【シノビガミ】師匠たちと弟子【シナリオ】

シナリオスペック
レギュレーション:現代編
タイプ:特殊型
リミット:3
プレイヤー人数:2〜4人
その他:中忍頭以上推奨

導入

悩み
 風神という名の忍者がいる。修行の末に下忍頭まで上り詰め、単独忍務を任されるまでに至った。しかし、彼の記念すべき初単独忍務は散々な結果に終わった。自分の力不足を痛感した。このままではいけない。もっと強くならなければ。そんな折、別の忍務で素敵な剣士「雷神」と共闘した。彼女の雷の如き剣さばきに一目惚れしてしまった。彼女に追いつき認められたい!

弟子入り(PC1導入)
 風神はPC1(ハグレモノ推奨)を訪ねる。「どうか弟子にして下さい!PC1さんの数々の武勇伝に感じ入りました! 僕もそれくらい強くなりたい!一丁前に奥義を使えるようになりたいのです!」PC1は気分が良かったので弟子に取ってやることにした。

嫉妬(PC2導入)
 PC2は別件でPC1に探りを入れていた。裏社会で知らぬ者は居ないPC1。それは強者であることを示しているとも言えるし、単に正体を隠すのが下手くそなだけとも言える。PC2は「こんな奴に弟子入りだと!? 正気か!? 俺が正しい方向に導いてやる!」と憤り、PC1に対抗して風神にインストラクションを与えることにした。

遺言(PC3導入)
 他のPCたちの導入よりも数週間前。日本の伝統的な屋敷にて、衰弱した老人が床に臥している。この老人はかつて一夜にして100体の妖魔を葬ったことで有名な忍者、「轟大嵐(とどろき・たいらん)」である。そして、風神の祖父である。PC3は轟の傍らで跪いている。PC3は轟に大きな恩があり、最期の挨拶に来たのだ。轟はPC3に遺言を残す。「風神を……そうだ、風神だ。あやつがそう名乗って、それに見合う忍者になるべく努力をしておるのじゃ。その名で呼んでやるのが礼儀じゃろうて。風神を頼むぞ。立派な忍者にしてやってくれ……あやつにはそれだけの努力と覚悟がある……」数日後、轟は亡くなった。
 それから数週間後、即ち現在。PC3は遺言を果たしに風神の元へ向かう。

通り魔(PC4導入)
 会社帰りのくたびれた会社員を付け狙う怪しい影。その影こそPC4だ。PC4は会社員を頭から爪先まで舐めるように観察してニヤリと笑う。今日の獲物はコイツだ! 会社員を後ろから取り押さえると操り人形めいて強制的に空手の基本動作を取らせる! 会社員は逆らえない! 空手の基本動作は会社員の血に眠る何らかの因子、シノビガミの遺伝子を呼び起こす! 会社員は内側から湧き上がる凄まじい力を感じる! そして自分が何になったか本能的に理解する……忍者になったのだと! PC4は「今日もいい仕事をした」と思いながら家路につく。

ハンドアウト公開
 全員の導入が完了したら、「風神」、「失踪事件」、「雷神」の【使命】を公開します。

特別ルール「風神の稽古」

 本シナリオでは、PCたちが風神を自分の理想の忍者に育て上げるべく対立しています。理想の忍者に近づけられたかどうかを客観的に判断するためのルールが「風神の稽古」です。

風神のデータの扱い
・最初の特技はランダムな2個。
・最初の忍法は【接近戦攻撃】と【射撃戦攻撃】。指定特技は修得済みの特技からGMが自由に選択。
・最初の生命力は6点。
・エネミーデータではなくPCデータとして扱う。
・階級は下忍頭
稽古判定
・ドラマシーンのシーンプレイヤーは、風神をシーンに登場させることができる。以降の記述は風神がシーンに登場している前提。
・シーンプレイヤーは、風神が未修得、かつ、自分が修得済みの特技を1個選択し、その特技で補助判定を行える。これを稽古判定と呼ぶ。
・稽古判定に成功すると、「稽古判定に使用した特技」と、「自分が修得済みの任意の忍法1個」を、風神に修得させられる。誰の稽古判定で修得した特技・忍法なのかわかるようにメモしておくこと。
・稽古判定では、階級制限と流派を無視して忍法を修得させることができる。ただし、修得済みの忍法と同名の忍法は修得させられない(【頑健】などの「※」付き忍法は可)。
・風神は、特技は6個まで、忍法は5個まで修得できる。
・風神が既に上限まで特技や忍法を修得済みの場合、稽古判定に成功したら、風神が修得済みの特技や忍法を1個選んで未修得にさせた上で、新たな特技や忍法を修得させられる。
その他
・風神は、最も多く特技を修得している分野が得意分野となり、その両端のギャップが埋まる。
・特技数が最大の分野が複数ある場合は、最後に稽古判定に成功したキャラクターが得意分野を決定できる。
・各サイクルの最後にマスターシーンで風神が自主練をする。自主練では、ランダムに選ばれた特技が別のランダムな特技に変化する。
・クライマックスフェイズ終了時に、風神の六代流派が得意分野に対応したものになる。

