見出し画像

【短文】編みもの

人生は編みもの?
わたしはわたしの糸を編む。
こつこつと、ちゃくじつに、しっかりと目をこらして。
そうしないと、たいへんなことになっちゃうから。
でも、あれ、いつのまにか、こんがらがってきちゃった。
編み目と編み目の幅がどんどん広くなっちゃって。
気づいたら、調子はずれのテンポ。
糸たちがふぞろいのダンスをはじめちゃった。
このままじゃ、転んじゃうよ。
かってにどこにいくの? 
わたしの糸。
どうしたらいい? 
教えてもらったこと。
いまの編み方でこんがらがっちゃったら、わぁーっとさけぶまえに、おかしくなっちゃったところまで解いてみる。
せっかくここまで編んだのに。
でも泣かない。
もっときれいに編みたいから。
わたしをあっためてくれる編みものがほしいから。
つぎはべつの編みかたをしてみよう。
そうしたら、仲良く踊ってくれるかな。
糸と糸がしっかりと手をつないで。
わたしはもう、あせらない。
ほどいたり。
戻ったりしながらでも。
ほんのちょびっと。
わたしはわたしの糸を伸ばしていく。
すーっと、伸びていく。
ふわっと。
どこまでも。
弾んで。
軽やかに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?