ひとさまのエモを言語化する企画《エモソムリエ04 アニメ・星合の空》

こんにちは。カニ @uminosachi_uni です。
ひとさまのエモを言語化する企画《エモソムリエ》は、みなさまから「言葉にできないけどエモい!」お題を投げていただき、カニが代わりに「なぜエモいのか?」を考えて解説してみる企画です。

第4弾は、mikanさんより頂いた《アニメ「星合の空」EDのダンスで脇役の女の子がメインをはっている件》です。

今年10月より始まったアニメ「星合の空」についてです。現在2話まで放送されています。アニメではEDの映像がダンスであることがよくあります。多分「涼宮ハルヒの憂鬱」から始まった流れで、今ではプリキュアシリーズでも恒例です。
「星合の空」のダンスのアニメ映像はキャラクターの性格がよく表現されているなと思うのですが、しかし、メインをはっているのが脇役の女の子、しかもどちらかというと現時点では「敵役」とも言えるようなキャラなのです。エモいな…、と思いました。このアニメについては男女平等や多様性やポリティカルコレクトネスを意識してるな~と思うのですが、いかんせんEDの件についてはうまく言語化できないでいます。エモソムリエカニさんのお力を借りられたらと思う次第です。もしよろしければよろしくお願いいたします。
公式サイト
http://www.tbs.co.jp/anime/hoshiai/
1話(ニコニコ動画)
https://sp.nicovideo.jp/watch/so35787597
2話(ニコニコ動画)(多分10月24日で無料配信が終了すると思われます)
https://sp.nicovideo.jp/watch/1571191923

アニメのエンディングでダンスってよくあるパターンなんですね。初めて知ったけどなんだか楽しそう。

頂いたリンクで昨夜早速『星合の空』1話を視聴した(すごく面白かった!)ので、その感想と絡めてテイスティング(分析)できればと思います。

アニメ『星合の空』のEDはなぜエモいのか

ニコニコ動画で配信されていた第1話、非常に楽しく拝見しました。初っぱな「ショコラちゃん」(何ていう表現だ)だけでお母さんの性格と以前の住環境を想像させるのがもう面白かったです。

残念ながら配信ではエンディングのダンス映像が入っていなかったのですが、検索したところ脇役の女の子(絹代さん)のダンスがバシッと決まってクールらしい、とわかりました。

そこで、第1話における絹代さんの描かれ方をもとに、なぜ彼女がメインを張るEDがエモいのか考えたいと思います!

①冷静と情熱の人

EDでダンスのメインを張る「絹代さん」は、主人公たちが通う高校の生徒会長。今までは平等の名の下に部員数で決まっていた各部の予算割り当てを、「努力と熱意がある部」に手厚く配分するため、結果を出せない部活の廃部を決定してしまう。

その決定で、弱小男子軟式テニス部は夏までに1勝しないと廃部の危機に! キャプテンの柊真は運動神経の良い眞己(主人公)を勧誘しようとして……と物語は進んでいきます。


この案を出すときの生徒会長、めちゃめちゃ無表情で冷静で淡々としているんですよね。もしかしたら「生徒会長らしくある」ために、わざと感情を表に出さないようにしているのかも。(感情的だからリーダーに向いてない、と言われないために)

その冷静さは揺るぎない理念の表れでもあるけど、一見すると冷血で容赦ない人にも見える。「弱小部活を廃部にする」案も、冷酷なコストカッターっぽい。

ただし彼女は単に無駄な部活の予算を削ろうとしているわけではない。「努力と熱意のある部に、より多くの予算を」との理念で動いている。「私が生徒会長になったからには」という発言から見ても、その意志はずっと前からあった強固なものだ。

絹代さんは、「努力は正当な対価で報われるべき」という公正な信念の持ち主だと思う。(「努力と熱意があれば必ず結果が出る」という功利主義っぽい考えは、理想論すぎるにしても)

そして彼女の案が賛成多数で可決されてたり、クラス内で「絹代さんが言うなら……」的なガヤがあったことから見て、たぶん彼女は校内で慕われてる。絹代さん本人が努力と熱意の人で、実際に結果を出してきたんじゃないかな。というか、報われるまで諦めずに努力するタイプなのかもしれない。