3行でまとめる(まとまりきってないけど)と:
・風神に任意の特技で「【教導】っぽいこと」ができるよ。
・風神に「【教導】っぽいこと」に使った特技も教えることができるよ。
・風神が個数の上限まで忍法や特技を修得していたら、上書きできるよ。

採点方法

 各PCが風神を自分の理想に近付けられたかどうかの度合いは、クライマックスフェイズ終了時に下記の得点表に従って採点し数値化します。最も得点の高いPCだけが表の【使命】を達成したことになります。
 
得点表は採点時まで非公開としてください。

「理想の中忍度」得点表
・風神に自分が教えた特技が残っている:1点/個
・風神に自分が教えた忍法が残っている:1点/個
・風神に試練を与えた:2点
・試練がGMの琴線に触れた(0〜1名のみ):1点
・風神が自分が与えた試練を達成した:2点
・風神の最終的な得意分野が自分と同じになった:2点

マスターシーン

 各サイクルの最後に行います。風神のみが登場します。風神は以下の行動を行います。
・自主練により、ランダムな特技1個を未習得にし、ランダムな特技1個を新たに修得する。
・試練に挑戦する。複数の試練を受けている場合は、先に受けた方から順番に全て挑戦する。
・その他、シーンプレイヤーが使用できる忍法を修得している場合は、GMの気まぐれで使用する。(特定のPCが有利・不利にならないよう気をつけること)

クライマックスフェイズ

 PCたちはそれぞれの方法で失踪事件(またの名を神隠し事件)の黒幕を突き止めます。黒幕の正体は中級妖魔の「蘇摩(ソーマ)」だったのです。PCたちは風神の稽古を一旦休止し、本来の忍務を遂行するために蘇摩の元へ集います。蘇摩は神経細胞めいた姿であり、無数の樹状突起の中には失踪事件の被害者たちが縦に引き伸ばされて収められています。蘇摩の足元には1人の忍者が倒れています。彼女こそ独自に事件を追っていた鞍馬神流の上忍、雷神です。手練れの雷神ですら叶わなかった強敵との戦いが始まろうとしたその時! PCたちの後ろからみんなの愛弟子たる風神が現れます。 「僕も一緒に戦います! 師匠たちの教えを今こそ実践します! 師匠たち、そして雷神さん! 見ていてください!」

 クライマックスフェイズの戦闘にはPC全員、雷神、蘇摩が参加します。蘇摩の生命力は、PC2人の場合は10点、PC3人以上の場合は15点です。後はPCの階級を見て適当に調整してください。PC人数が2名のときは雷神がお助けキャラとして参加します。雷神の生命力は2点です。

 風神の操作は、GMではなく、風神が達成した「試練」を与えたPCのPLが行って下さい。他のNPCは通常通りGMが操作します。

 蘇摩はPCと雷神の奥義に対して、初見であっても奥義破り判定が可能(【一見】の効果)で、奥義破り判定には自動成功します(オリジナル忍法【真・博識】の効果)。しかし、風神の奥義に対しては、最初の一回のみ奥義破り判定を行えません。風神が今この瞬間に編み出した奥義なので、知識もへったくれもないのです。つまり、風神しか蘇摩にトドメを刺すことができません。

 なお、【真・博識】を呪いの変調で未修得にできるという抜け道をあえて残しています。PLから「呪いで突破できるんじゃ……」と言われたら肯定的な返答をしましょう。正攻法以外で倒すの楽しいよね。

 戦闘終了条件は、「蘇摩が脱落する」または「PC、風神、雷神が全員脱落する」です。

結末

蘇摩を倒した場合
 失踪事件の被害者は全員助かります。PC2の秘密に書かれているとある政治家の娘も無事帰ってきます。ただ、縦に引き伸ばされていたのでしばらくは全身の筋が痛むことでしょう。そしてニューロンを酷使されていたのでブドウ糖を渇望することでしょう。
 全てのPCの【追加の使命】は達成となります。

