光造形3Dプリンタと格闘した話 part1

 私が所属している研究室に今年度から光造形3Dプリンタが設置されたので、使ってみた感想やら体験談やらをつらつら書いていこうかと思います。
 こんな記事書くと思ってなかったので写真があまり残っておらず、文字ばっかりです。
 たぶんまあまあ長いので複数回に分けます。


3Dプリンタの概要

 設置された3DプリンタはELEGOO社の「Saturn 8K」です。
 購入は学校の技術職員の方がいろいろ手配してくれていたので私はなにも手だししてませんが、SK本舗さんからの購入です。記事書くために製品ページ見てみたら2023年12月2日現在で既に販売終了になってました…

 本体とレジンや完成品の後処理用の物品、ゴム手袋などなど総額で10万円は超えたと言われました。
 自分ではなかなか手出しできない金額だったので購入してくれた先生方には感謝ですね。

1st round 「VS 置く場所」

 届いた箱を開封してみると、ちょっと組み立てが必要そうな感じでしたが、説明書が日本語対応してたので読んでみることに。見てみたら意外と組み立てるようなものはほとんどなくて簡単そうでした。
 ここで一安心したのも束の間、最初の問題が発生することとなります…

 「あれ?置く場所なくね?」

 もともと置こうと思ってた既存の棚があったのですが、この3Dプリンタ、赤い部分がふたのようなもので、そのまま上からガバッと取れるようになっています。つまり、その分のスペースが上に必要なわけです。なおかつ3Dプリンタを置く場所は揺れずに安定して水平を保てなければなりません。元の設置を予定していた棚に置いてみたところ…「ふたが開けられねぇ!」という事態に。急遽別の場所を模索しなければなりませんでした。
 そこで、使っていないPCが置いてある場所、使っていないモニターが置いてある場所、など見てみましたがどこも高さが足りず…棚1段分を取り外すことも考えましたが、その棚は定年退職した先生から譲り受けた物らしく、ねじ山がほぼ無くなり、意味を成していませんでした。
 結局、プリンタ(紙に印刷する一般的なほう)を置いていた台があったので、一般プリンタにどいていただき、そこに置くことにしました。安定性がなんともビミョーで不安はありましたが、致し方ありません。
 ここまでで開封から約1時間半が経過。想定の3倍くらいかかってました。先が思いやられますね。

2nd round 「VS 印刷第1回」

 場所も何とか確保し、いざ実際に作成へ。とりあえず簡単にただの直方体を出してみることにしました。3Dプリントのための専用スライスソフト(物体をたくさんの薄い層にスライスし、印刷時に光を照射する形を決めてくれる)がstlファイルの読み込みに対応していたので、CADで適当に作ってつっこみました。ちなみにこのときは「サポート材なんぞ知らん!直方体なら別にいらんやろ」という感じでしたので、印刷面に直方体直付けです。
 まあそれは置いておき、ソフト内でいろいろ進めていくと、

  ・露光時間
  ・初期層の露光時間
  ・リフト高さ
  ・上昇速度
  ・リトラクト速度

なんて項目が出てきたわけです。何となく推測できるものもありますが、なかなかわからん。ということで、日本語対応の説明書に期待を寄せ、目次から各種設定の推奨値が記載されているページを見てみたところ…

 「いや項目が多すぎるが?」

 ソフトで変えられる値以上に項目がたくさんありました。体感3倍くらいあった気がします。
 もともとFDM(熱溶解積層)式と呼ばれる3Dプリンタは使ったことがあったので、なんとなく印刷過程から完成までのイメージは浮かんでました。ですが、光造形となるとまた勝手が違いまして…全然知らない項目とか推測すらできない項目とかがありました。その中からお目当ての項目を探したのですが、なんとソフト内での項目名と一致しておらず。とりあえずは初期設定でいいでしょうということになりました。

 ということでひとまず記念すべき第1回目の印刷をしてみたわけです。ちなみに、レジンはSK本舗オリジナルの透明タイプを使用しました。

というか、同じ研究室の別の研究で使うのがメインで、透明じゃないといけないらしく、透明レジンしかありませんでした。

 そして印刷結果ですが、惨敗です。この3Dプリンタは、印刷台がだんだんと上に上がっていき、印刷したものが印刷台の下に下にと積層され、最終的にぶら下がった形で出てきます。

印刷完了時のイメージ(販売ページより)

ですが、印刷台を見てみると、直方体のかけらもなく、なんなら何もついていませんでした。印刷台の下にあるレジンタンクに薄い四角形の塊がのこっていたので、印刷台にくっついていられなかったようです。

 仕方ないのでとりあえず片付け。レジンのついた物はアルコールでふき取り、再度印刷台をセットして第2回の印刷へと移行します。


といったところで第1部はここまで。次回は「VS 照射時間」と「VS サポート材」をお送りする予定です。

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