彼女は冷静さと情熱を併せ持った人だと思う。

そしてその美徳は、間違いなくダンスに活きるものだ。音に合わせて振り付けを的確に踊るには、自分の身体を指先まで高度にコントロールする冷徹さが必要だと思う。同時に、ダンスを豊かにするためには、ダンスに情感を込める必要がある。そして何より、そこにはダンスへの熱意がなくてはならない。

絹代さんの美徳である冷静と情熱がダンスのなかに見えるから、彼女のダンスはエモいのかもしれないと思いました。

あと、いつもは無表情の人がダイナミックかつ楽しそうにダンスしてたら、単純にそのギャップが刺さる。

②スポーツと髪型

わりとニッチな感想なんですけど、『星合の空』、キャラクターの髪型の描き方が好きです。特に高校女性陣の。

強豪である女子軟式テニスの部員たち、色んな髪型の人がいた。長い髪を結んでる人もいれば、かなり短髪の人も。この短髪の女子の存在が、強豪部活をリアルに描いてるなと思いました。

お恥ずかしながら短髪の女の子、一瞬男子かなと思って混乱した。アニメでの描き方として、「女の子=ミディアムからロング」という固定観念があって、せいぜいショートボブのイメージだったので。自分もけっこうジェンダー観にとらわれてたなーと気付きました。(こういう気付きがあるとハマりがち)

それでね生徒会長兼ダンサーの絹代さんの髪なんですけど、すごく重そうなんですね。かなりの長髪でボリュームも多い(着眼点が気持ち悪い)。劇中でも、顔にかかりそうな横髪を何度も払いのける癖が描かれてたんで、あの髪型の重さは意図的なんだと思う。


そして、ダンス。

先日、あるダンスの発表会を観に行ったとき、長い髪を振り乱して踊る女性ダンサーがいらして。迫力抜群でグルーヴ感満点で。

それを見て、ダンスにおいては長髪も表現の手段のひとつなんだと知りました。振り付けに従って揺れたり振り乱されたりすることで、ダンスを繊細に、あるいはダイナミックにするパーツ。

絹代さんの髪の長さと多さは、一般的なスポーツでは邪魔になるかもしれない。けど、ダンスにおいては表現の幅につながる。だから敢えて伸ばしてるんじゃないかなあ。

そういった人物造形の細部まで理にかなっていて、キャラクターの性格や大事なものを反映している感じがいいなと感じました。(これで絹代さんが実はダンス部じゃなくてレスリング部、とかだったら本当にすみません)

③ひとりの人間としての尊重

それぞれのダンスに「キャラクターの性格がよく表現されている」のも良いところだなと思います。アニメ本編を見ていても、各人の性格や趣味がきちんと作り込まれているんですよね。

それが、短い台詞や会話からだんだん見えてくる。だから「これからどんどん皆の性格や考えが浮かび上がってきて、面白くなっていきそう」という期待感があります。

生徒会長の絹代さんは男子軟式テニス部に危機をもたらした存在で、ある意味天敵。でも彼女は決してわからず屋ではなく、堅い信念を持って熱意に報いようとする公正な人物で、おそらく生徒にも慕われている。しかもエンディングでは、格好良くダンスをする意外な一面も見せてくれる。

ひとりの人間にも色んな側面があって、他の人には見えていない努力や困難がある。EDのダンスでの絹代さんはそれを象徴しているから、エモいんじゃないかと思いました。


以上です。TBSではきょう深夜に第3話が放送されるので、早速録画予約しました。今度こそエンディングをフルで見れるかしら。

あと、絹代さんの理知と情熱、ダイナミックなダンスが好きな人は、きっとRADIOFISHのFISHBOYさんも好きだと思いますのでよろしくお願いします!(推しをねじこむスタイル)



エモソムリエについて

「エモソムリエ」企画では言葉にできない、誰かに言語化してほしいエモを募集中です。

こんなときにおすすめ↓
「好きなアーティストの新曲のここがエモい、でも言葉にできない!」
「友達に推しの良さをプレゼンしたいけど、いい表現が思いつかないので手伝って!」
「推しの関係性エモすぎだけど、推してない人からはどう見えるの? 客観的な視点で語って」

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