蘇摩に敗北した場合
 失踪事件の被害者は帰ってきません。縦に引き伸ばされてニューロンを酷使され、最終的に蘇摩に溶け込んで消滅します。蘇摩はこの街での活動を終え、次の街へ新たな獲物を探しに行きます。
 全てのPCの【追加の使命】は不達成となります。

風神について
 クライマックスフェイズの戦闘の結果に関わらず、風神の【秘密①】に記載されている「中忍になる条件」が満たされていれば、風神は晴れて中忍に昇格します。風神が中忍に昇格した場合、「理想の中忍度」が全PC中最大のPCは表の【使命】が達成となります。
 風神が中忍に昇格したら雷神は素直に褒めるでしょう。雷神はどんなときでも他者へのリスペクトを欠かさない姉御キャラです。
 風神が昇格できなかった場合、雷神は「落ち込むな、精進しろよ」と言って雷の如き速さで消えます。雷神はどんなときでも他者へのリスペクトを欠かさない姉御キャラです。

ハンドアウト

PC1

【使命】
 あなたは風神を弟子として取ることにした。あなたの【使命】は、風神を理想の中忍に育て上げることである。

【秘密】
 勢いで弟子を取ってしまったが、実は現在別の仕事の最中だ。最近関東で人が消える事件が頻発している。界隈では「神隠し事件」と呼ばれている。どうやら妖魔の仕業らしい。あなたの【追加の使命】は、神隠し事件を解決することである。表の【使命】の功績点が2点、【追加の使命】の功績点が1点である。

PC2

【使命】
 あなたはとある忍務でPC1の調査をしていた。PC1の調査自体は完了したが、調査中に看過出来ない事実を知ってしまった。PC1が弟子を取るというのだ。自分正体も隠せないようなボンクラ忍者が弟子を取るだと?笑わせる。真の忍者が何たるか俺が教えてやらねばならない。
 あなたの【使命】は、風神を理想の中忍に育てることである。

【秘密】
 実は忍務中である。とある政治家から、行方不明になった娘の捜索を依頼されているのだ。おさげに丸メガネの典型的な優等生委員長なので家出とは考えにくい。あなたの【追加の使命】は、とある政治家の娘を無事連れて帰ることである。
 表の【使命】の功績点が2点、【追加の使命】の功績点が1点である。

PC3

【使命】
 あなたは今は亡き風神の父、轟大嵐(とどろき・たいらん)に大きな恩がある。あなたは、死に際の轟から風神の面倒を見るように頼まれた。あなたは轟の想いに応えるべく風神に稽古をつけてやることにした。だが、風神のところへ来てみれば何だ。変な虫が二匹(PC1とPC2)も付いているではないか。待っていろ、風神。轟さんに誇れるような立派な中忍にしてやるからな。そんな変な奴らに染まるんじゃないぞ!
 あなたの【使命】は、風神を理想の中忍に育てることである。

【秘密】
 風神の育成も大事だが、本業もおろそかにはできない。最近、街で失踪事件が頻発している。このまま放っておけば表社会に大きな影響が出るだろう。陽の光の下で堅実に生きる一般人を守るのが我ら忍者の務め。あなたの【追加の使命】は、失踪事件を解決することである。表の【使命】の功績点が2点、【追加の使命】の功績点が1点である。

PC4

【使命】
 あなたは通り魔めいてインストラクションを施していく危険な忍者存在だ。あなたの行いによってこの街の人口の1%が草になった。この調子で全員忍者にするぞ。おや、この風神とかいう青年、なかなか見所がある。たまには忍者相手の稽古をつけるのもいいかな。
 あなたの【使命】は、風神を理想の中忍に育てることである。

【秘密】
 実はあなたには伝説の忍者「轟大嵐(とどろき・たいらん)」が取り憑いている。そのあまりに大きすぎる力はあなたには制御しきれない為、ガス抜きとして通り魔めいたインストラクションを繰り返しているのだ。轟の目的は2つ。1つは息子の風神を立派な中忍に育て上げること。もう1つは通り魔事件を解決することである。轟は自分の力でこの事件を解決したかったのだが、病には勝てなかったのだ。あなたは轟の無念を晴らして早く解放されたい。
 あなたの【追加の使命】は、失踪事件を解決することである。表の【使命】の功績点が2点、【追加の使命】の功績点が1点である。


