満たされるな。死ね。

苦しんでいる人を美しいと思うようになってしまった。

かつての俺はたしかに、毎夜死にたくて仕方なかった。あれは嘘ではない。いやもしかしたら嘘?日記のあらん限りの呪詛を見る限り嘘ではなさそうだけど、俺を信用するのはよくないと思います。

しかし今はどうだろうか。良い人たちに囲まれ、好きなことをして生きていて、忙しくはあるけれど休みの日には好きな街を一人でぶらぶら歩いて喫茶店に行ったり服を買ったり古本屋を覗いたりしている。ああ、なんだこれは。少しだけ寂しい。過去に縋ったり煙草に縋ったりすればどうにかできる程度の苦痛。眠れない夜は全部Youtubeのせい。なんですか?この生き物は。

何も言いたいことがなくなって久しい。弱い人間が弱いまま生きていく唯ひとつの手段の音楽を、別に弱くも強くも美しくもなれなかった俺が聴いて良い音楽だなんてのたまう。なんだこの生き物は。満たされたかったはずじゃなかったか?俺の苦しさが消えたら俺はなんになる。死にたさをアイデンティティにした者の末路。

人を、同じような死にたい人を救いたいなんて思っていた頃があったらしい。何を言ってるんでしょうか。もう誰の苦しみもわからないくせに。本当は自分にしか興味がないのに。違う。これも自己顕示欲。全てそう。最初から俺は世界から愛されたかっただけ。褒めてくれ抱きしめてくれ。それしかいうことがないんです本当は。ね?俺は目指したものに近づいて、それに満たされかけてる己を恥じているふりをしてその自省力を褒めて欲しいんですよ?こんなに気持ち悪い生き物ほかに知らない。

人の辛さはわからない。わかろうとするふりをして優しく思われたいだけ。何もない人間が最後に目指すのは作家か優しい人間だ。誰が死んでもどうでもいい。だってみんないつか終わることだけは決まっているのだから。辛いという人、幸せだという人、みんな死んじゃうらしいよ。おもしろいよね。やりたくないことをやらなきゃいけない状態って、辛いですよね。知らんけど。なにもがんばらなきゃよかった。そして中途半端に結果を得なきゃよかった。そうすればがんばれない人の嘆きを理解できる人であれただろうに。これも嘘。

俺はもう、ずっと嘘しかついてない気がする。本当の痛みを抱えている人はいるんだろうか。俺は偽物の痛みとか苦しさしか知らんので、よければ教えて欲しい。もう誰にも傷つけられず、誰も傷つけない生き方しかしたくない。ていうか他人に興味がなさすぎてそれしかできないんじゃないの?そうです、よくわかりましたね。私のことですからね。

「自分の暗さで周りに迷惑かけるのはもうやめにしようって思ったんですよね」

あなたが見た景色が美しかったことを、心から喜べる人間であった頃が、私にもあったんでしょうか。今日は煙草の減りが早い。

こうやって千文字くらい書いて内省してるふりしておくと、よく眠れるんですよ。ライフハックでした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。 あなたの心に何か残れば幸いです。