五騎当千を終えて

7月30日の生配信で発表された、国立代々木競技場第一体育館での単独ライブ『五騎当千』。発表からサマパラ28公演、少年たち、ひらいて公開などいろんな仕事を超えて、全員ひとつずつ年を取って、あっという間に4ヶ月弱が流れたなと思う。本当に直前まで実感が湧かなくて、なんならこれを書いている今でさえふわふわと夢心地だったりもするんだけれど、目に記憶に心に明らかに以前とはまた別の素敵なものが刻まれたから、少しでも残しておきたいな。

国立代々木競技場はやっぱり広くて。彼らのいる場所によっては双眼鏡を覗いたって大きくは見えなくて、そうだこれがアリーナクラスだって思い出した。ローラースケートを思い切り飛ばして彼らが外周を通り過ぎていく度に、5色均等に分かれたペンライトの色が笑顔とともに嬉しそうに揺らめく。それがすっごく綺麗だった。たった3年半前にはシアタークリエの600人のキャパでハイタッチすら出来ていた距離にいた人たちが、広い会場を駆け回っていとも簡単に自分の目の前から遥か遠くへ行ってしまう。それが感慨深くて、ちょっぴりさみしくて、でもやっぱり嬉しかった。好きな人たちがたくさんの愛に触れている姿は、どうしたって幸せだなぁ。

何よりそんなちょっぴり感じるさみしさに寄り添うように瑞稀くんが「遠くに行ってしまったと思う人もいるかもしれません。でもそんな距離、俺たちは感じさせません!」と熱く宣言してくれたり、猪狩くんが「俺たちを今好きでいてくれている全員、ここにいる全員を連れていきます。ひとりも置いていったりしません」と強く言い放ってくれた。HiHi Jetsは大きくなるけれど、いつだってすぐそこにいてくれる。もっともっともっと大きくなっていくだろうけれど、大きくなればなるほど逆にいろんな手段で近くにいてくれるんじゃないかなって思った。物理的には難しくなったとしても、心理的に。それができる人たちだなって。

セットリストや1曲1曲についての感想までは書かないにしても、新曲の『FRONTLINE』については少しだけ。新曲はあるだろうなというのは想像の範囲内だったけれど、あまりのカッコよさに代々木が震撼して勝ちを確信した1曲。早くみんなに聴いてほしい。クラブミュージックぽさもある緩急のあるナンバーで、最近のヒットチャートの流行りも感じさせつつジャニーズっぽさもある。何より全員の見せ場やポジションが明確で、誰を見ていても楽しいし、ただ音楽に乗るだけでも楽しい。世の中にも受け入れられやすい曲だなと感じたので、ほんと全人類に見てほしいよーー。

そんな最高のコンサートだったけれど、とはいえ多少初々しさや伸びしろを感じられたのもよかった。もっとお金を使えればいろんな映像や特効を更につけられると思うし、コンサート全体のまとまりやコンセプトを立たせることもまだまだできるなと、いい意味で大満足ではないところがまた良かった。彼らならまだまだもっといいものが作れるなっていうのが感じられて、初めてのアリーナクラスでのコンサートとしては大成功だと思った。


さて涼くんはこの二日間、とんでもなくきらっきらに光り輝いていた。高音がより安定した歌声は広いアリーナに綺麗に響くこと、Completeを聴いて改めて感じたから、早くH・A・F以外にも聴いてほしい。しゃべれば相変わらずほわんほわんで、ずっとにこにこ笑っていたのが印象的だった。わたしの好きな、ダンスの時に手を挙げるとそっちを見るころんとした瞳や(これ本当に何度も言ってるね…)、自分のパート以外も口ずさんでいる楽し気なところとか、ちょこちょこアヒル口でピースするようなひと昔前のギャル風のかわいい仕草とか、好きだなってところがいっぱいあったんだけれど。そんな中でも今回特に好きだなと感じたところがふたつある。


ひとつめはダンスの時の表情管理。魅せ方が上手になったなとすごく感じた。この代々木2日間4公演の中ですら進化していって、最終公演が一番よかったとも思う。かっこつけるときに素のかっこよさも出せるようになったと感じたんだよね。涼くんは(言わずもがな)顔が整っていてまさに綺麗なすっとした顔立ちをしているから、真顔の美しさが際立つなって感じてる。何も考えていないわけではなく、かといって真剣になりすぎない、余裕のある美しさ。そんな中で零れる楽しさ故の笑顔の破壊力がすごかった。特に感じたのは『Be COOL』。当たり前だけれど昔HiBで披露したときとは全員全く違った曲に仕上げてきていて、各々のかっこよさの引き出しが増えたのを感じた曲。だから円盤で全員の踊る様を観るのが超楽しみな曲のひとつなんだけれど。わたしはこの時の涼くんの、伏せた瞳や静止の仕方、動くときの滑らかさに加えて、間奏を踊るときに零す狙い撃つわけではない笑顔にいつもやられてた。楽しさと、素と、彼の魅せたいものがぐっと感じられた気がして。目を離したくないなって改めて感じた。

