手の弱点です。探偵PCが弱点を言い当てた場合は「試合判定」のダイスを1個増やしてあげましょう。判断は多少甘めでいいと思います。
 特記事項はその選手との試合でのみ発生する効果です。
 指定技能は、その選手が対象になった初動捜査や「セコンド判定」で使用する技能です。

知ってたカードA:アイアン・オーガ 36歳 男性
 本名:「A1」。どんな攻撃にも決して動じない偉丈夫。殆どの挑戦者はアイアン・オーガに「A2」敗退していく。10年前のバイク事故の影響で「A3」がある。「A4」。

キーワード

A1:摘田剛(つみた・ごう)
A2:傷一つ付けることができずに
A3:右膝に脆弱性
A4:20代の頃は丸々太っていたのでアイアン・オークの名前で活動していた
弱点:右膝
指定技能:法医学
知ってたカードB:ブラインド・スポット 28歳 男性
 本名:「B1」。とても格闘家とは思えない「B2」だが、勝率は極めて高い。相手の「B3」からの攻撃を得意とする。必殺技の「B4」は強力だがレフェリーにバレたらブラインド・スポットはただでは済まないだろう。

キーワード
B1:ドン・エドモンドソン
B2:長身痩躯
B3:死角
B4:リング外からの銃撃

弱点:猛攻(本人は華奢なので)、ルール違反の指摘(流石に場外からの援護射撃は誰も擁護できない)
指定技能:嘘
知ってたカードC:アルファ・パンチ 年齢不詳 性別不詳
 「C1」。全身を黒マントで隠している。何手先までも完全に読み切ったエレガントかつ一方的な試合運びで人気を集めている。アイアン・オーガ顔負けの鋼鉄のような身体を持つ。表社会の格闘競技の試合を「C2」としている。ちなみに本大会に「C3」は認められていない。

キーワード
C1:正体は格闘アンドロイド
C2:教師データ
C3:ロボットの参加

弱点:突拍子もない行動(教師データがまともな試合だから)、ルール違反の指摘(ロボットが参加してはならないから)
指定技能:科学
知ってたカードD:バンシー・アマゾネス 25歳 女性
 本名:「D1」。頭脳明晰、筋骨隆々。必殺技の「D2」で相手の「D3」を破壊する。「D2」の乱用で常に酸欠であり「D4」。

キーワード
D1:ウーナ・バルコス
D2:ウルトラソニック・シャウト
D3:鼓膜
D4:持久力がない

弱点:なし
特記事項
・「試合判定」のダイスは最初から2個である(バンシー・アマゾネスは持久力がないため、探偵が有利)。
・「試合シーン」の最初にバンシー・アマゾネスはウルトラソニック・シャウトを使用する。大変煩くセコンドも無事では済まないため、助手PCは防御で行為判定を行わなければならない。失敗すると余裕が1D3点減少する。この行為判定では、キーワードD2またはキーワードD3を獲得済みであれば有利を得ることができる。
指定特技:外見
知ってたカードE:トキシン・ハリテ 33歳 男性
 本名:「E1」。先祖代々伝わる「E2」に27年間毎日1万回ずつ張手を繰り返した結果「E3」を手に入れたが、それが理由で「E4」を追放された。「E5」がない。

キーワード
E1:常田恒雄(ときた・つねお)
E2:トリカブトを煮詰めた暗黒ちゃんこ
E3:毒手
E4:角界
E5:弱点と言える弱点

弱点:なし
指定特技:根性、突破
知ってたカードF:鏡人間ミラーパーソン 年齢不詳 性別不詳
 千年に一度の逸材とまで言われた伝説の「F1」芸人。自分と推しの区別が付かなくなった過激派ファンに襲われた際に自衛として「F2」で「F1」した結果、過激派ファンに重症を負わせてしまい、責任をとって芸能界を引退した。以来、精神を病んで自我を失い、常に何らかの「F1」をするようになってしまった。相手の「F3」に対してはそれを「F1」することで相殺する。控室で「F4」のを度々目撃されている。

キーワード
F1:モノマネ
F2:過激派ファンの行動を120%の完成度
F3:必殺技
F4:瞳にハイライトが戻っている

弱点:自我を取り戻させられる
特記事項:異常な癖ボーナスが付かない
指定特技:外見、社交
知ってたカードG:スキャタリング 年齢不詳 性別不詳
 度重なる「G1」で人類とは思えない姿となった異形の老人。身体の「G2」になっており、回避や遠距離攻撃に応用する。無理な「G1」が祟って「G3」が近い。試合に勝つことを目的としていない。真の目的は「G4」で探偵を反則で失格にすることである。だが悲しいかな、本大会からルールが変わっており、「G5」は反則事由から除外されている。

