きみの舞台は、愛
会えるのが久しぶりなわけではなかった。
ジャニアイのチケットは1公演分中止になってはしまったけれど、その前に入ること自体は出来ていたし。カウコンにも行けたので、東京ドームのステージに立つ姿も見られたし。初の単独アリーナ五騎当千の記憶はずっと前のような気もしながら、昨年11月ってまだたったの4ヶ月前だよ。
だから2度目のアリーナ公演、めちゃくちゃ楽しみにして夜も眠れない程ではあったけれど、でもそこにいつも以上の特別感は抱かずにいた。宮城公演は、初めてHiHi Jetsのために遠征をするから少し感慨深くはあったけれど、横浜公演は特に。
だけれど。そんな鈍いわたしのハートすら、その場にいたら震えあがってしまうほどの時間がそこに流れていた。ずっとどきどきしていて、たくさん笑って、びっっっくりするぐらい心に突き刺さった。初めての感情が芽生えて、すっかり特別なコンサートにさせられてしまったよ。
まだこれから先にセキスイハイムスーパーアリーナでの公演が控えているので、内容については全部を観て受け取ってから、それは纏めるとして。
ぴあアリーナMMで感じた橋本涼くんの愛おしさと、今でも思い返すと痛む、でも愛しくて忘れたくない痣のような感情だけ、ここに置いておこうかなと思う。
いつも思うけれど、本当にきらきらとした笑顔の人。自分に向けられる視線、ペンライトの光、うちわ、双眼鏡や、期待に呑む息の音さえ、すべて愛おしむような輝き。それが橋本涼くんにはある。かと思えばさらりと流れるようにその場を過ぎていくところも、掴みどころがなくて好きだった。
ずっとずっと笑ってた。
そんな涼くんが、泣いた。
それは初日、3月18日の夜だった。挨拶の時から大きな瞳を少し潤ませて、「ちょっと今泣きそうになってる」なんて言っていた。その時はまだ笑っていた。いつものように瞳を輝かせて、「こうしてみんなの前でパフォーマンスをできることが、すっごく楽しい!」と、にこにこしていた。
「俺は不器用で、下手くそだけど、これからもこんな俺を愛してくれたら嬉しいです」
そんな言葉で締められた挨拶はなんともいじらしくて、それだけで胸に響いたけれど。
5人全員の挨拶が終わって、本編ラストの曲「駆ける」に入るとき。ローラースケートで軽やかに移動するそのときに、涼くんが軽く目を指先で拭った。ああちょっと泣いちゃったかな、なんて思っていたら、曲が始まって5人全員が内向きに向かい合って歌うとき。メンバーの顔を見たその時にもう、あふれ出してしまっていた。
頭に巻いているバンダナをずりずり下げて目を隠して、時々身体を丸めさせて、口をぎゅっと横に閉じて、涼くんは泣いていた。
胸を突き刺されたような思いだった。大好きなアイドルが、今この空間で泣いている。
元々感受性豊かなひとで、今までも涙する姿は見たことはあったけれど。でも普段はにこにことプラスの感情ばかり与えてくれる人だから(それは時に、自分自身が不利益になるほどに)、とめどなく流れる涙とそれを見せまいとする姿が、今も鮮明に記憶の中に残る。
けれどそれは決して、負の感情の涙ではなかった。
ずっと抱えているのだろう過去や、ジャニーさんと描いた夢、この公演の直前に流行り病を患って仕事をお休みしなければならなかったこと、たくさんの経験、出会い、別れ、楽しさ、そして愛。そんないろんな思いが綯い交ぜになる中で、隣に並んでくれるメンバー、支えてくれるスタッフや家族、そしてアリーナの広い会場いっぱいに入ったわたしたちファンの青い光。それがきっと彼に幸福を与えていた。
――もちろんわたしは想像するだけで、本当のことなんてわからないし、わからなくて良いけれど。でも少なくとも、悲しさ、悔しさ、憤りなどの黒い感情からくるものではなかったと、その場の誰もが感じたと思う。それくらい、あたたかい空気に包まれた空間だった。
泣いてしまった涼くんを見て、がしっと強く肩を抱いてくれた瑞稀くん。歌っている間もずっと肩を強く抱いて、ときどき俯く頭をくしゃくしゃと撫でる。逆となりの優斗くんも、ぽんぽんと優しく背中を撫でては、サビを歌い終わると優しい笑顔で励ましていた。隣にいなかった2人も、同じ気持ちだったと思う。
涼くんはひとりじゃなかった。それは今に始まったことではないけれど、精神的にもそうであることが目で見てわかった。彼が感情を出して甘えられる場所が、メンバーの中にあって、HiHi Jetsのライブの中にある。そこには彼に対するあたたかな愛があるって、彼自身が自覚してくれたから。
何よりわたしは、その涙をただ受け入れてくれたことに強い意味を感じた。この綺麗な涙をエンターテイメントに消化したくなかったから。茶化したり、必要以上に感動話にはしないで、ただ同じ気持ちだとその場で共有し合える。彼らを好きで本当によかったと改めて感じた瞬間だった。(この記録もお涙頂戴ではなくて、わたしの感じた愛おしさの印だと受け取ってもらえると嬉しい)
