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「命の重さ」

私は短い間だが霊長類研究所で仕事をしていた。

ケージが並ぶ部屋は少し暗く、冷たい。
外は晴れであれ雨であれ、彼らにはわからない。

一度実験に使われると狭いケージに入れられ、彼らは一生を終えるまでそこで過ごす。

これがサルたちの現状である。

「ある日、私はサルの死体を見つけた。
細長い身体をした彼は目と口を開いたまま息絶えていた。

私は手を震わせながらも携帯を手に持ち、担当者に連絡をした。

担当者は死んだサルの様子を確認し、死体を袋に入れた。
入り切らなかった冷たい手だけが見えていた。

担当者はその袋を体重計に乗せた。
「8.8kg」
そう言って、袋を連れ去った。」

いろんな感情が混合して私は混乱した。
可愛がっていたサルがいなくなって寂しかった。

けど、
あと数十年ここで過ごすくらいなら、
「死」の方がマシかもしれないと
ホッとする気持ちもあった。

その気持ちが種となって、
夢として私の中に植えられた。

生きている限りは幸せに、快適に、苦しみなく
過ごせるところを。
そんな環境を、世界をつくる夢。

私はこの子たちのために、1日も欠かさず
この夢に水をやり、咲かせるのだ。


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