地元の祭りでのこと

このテキストはマガジン「続・よりぬき つまらない話」の中に含まれているので、一つ一つ購入せずにマガジンを購入した方が多分安いと思います。
このテキストの初出は「つまらない話」です。

これは当時の文章をそのまま載せます。

今から四十年ほど前のこと。
私の傍らには父がいる。
母も一緒だったのかどうかが全く記憶にない。
私の記憶の中で母が抹消されているだけかも知れないし、母が入院していた時だったかも知れない。

私の前には、軍服を着てゴザのようなものに座った男がいる。
手や足が無い。
当時の私はまだ子供なので、その人たちを見ても「傷痍軍人」だなどということは全く理解していない。
でも、別に怖いとも思わなかったような気がする。
父は私に何枚かの百円玉を渡して、その人たちの前に置いてある容器(空き缶のようなものかと思われるが、記憶がない)に入れるように言う。
素直に従う。
その傷痍軍人たちはハーモニカとかアコーディオンを演奏していたような気もする。

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