キーワード
G1:身体改造
G2:様々なパーツが取り外し可能
G3:死期
G4:リング上で死亡すること
G5:対戦相手の殺害

弱点:なし
特記事項:「試合判定」の成否に関わらず探偵PCの勝利となる。
知ってたカードH:ジェムボーグ・煉獄太郎一(じぇむぼーぐ・れんごく・たろういち) 55歳 男性
 地下闘技場や地下賭博場などの経営によって一代で莫大な富を築き上げた叩き上げのマフィア。腕っぷしも強く、地下格闘大会が始まって以来、チャンピオンの地位に君臨し続けている。類稀なる薬物適性にものを言わせたドーピング剤のオーバードーズによって剛健な肉体を獲得しているが、代償として『H1』である。美術品に目がない。美術品を収集して鑑賞するだけでは飽き足らず、『H2』を図っている。一人息子の煉獄一朗太(れんごく・いちろうた)を『H3』。

重要キーワード
H1:1時間に一度のドーピングが必須
H2:自身に装飾したり埋め込んだりすることで美術品との一体化
H3:刑務所にぶち込んだ探偵PCを酷く恨んでおり、地下闘技場で直々にぶちのめさんと探偵PCを誘き寄せた

真相フェイズ

 「事件の振り返り」と「犯人はお前だ」は行いません。リングの上での探偵PCと煉獄太郎一の一騎打ちとなります。この試合に勝利するには判定に3回成功する必要があります。判定に失敗しても、余裕を1点減らすことで振り直しが可能です。

アナウンス「さあ! いよいよ本日最後の試合です! 今宵、無敵のチャンピオン、ジェムボーグ・煉獄太郎一に挑むのは〇〇(探偵PCのリングネーム)だ! 彗星の如く現れベテラン選手を次々と打ち破った〇〇ならば、煉獄太郎一の無敗伝説に終止符を打つことができるやもしれません! 一方、煉獄太郎一! 余裕の表情です! 彗星の尾は俺様太陽があってこそのものだと言わんばかりの堂々とした態度です! この試合、一体どうなってしまうのでしょう!」

ゴング「カーン!」

1回目の判定
 煉獄太郎一は胸を広げ、極度に肥大した人間離れした肉体を誇示します。これはまるで人間ぬりかべ。こんな巨体の攻撃をいなし反撃を加えることなどできるのでしょうか? 探偵PCと助手PCは不利を得た上で判定を行います。技能は法医学、突破の何れかです。もし、重要キーワードH1を獲得済みであり、かつ、煉獄太郎一のドーピング剤に関して何らかの細工を施すロールプレイをしていた場合は技能を持っていなくても有利を得ることができます。

2回目の判定
 煉獄太郎一は探偵PCから思いもよらぬ一撃を受けましたが全く動じません。探偵PCが十分な手応えを感じたのにも関わらず。煉獄太郎一の自信は一体どこから湧いてくるのでしょうか? 探偵PCと助手PCは不利を得た上で判定を行います。技能は外見、根性の何れかです。もし、重要キーワードH2を獲得済みであれば、煉獄太郎一の美術品をこそぎ落とすことで彼に精神的なダメージを与えられることに気付き、技能を持っていなくても判定に有利を得ることができます。

3回目の判定
 煉獄太郎一は語り始めます。

煉獄太郎一「〇〇(探偵PCのリングネーム)、いや、△△(探偵PCのPC名)よ。俺は貴様に貸しがある。貴様がどんな償いをしようとも決して賄いきれない程の貸しだ。忘れたとは言わせんぞ。煉獄一朗太を知っているな? 俺の一人息子だ。貴様が俺の息子にしでかしたことを言ってみろ!」

 PCたちは重要キーワードH3に基づき返答してもいいし、当てずっぽうで返答してもいいし、完全に無視しても良いです。好きに返答しましょう。探偵PCと助手PCは判定を行います。技能はGMが状況に即したものを指定します。また、その場の盛り上がり方に応じて有利・不利を決定します。

 3回の判定に成功するとジェムボーグ・煉獄太郎一はリングの上に倒れ伏します。探偵PCは見事地下闘技大会の新チャンピオンとなるのです。「アティギ」は煉獄太郎一の胸に埋め込まれています。抜くなり焼くなりすると良いでしょう(焼いたら酸化して迷宮入りですが)。

終了フェイズ

迷宮入りした場合
 「アティギ」は煉獄太郎一の胸に埋め込まれたままです。彼が地下闘技大会で敗れるその日まで、「アティギ」が表社会に出回ることは無いでしょう。

解決した場合
 煉獄太郎一は窃盗の教唆でお縄になります。煉獄組は若頭の誰かが率いていくことになるでしょう。もしかすると若頭は探偵PCの強さに惚れ込み、地下闘技場の新オーナー就任を打診してくるかもしれません。

あとがき

 フタリソウサというシステムはミステリーだけでなくサスペンスやアクションも可能であることを示すために本作を作成しました。バディもので相方が大会に巻き込まれるってあるあるっぽくないですか?(具体例は思い浮かばないがそういうイメージが有る)

 「アティギ」は「厚木」をもじったものです。身内卓で遊んだときは「厚木ダイヤモンド」だったのですが、『「厚木ダイヤモンド」て何だよ』と言われることうけあいなのでエキゾチックな名前に改変しました。

以上

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