風神

【使命】
 あなたは雷神の剣さばきに一目惚れし、彼女の相棒になりたいと考えた。あなたの【使命】は立派な中忍になり、雷神に認められることである。

【秘密①】
 拡散情報。
 風神は雷神に対して恋心を持っていない。純粋に強さや生き方に憧れている。
 実は風神は、中忍に昇格できるだけの鍛錬は既に積んでいる。しかし実戦経験に乏しい為、まだ才能が開花していない。「中忍になる条件」は以下を全て達成することである。
・特技を6個修得する。
・忍法を5個修得する。
・奥義を1個修得する。
 この【秘密】を獲得したPCは、風神の【秘密②】に情報判定できるようになる。

【秘密②】
 この秘密を知っているPCは自身がシーンプレイヤーのドラマシーン中に風神に対して「試練」を課すことができる。「試練」はゲーム的に可能かつ行為判定(ドラマシーンでは補助判定扱い)を1回以上含んでいればどんな内容でも構わない。

試練の例
 例1「お前は恋というものを知らなければ次の段階へ行けない。マスターシーン中に私の妹を《遊芸》か《九ノ一の術》による補助判定で楽しませなさい」
 例2「お前は後一押しが足りない。戦闘シーンで1回でもいいから私が教えた攻撃忍法で相手にダメージを与えてこい」

 風神は複数の「試練」を受けることができる。複数の「試練」を受けており、それらに挑戦可能なタイミングが被った場合は、先に受けた「試練」から順番に挑戦する。1個でも「試練」を達成したら、以降は他の「試練」に挑戦しない。

 風神は以下の条件を全て満たすと、クライマックスフェイズ中に任意のタイミングで奥義を1個修得する。修得タイミング、奥義の名前、指定特技、エフェクト、演出は、風神が達成した「試練」を与えたPCのプレイヤーが風神の気持ちになって決めること。
・風神が他のキャラクターの奥義を目視する。即ち、風神と同じシーンに登場している他キャラクターが奥義を使用する。(風神が奥義の【情報】を入手するだけでは駄目。必ず目視すること。)
・「試練」を達成する。


失踪事件(別名:神隠し事件)

【使命】
 最近巷を賑わす事件。犯人の消息が掴めず警察はお手上げである。影の世界では妖魔の仕業と見られ、各流派が独自に調査を進めている。

【秘密】
 失踪者の共通点は、周囲から「頭脳が優秀」と評価されていることだ。学校の成績上位生徒、大学教授、インテリヤクザ、粗暴なギャングチームの頭に血が上りやすいリーダーが唯一信頼し話を聞く相手であるところの顔が良く眼鏡でリーダーの幼馴染である側近、等。このような特徴の人間を狙う妖魔は約400年前にも出現していたようだ。名は「蘇摩(ソーマ)」。恐ろしく頭が良く、ありとあらゆる知識を有するという。その知識は奥義の【情報】すら例外ではない。
 この【秘密】は蘇摩の【秘密】として扱う。つまり、この【秘密】を持っていれば蘇摩に対して【揺らし】等の効果が発揮される。

蘇摩のキャラクターシート

雷神

【使命】
 鞍馬神流の剣士。上忍。「雷神」の名は稲妻の如き鋭い剣捌きが由来である。失踪事件を解決することが【使命】である。

【秘密】
データは基本p188の剣仙
 失踪事件の黒幕に辿り着いたが、倒すことができなかった。黒幕の弱点が「奥義による生命力減少で生命力を0にすること」であることは見破ったが、初見の奥義すら破られてしまうのだ。

補足:「奥義による生命力減少で生命力を0にすること」を満たす方法は以下の通り
・【クリティカルヒット】
・【範囲攻撃】
・【不死身】(強み:目覚め)使用後の攻撃忍法
・【絶対防御】(強み:返し)
・【絶対防御】(強み:流し)
・【不死身】(強み:返し)
・【不死身】(強み:流し)
・【完全成功】で判定を成功させた攻撃忍法またはサポート忍法
・【判定妨害】(強み:揺らめき)
・【追加忍法】の攻撃忍法またはサポート忍法

あとがき

 ライバル同士で弟子を取り合うなんかありそうなやつのやつをやりたかったので作りました。PL2人でも遊べるので是非遊んでください。

以上

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