見出し画像

これといって何もなかった歳末の大阪旅行(2)

共通の友達、カズオ君が合流したのは15時くらいだった。

どこに行こうかー?となって色々選択肢はあったけど、行ったことがない場所がいいというボクのリクエストからカズオ君の地元の尼崎に行くことになった。

出屋敷という尼崎のひとつ向こうの駅からめちゃくちゃ長いアーケードを歩いて尼崎駅まで歩いくと、途中で肉屋さんの軒先で売っているホルモンとか総菜屋さんの唐揚げとか色々あるから、食べ歩きしながらビールでも飲みましょうという流れになって尼崎に向かったわけなのですが、移動の電車の中で猛烈な睡魔が襲ってくるんです。根津くんとボクは交代で寝落ちしながら出屋敷に到着。

出屋敷から少し歩くとアーケードが見えてきます。

アーケードの入口(出口?)には早速お肉屋さんが何軒かあって、そのひとつで薄いプラスチックの皿に乗ったホルモンの盛り合わせを購入、ビールを買って食べ歩きスタート。

フラフラ歩きながら、ホルモン焼きのお店があったので覗いてみると、中にはどう考えても地元の(クセがありそうな)人しかいない。覗き込むように見ていると、店内にいた人たち全員が若干敵意のあるようなよそ者を見るような目線でこっちを見てきます。

こういう感じは久しぶりで近寄ってはいけないんだなぁと思い、そのお店を後にしました。

途中で唐揚げを買って道の端っこに座り込んでつまんだりしながらさらに進んでいくと、だんだん活気が出てきました。出屋敷側は少し寂れている感じだったけど、尼崎方面に向かうと、まぁモノ凄い人の数です。商店街がシャッター街になっているという話はよく聞きますが、ここに関しては全くそんなことがない。
そして、この商店街(アーケード)、めちゃくちゃ長いんです。

果てしなく続いている感じで出口が見えない中をひしめき合う人の波。
歳末の関西の活気を感じました。

「めちゃくちゃ広いお好み焼き屋さんなんやけど、ワンオペでやってる変わった店があるけど行く?」
「行きましょう」

そのお店は4人のボックス席が12個、8人がけの座敷が3つほどある結構大きいお店。ビルの中二階にあって、一見だと絶対に入らなそう(入れなそう)な微妙な雰囲気です。

入店するとひと組のグループが忘年会らしきものを行なっております。

17時前にしては酔っ払いすぎなおじさん一人に同じくらいの年齢の女性5~6人が卑猥な会話で盛り上がり、その背景でものすごーく小さいラジオがかかっていて、耳に電話の受信機(?)のようなものをつけた一人の初老のおじさんがワンオペで動き回ってます。

かなり広い店内なのに、酒を頼んでも料理を頼んでも秒速で席に届けてくれます。忘年会のほうの注文も秒でこなしております。
どういうポテンシャルなのでしょうか?

そして、耳につけている受信機はおそらく動きながら予約の電話を取るものなのでしょう。

止まらない初老。

メニューにお好み焼きや焼きそばを自分たちの席で調理するなら五十円引きというシステムがあるのですが、それも初老の負担を減らすためなのでしょうね。

なんだかとてもシュールなお店でした。

その後、駅の北側を少し散歩して怪しげなお店を発見しつつも、もう尼崎はいいかとなり、宿がある難波に戻ってきたのが18時ごろ。

最後に難波あたりに行ったのがコロナ禍の頃であまり人がいない印象があったけど、コロナが終わってしまえばこちらも凄い人です。観光客、この日で仕事が終わった人、帰省してきた人、学生などなど多種多様な人たちが道いっぱいに溢れて、ひしめきあっております。

「演歌がかかっていて、地元のおっさんしかいない渋い店に行きたい」
と提案すると
「あるはあるけどやってるかなぁ、やってたとしても入れるかなぁ」
とのことでカズオ君先導で難波の街を歩いてみたものの、お目当てのお店は全滅です。

「ちょっと歩くけどひとつ変な店があるわ」
ということで繁華街から15分ほど歩いて目的地に到着。

入口は銘酒居酒屋風の佇まい。
しかし中に入ってみるとなんだか不思議です。
民芸調のカウンターだけのお店。
しかも、、わかってもらえないかもしれないけどかなり主張の強い民芸調なのです。カウンターテーブルも酒の棚もダクトに到るまで民芸が攻めてきております。そこまで民芸オシなのであれば民芸で貫いてほしいのですが、その割には聴いたことのない歌手が歌うわりと最近の歌謡曲のカバーがBGMだったり、こだわりがなさそうなお酒のセレクションやおつまみの構成だったり、カウンターの端に見たこともないようなカップラーメンがつまれていたりと不思議な居心地です。

そして注文のスタイルもなんか変。
チャージ、1時間500円(その後、確か30分ごとに300円だったかな?)、お酒は90円から150円くらい。
つまみは冷奴の70円を筆頭にたいがい100円以下で、なぜかエイヒレだけ270円。

なんだかクセが強そうな店主。

客はボクら3人だけ。

しみじみできそうでしみじみできない居心地の悪さが途中から面白くなってきました。

小一時間くらいするとバイトと思しき女の子がやってきました。
この店でバイト必要??
尼崎のお好み焼き屋さんと正反対ですな。

その後、何人かやってきたお客さんもクセが強めの地元の人。
丸のままに近い鶏肉をカウンター越しに預けるおばさん。

なんなんだ、ここは。
ま、料理は美味しかったし、今思うと楽しい空間でした。

店を出てもう一軒行こうとまたまた難波を歩き回ったもののどこもかしこも入れず彷徨っていると
「あそこならいけるかも」
とカズオ君。

地下街に潜って激安の串揚げ屋さんに。

晩酌セットというその日の仕事を終えたサラリーマンが1杯目に頼みそうなメニューをかなり酔っ払った男3人で注文。

大阪の地下街はかなり渋い居酒屋が多く、この店もそうだけど喫煙できるお店も多数。なんだか東京の地下街とは随分違うのでした。

お店を出て、カズオ君おすすめの激渋な立ち食いうどんのお店へ。

キツネうどんを注文するもなぜか月見うどんが届くというトラブルはあったものの、カズオ君の頼んだキツネうどんと交換してもらう。
キツネうどんで始まってキツネうどんで締めた大阪歳末記でした。

*こんな話を最後まで読んでくれてありがとうございます。わざわざ記す必要のないようなオチもなにもない話でしたが、こういうのを書いておかないと後年忘れそうなので。ま、忘れてもいいんだけどね。そして、付き合ってくれたカズオ君ありがとうー!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?