「駆ける」最後のサビでバンダナから少しだけ目を出して、赤くなった瞳で会場を見てはまた涙が溢れる涼くんが、愛おしくてたまらなかったよ。本当に、心が美しくてピュアな人だと思った。
そしてそれだけ泣いたのに、本編が終了してアンコールの「ぶつかっちゃうよ」で出てくるときは、涙なんてこれっぽっちも見せないいつものぴかぴかの笑顔で、余計に好きだと思った。だってやっぱり涼くんには、笑顔がいちばん似合うもん。
3月19日の夜公演の最後の挨拶で、涼くんはこんなことを言っていた。
なんて、愛にあふれている人なんだろうと思った。
普段はぽやぽやとしていて動じないし、穏やかでいつもへらへらとしていて。確かにマイペースでひとり観点や理解が違ったりすることもあるのは感じていて、でもそれも個性でかわいいところだなぁと思っていたのだけれど、そこに思い悩むこともあったなんて、思いもしなかった。
ファンの立場から言ってしまえば、そんなところも好きだよという言葉でしかないのだけれど、きっと仕事や人間関係に影響してきたこともあるんだろうから、無責任な慰めや、頑張ることにブレーキをかけるような言葉は言いたくない。だってわたしも、涼くんが自分自身に望むように、もっともっと大きくてたくさんの人に愛される人になってほしいから。
でもそういう力の入った普段以上の頑張りを、涼くんの信頼するHiHi Jetsのメンバーと、わたしたちH・A・Fの前ではしなくてもいい空間にしたいと思った。
カッコ悪いところがあったっていい。ド天然が炸裂してこその橋本涼くんじゃん。ひとり頭にはてなを浮かべているのもかわいいし、ふと発する言葉のインパクトが4人とみんなに笑いを与えているんだよ。
涼くんのその個性が、HiHi Jetsにとってなくてはならないものだから。自然体の涼くんを、たっぷり愛したい。4人とH・A・Fならそんな俺も愛してくれるんだって、そんな君だからこそ愛しているんだってことに、気付いてくれたなら嬉しいな。
5人とファンの空間では、涼くんがそのまんまの自分で笑って泣いていられるような場所でありたい。これから先、どんなにHiHi Jetsと橋本涼くんが大きくなったとしても。
そして何より、彼の原動力が「愛」であること。
それこそが橋本涼くんをアイドルたらしめるひとつだと思った。
「もっと愛してください」なんて、ファンに対する愛がないと言えないよ。
こちらからの愛なんて言ってしまえば自分勝手で。勝手に好きになって、勝手に各々の理想を抱いては好き勝手言わせていただく。そんなファンに向かって「もっと愛して」「そしたら俺も愛を返すから」なんて潤んだ瞳で言っわれちゃったら、もうね。何よりもファンへの愛で彼の身体が満たされて、仕事の活力になっている。そんなの幸せな連鎖すぎるよ。
時々自分を卑下するような言葉や、不安を吐露するようになってくれたことが、わたしはむしろ嬉しい。たぶんきっと涼くんの身体は与えられる愛がないと、しおしお元気がなくなってしまうのだろうから。そんな枯渇しているときに、ふと自分が愛されていることを実感できるような、あの時の光景があるから愛を感じられていると思い出せるような、そんなファンでいたいなと思った。
たくさん努力してくれている歌やダンスやローラースケート、演技や表情、ビジュアル、ひとつひとつの伝えてくれる言葉。その全部が涼くんの言う「愛されるため」にやっていることで、「愛をくれる人への愛のおかえし」なんだと思う。
「努力をすること、できるようになることを増やしていくことが楽しいと思えるようになった」と言ってくれていたのもきっと、愛が自分に必要だって気が付いたからなんだろうな。愛されるために頑張れる。愛を喜んで受け取れる。それは涼くんの才能だよ。
涼くんが愛されるためにしているたくさんの努力と、愛されていることを自覚しているからこその安心感。その両方を受け止めて、すべてに愛を伝えられるファンでいたい。わたしひとりは微力でも、愛や前向きな気持ちは伝染していくものだと思うから。
だから今日も橋本涼くんが大好き。明日はまたきっと別の好きなところを見つけていると思うし、涼くん自身も日々美しくかっこよくなっていく。それはわたしたちへの愛のひとつなのだから、涼くんを好きでいるのは本当に幸せだ。
ひとまずまた、宮城であたたかくて楽しくて愛にあふれた空間の中で、きらきら目を輝かせる涼くんに会えるのを楽しみに。大好きだよ。
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