ソロ曲に選んだFaKe、イントロが流れた瞬間想像していたのとは違う方向のセクシーさでぐっときた。男っぽさはありつつも、寂し気な弱さすら感じる魅せ方で、『妖艶(女性の容姿が、人の心を惑わすばかり、なまめいて美しいこと。)』なんてマスメディアに称されるほど、女性的な表現も入れていたのがすごく、すごくよかった。そうそう、これが涼くんの進む方向なのかもなと思った。

最終公演の挨拶で、「橋本涼はジャニーズイチ、セクシーでエロい男になります」と言ったのはおそらく広く色んな人の耳に入っていると思う。わたしはそれを聞いたその時は一度首を傾げた。わたしは涼くんのセクシーさに惹かれてファンになったわけではないし、特に他担の人に揶揄されるような粗雑で荒々しいエロスみたいものを涼くんに感じてはいないから(わたしはね)。もっと涼くんはさみしがりだし、丁寧だし、愛には愛を返す優しさがある人だと思っているので、『危険な男』みたいな表現ってあんまりピンとこなくて。でも今回のFaKeだったり、コンサート中の立ち振る舞いだったりを振り返ってから涼くんの言葉を咀嚼して、ああでもそれはわたしも求めているものかもなと思えた。

涼くん自身が思う魅せたい表現したい自分と、素の橋本涼としての部分と、共通しているのって甘さや愛だと思っていて。その湧き出るものをセクシーと呼ぶのであれば、それは確かに心惹かれるもので、目指すべきところだと実感した。愛されたがりな性質も、セクシーには必要なものだと思うしね!(かわいいよ、好きだよ)そういういじらしいかわいさと、惑わすセクシーさの両立ができるのは、涼くんならではだなって思ってるから失わないでほしいなぁ。あとどうしても、『エロい』って言葉の世俗的な感じが好きじゃないんだけれど、これは言葉としてのニュアンスで深い意味はないんだろうなというところで飲み込んでおくことにする(笑)


ということで。涼くんの表情の管理や表現力みたいなところのパワーアップを感じたのがひとつ。もうひとつが、先ほどからちらほらとワードとしては出ている『愛』の部分。

ほんっとうにきらきらと、あんなに人って煌めけるんだってほどに嬉しそうにそこにいる。特にやっぱり最後の挨拶では、自分の気持ちを伝えるだけではなくて、ひとりひとりに寄り添いに行くような話し方をするのがすごく印象的だった。HiHi Jetsはしゃべりが上手い人が多いし、自分の感情を深く考えて言葉に出来る人が多い。猪狩くんなんかは特に自分の伝えたいことをエピソードを交えて上手に話すし、瑞稀くんはリーダーになってより仲間への想いを強くしたなと感じる。作間くんは自分の心が動いたことを客観視した上で話せる人だなと感じるし、優斗くんの言葉はいい意味で重くて強い。だからたぶん、純粋に文章にして公演に入っていない人に伝えたときに、涼くんの言葉が一番軽くて、特筆することがないように感じることもあるかもしれないなと思う。

でも涼くんは、本当に感情を込めて話す。嬉しそうに、大きな黒目を輝かせて、会場全体を見まわして幸せそうに。みんな楽しかった?って相手の反応を見ながら、青のペンライトの海を目に映しながら。HiHi Jetsのことや、自分自身のことより、何より目の前にいるファンの、H・A・Fへの想いを受け取って言葉にする。それは5日に1回書いている伝記にも通じるところはあるけれど、言葉は拙いかもしれないし、心に響くワードはないかもしれないけれど、誰より寄り添って愛を伝えてくれる。その純真さに、宇宙のような瞳のきらめきに、包容力とあたたかさに、好きだなって心が震える。

こんな風にまっすぐに素直に伝えてくれるようになったのもやっぱり2020年以降だなと感じている。わたしはあんまりその当時のことを掘り返したくないし、綺麗な話にも、苦労話にだってしたくない。やっぱりどうしたって、好きな人にはもう必要以上に傷ついてほしくはないので。だけれどCompleteの時、はしさくのソロを後ろを向いて聞き入って、歌いだす前にちらを二人の方を見た優斗くんの姿は、もしかしたらその後の言葉よりも胸にきたかもしれない。そして、起こったすべてのことをマイナスにしていない努力と運があるからこそ、今振り返るあの頃を受け入れて心の箱に入れてしまっておけるなと思う。起こったマイナスなことを、だからこそのプラスに変えることができたからこその今があると思う。あれがなかったら、逆にきっとここまで来れていなかったんじゃないかと思うほどに。ジャニーさん以外にも、たくさん気にかけてくれる人がいる。観覧に来てくれたたくさんの人、「伝説」というワードを使ってくれた滝沢さん、スタッフさん。そして今だって、ジャニーさんの教えや思い出を全員しっかり抱き締めてる。強固なグループになったなって思った。


「5人でいたい」――Jr.のうちから箱に拘ることに対してわたしは少し怯えていたこともある。でも、もうこの5人しか考えられない。この国立代々木競技場第一体育館でのコンサートがいつか伝説の序章として語られるときに、今のこの気持ちを思い出したいな。これからも彼らをたくさん目に焼き付けて心を動かせられますように。だいすき。

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