見出し画像

DaVinci Resolve 色空間の応用メソッド<第2刷>

ノード単位で“色空間”を設定する? DaVinci Resolve のカラーグレーディング作業のマンネリ化を解消する、Node Based の色空間(Gamma)を活用した応用メソッドを紹介していきます。

当記事は、動画制作のオンラインサロン UMU TOKYO で公開されたものです。限定公開を目的に有料化をしています。公開日:2023.7.5
https://community.camp-fire.jp/projects/view/231393

1. Color Space Transform の活用法

Apple 製品の Retina Display など、従来の Rec.709 よりも色域の広いディスプレイに最適な映像を制作するために、最近ではカメラが記録する豊富な階調(Scene Referred)を最大限に活用する色管理メソッドが普及しはじめています。

ACES Set Up in DaVinci Resolve - Netflix

Scene Referred な色管理システムとしては、米国アカデミー賞を運営する AMPAS が策定した ACES が有名ですが、DaVinci Resolve ではこの ACES と合わせて、Blackmagic Design 独自の Resolve Color Management(RCM)という色管理システムが使われています。

RCM は、DaVinci Resolve で Scene Referred なカラーグレーディングをする上で基本となる色管理メソッドになりますが、それを Node Editor 画面のノード上で再現できるようにしたのが、Color Space Transform(CST)というエフェクトです。Color Space Transform は、32-bit 浮動小数点の処理により、従来の LUT で発生していた明るさのクリッピングが起こることなく色空間の変換ができます。

画面右上>Effects>Resolve FX Color>Color Space Transform

DaVinci Resolve の色管理の設定では、ソフト側で色管理をしない DaVinci YRGB、ソフト側で自動で色管理をおこなう DaVinci YRGB Color Managed の 2 種類のモード(Color Science)がありますが、Color Space Transform を使用する場合は、色空間の管理をノード上ですることになるので、基本的には DaVinci YRGB で作業をすることになります。

プロジェクト設定>Color Management>Color Space & Transforms>Color Science>DaVinci YRGB

一般的に RCM 環境では、プロジェクト全体または撮影クリップ単位で Input Color Space の設定をした時点で、色空間が自動で変換されますが、ノード単位 でその変換をおこなう Color Space Transform では、色空間を変換する前段階にノードを追加することで、露出やコントラストの調整ができるなど、自由度の高い状態で作業をすることができます。


2. Color Space の応用メソッド

色空間(Color Space)の設定は、撮影クリップに対して、またはプロジェクト全体で設定をするイメージがありますが、それを「Node Editor 上にあるノードに対して設定する」という応用メソッドがあります。ノード単位で色空間やガンマの設定を変えると、各ノードに割り当てられた効果の効き具合を変えることができる、というものです。

普段あまり意識することもないと思いますが、ノードに割り当てられる色空間は、デフォルトではプロジェクト設定の Timeline Color Space と同じものが適応されています。そのため、カラーホイールをはじめとする DaVinci Resolve の調整パラメーターは、Timeline Color Space で設定された 色空間 に対して最適な挙動をするようになっています。

ノードの色空間の設定を変えると、それぞれの調整パラメーターの挙動が変わり、得られる効果にも変化があらわれます。ということで、その効果を実際のイメージで検証していきたいと思います。

ここから先は

7,135字 / 24画像

¥ 300 (数量限定:残り 6 / 10)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?