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TOYO RENTAL Lab Vol.5 速報!第2弾

なぜ ARRI が選ばれるのか? 最新モデル ALEXA 35 のルックを Sony VENICE 2、RED V-RAPTOR 8K VV と比較する、シネマカメラの頂上対決!第 2 弾では、ハイライトの階調、シャドウの粒状性、Log to Log 形式の LUT の運用方法などを検証していきます。

当記事は、動画制作のオンラインサロン UMU TOKYO で公開されたものです。限定公開を目的に有料化をしています。公開日:2023.11.8
https://community.camp-fire.jp/projects/view/231393

1. ダイナミックレンジ

ARRI 社の最新モデル ALEXA 35 は、新開発の 4.6K CMOS イメージセンサー ALEV 4 が搭載されたことで、従来の ALEXA よりもダイナミックレンジが +2.5 STOP 向上し、シネマカメラの中でも最高水準となる 17 STOP の性能を実現しています。

ARRI Tech Talk: ALEXA 35 - Fast and Easy Operation

一方、今回のテストでその比較対象となる、Sony VENICE 2 のダイナミックレンジは 16 STOP、RED V-RAPTOR 8K VV は 17+ STOP とされています。ノイズの処理次第では、ダイナミックレンジの 1 STOP は誤差の範囲とも言えますが、スペック的には、いずれのカメラもその性能が拮抗していると考えられます。

以降、テスト撮影を通して、各カメラのダイナミックレンジの性能を検証していきたいと思います。

シチュエーションとしては、白壁に囲まれたオフィス空間の中、女性が大きな窓の脇で PC 作業をしているという状況で、窓外のハイライトの白飛び、女性のシャドウの粒状性などを確認していきます。

光源に関しては、窓から射しこむフレア光以外には、デスク上の PC 画面の光、天井の蛍光灯として amaran PT4c を 2 灯を設置している状況です。露出計(入射光)の計測値は、女性のシャドウ部が -2 STOP、窓外の明るさが +6 STOP、コントラスト比は 256:1 になります。

まず基準となる ALEXA 35 のイメージは、以下の通りになります。ALEXA 35 に搭載されている False Color 機能で確認したかぎり、ハイライトの白飛びはなく、シャドウの黒潰れもない状態です。

ARRI ALEXA 35
ARRIRAW Open Gate 4.6K 3:2 (4608×3164)
Tokina Vista One 50mm T2.2 + TRUE ND 0.3
EI 800 / WB: 5600K°

続いて、V-RAPTOR 8K VV のイメージは以下の通りになります。

WB・露出に関しては、DaVinci Resolve 上で ALEXA 35 に合わせて調整しています。また V-RAPTOR 8K VV は 35mm フルサイズ規格(Vista Vision)のイメージセンサーを使用しているため、レンズは ALEXA 35 よりも 1 本望遠の 85mm を使用しています。

RED V-RAPTOR 8K VV
REDCODE RAW HQ 8K 16:9(7680×4320)
Tokina Vista One 85mm T2.2 + TRUE ND 0.3
ISO 800 / WB: 5600K°

V-RAPTOR は、ALEXA 35 とコントラスト感が似ている印象がありますが、ハイライトの階調は ALEXA 35 よりも収まっています。また露出に関しては ALEXA 35 とほぼ同じですが、WB は ALEXA 35 の方が G 方向 にシフトしています。

続いて、VENICE 2 のイメージは以下の通りになります。

WB・露出に関しては、DaVinci Resolve 上で ALEXA 35 に合わせて調整しています。また V-RAPTOR と同じく、VENICE 2 も 35mm フルサイズ規格の イメージセンサーを採用しているため、85mm のレンズを使用しています。

Sony VENICE 2 8K
X-OCN XT 8K 3:2 (8640×5760)
Tokina Vista One 85mm T2.2 + 内蔵 ND 0.3
EI 800 / WB: 5600K°
Base ISO: 800

VENICE 2 は、ALEXA 35 よりもハイライトの階調が収まっており、全体的にコントラストが低く、やわらかい印象となっています。また前回の記事でも紹介した通り、露出に関しては、VENICE 2 は ALEXA 35 よりも -0.5 STOP ほど暗くなっています。

結果として、各カメラとも白飛びや黒潰れもなく、映像全体がダイナミックレンジの範囲内に収まってはいますが、コントラストに関しては、ALEXA 35 が最も高く、VENICE 2 が最も低く出ています。視点を変えると、ALEXA 35 が最も光の質感を感じられる “シネマティック” なルックになっている、とも言えそうです。

テスト結果の信憑性という点で、撮影中に空の明るさが変化していた可能性なども考えましたが、撮影データを見るかぎりその影響は少なく、また ARRI 社が YouTube で公開しているデモ映像の中でも、今回のテスト撮影と同じようなルックの傾向が見られたため、テストの結果自体に大きな問題はないという結論に至っています。

この ARRI 社の映像は、ALEXA 35 で採用されている新方式のカラーサイエンス REVEAL の特性を検証したものですが、従来の ALEXA で採用されている LogC3 ガンマよりも、ALEXA 35 で採用される LogC4 ガンマの方が、中間域からシャドウにかけてのコントラストが高く、より黒が締まった感じになっていることが分かります。画像の左側が LogC3、右側が LogC4 のイメージになります。

ARRI Tech Talk: A DP's Analysis of the new REVEAL Color Science

2. ハイライトの階調

続いて、カメラの露出を大きく上げ、ハイライトが白飛びしやすい状況の中で、ALEXA の特徴とされる ハイライトの階調(Highlight Rolloff)を VENICE 2、V-RAPTOR 8K VV と比較していきます。

設定としては、ND 0.3 を外して、レンズの絞りを 1 STOP 開けて、EI 800 の適正露出よりもイメージセンサーに +2 STOP(4倍)強い光量が当たる状態にしています。実質的には、EI 200 の適正露出で撮影しているのと同じ状態となります。

まず基準となる ALEXA 35 のイメージは、以下の通りです。

ARRI ALEXA 35
ARRIRAW Open Gate 4.6K 3:2(4608×3164)
Tokina Vista One 50mm T1.5
EI 400 / WB: 5600K°

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