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正産期に突入して

2022年12月26日。
もはや習慣化しストックもされていた妊娠検査薬(この話を人にするとどういうこと?みたいな顔をさせてしまうけれど)の結果が陽性だった日。
慌てて夕方もやっている産婦人科を調べて、慣れない病院や、健康診断でしかしたことのない内診に緊張して体が強ばったのを覚えている。

そして子宮内で、小さな小さな、まだ人間の形にもなっていない丸い胎のうを見た、あの日。
これからどうなるのかも分からず、まだぼんやりとしか湧かない実感の中、あっという間に予定日を告げられ、てきぱきと説明され、気付くと病院の外。
正直、なんだかフィクションのように感じてしまった。

その気持ちに変化があったのは、その次の妊婦検診。
心拍が確認出来たのと、豆のような丸い形だったのが魚のような、でも人になろうとしているのが分かるような形に変わっていた。
それがなんだか嬉しかった。
その時にはもうつわりも始まっていて、食べ物もあまり通らず、仕事も休みがちで、これで大丈夫なのかと心身共に苦しかった頃だった。
それでも、この子は頑張って成長しようとしてくれている。
間違ってないよ、大丈夫だよ、と言って貰えたような気がして、誰に言われる言葉よりも心が軽くなった。

安定期に入ってからは仕事も通して出来るようになり、検診が4週間に1度になった。
つわりもなくなり、徐々に大きくなっていくお腹。
そんな中で分かった性別。
私の周りの人は女の子っぽい、というイメージだったようで、実際は男の子だったということを話すと驚かれた。
性別がわかるとより実感も湧いて、服を見てみたり、名前を考えたり、所謂マタニティライフを楽しむ余裕が少し出来た。

安定期からあっという間に妊娠後期、更に産休に入り、改めて周りを見渡すと、安定期前からずっと気遣ってくれた職場の人達、お腹を見て話しかけてくれたり急がなくていいよ、と言って下さったお客様、見ず知らずの私に通勤・退勤時に優しく接してくれた電車で席を譲ってくれた人達、それから友達家族。
色んな人達に迷惑もかけてしまったけれど、本当に沢山助けてもらって、支えてもらったそのお陰で、臨月に入った今までずっと何事もなく赤ちゃんはすくすく成長出来ている。
妊娠も出産も全部命に関わることだけど、でも周りの人達だって人間だから、特に仕事中なんかはずっと人に優しく余裕があるかと言われるとそうではないのもわかっていて。
だからこそ、本当にありがたい。
私は、私達は、幸せだなと改めて思った。
いつか、赤ちゃんが大きくなった時、あなたがお腹にいる時から生まれてくるのを楽しみにしてくれている人達が、家族以外にも沢山いたんだよ、その人達からも愛を貰っていたんだよ、と教えてあげたい。

とはいえ、ここまで前向きに今でこそなったけれど、産休に入ってまず感じたことは、社会から取り残されたような、そんな疎外感だった。
仕事をしていないという罪悪感や、もともとそんなに得意ではなかった家事をやるということ、それから妊娠初期からずっとある、場所や物に対しての制限。
そしてそれに伴いイライラしたり、ナーバスになってとにかく情緒が不安定になってしまい、それに加えて意識がなくなったのかと思うくらいの強い眠気、怠さ。
それからまだ生まれていない赤ちゃんとのこれからのこと。
楽しみもあるけど、怖くもあるし、何より不安だった。

それでも、赤ちゃんがどんどん大きくなっていくことは毎回嬉しかった。
現在37週で2800g、全然もう生まれてきてもおかしくない(なんならそろそろ生まれてきてくれとすら思っている)。
でも、生まれてきたら、そして成長していつか手を離れる時が来たら、その時私はこの妊娠中のことを思い出して、ああ時間が戻らないかなあ、なんて思うんだろうか。

まあ、あれこれ書いたけれど、私自身相当マイペースで、お母さんになるんだ、ってまだはっきり思えていないところもあるし、一年目っていつも不安と期待が9:1くらいだけど、なんとか(周りの人の力を借りまくって)頑張るから、いつでも待ってるよ〜〜。
ゆっくり(でもあんまりビッグベビになりすぎない程度くらいのところで)出ておいでね〜〜。




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