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本当の親子のような義母と私

エキセントリックな母親に育てられた私にとって、義母との出会いはまるで神様からのプレゼントみたいだった。大袈裟みたいに聞こえるかもしれないけれど、これが本心。

義母は私の実母と同じ名前なのだけど、性格は全く正反対。

義母の口癖は、

「気にしてもしょうがないことは気にしたってしょうがないじゃない!」

だ。

起きたこと、過ぎたことは一切クヨクヨせず今この瞬間を楽しく過ごすことに長けている。

決して苦労知らずで能天気なわけではない。

義母はなかなか大変な思いをして生きてきたはずだ。価値観の合わない義父と義祖母(義母の母)の介護、自営業なので金銭面でのやりくりも相当苦労したと思う。
親戚付き合いでも金銭絡みで色々と山あり谷ありだった。それも1回や2回じゃない。嫁に迎えた長男の奥さんとはテレビドラマか映画にでもできそうなレベルのものすごい体験もしている。

だけどその時はどんなに大変でも義母はいつだって前だけを見てさっさと解決してしまったら、後は振り返らない人だ。

タフで、人生を楽しむことが上手な人だなと思う。
友達付き合いもするし孫たちの面倒もよく見てくれる。本当に良いお母さんだ。愚痴を言っているところをあまり見たことがない。言ったとしても、あくまでもサバサバしている。

そんな義母は私を娘のように可愛がってくれている。
義母の前向きな考え方、人生を楽しもうとする姿勢は私の性格にすごく合っていて、一緒に出かければ楽しいしまたすぐ会いたいと思う。

こんなに義母が大好きな嫁って世間では珍しいらしい。

私は、自分の母親にしてもらえなかったことを全て義母がしてくれているように感じている。

「ご飯何が食べたい?」と聞かれて「すき焼きがいいな!」なんて答えたらすき焼きを作ってくれるか美味しいすき焼き屋さんに連れて行ってくれる。お寿司が食べたいと言えば美味しいお寿司屋さんを予約してくれる。

こう言うのは体に悪いからやめなさい、こっちにしておきなさい、とか言わない。

手芸が得意で器用な義母は、私の娘たちの幼稚園や学校用品(体操着袋や上履き入れ、レッスンバックなど)もいつも手作りで可愛いものを作ってくれる。

「それくらい自分でやりなさい」なんかも絶対言わない。頼ると喜んで引き受けてくれる。むしろそれが生き甲斐とでもいう勢いで。

甘やかす、というのとはちょっと違う。言うべきことはきちんと言ってくれる。そしていつも楽しそうに世話を焼いてくれる。そんな人。

一緒に笑い合いながら楽しくランチをしたり、なんでも包み隠さず話せるし、義母といるときの私は超自然体で、実家にいる時のようなうっすらとした緊張感は一切なく、義実家にいるときの方が私100倍リラックスしている。普通は逆らしいけれど。

義母は「あなたがこうして気さくに付き合える人だから私も楽しいのよ」と言ってくれる。でも私にしてみれば義母がこんなにも心が広くて優しいから、気さくに付き合えるのだ。

子供の頃に親にして欲しかったことをしてもらえなくて満たされなかった心が義母の行動によって癒やされている。
私の願いが叶っている。そんなふうに感じる。

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義母のキッチンはいつも雑然としている。
行くたびに私の、夫の、子供たちの、孫たちの、好きな食べ物を用意して待っていてくれる。
義母のキッチンは愛するみんなのお腹を満たすために散らかって、暖かい。
私の実家のキッチンのように、母の認めた必要最小限のもの以外何も無く神経質さが漂う寂しい空間とは違う。

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月に一回、義母と義姉と私の3人でランチをしている。
お店の人からはきっと家族のように見えているだろう。私と義姉が姉妹で。義母は私たちのお母さん。そんなふうに映っていることだろう。

私には義母がいるからいいや。
実のお母さんがあんなにも付き合いにくくて面倒で、私の心にいつも影を刺してくる人でも。私にはもう一人本当のお母さんがいるから大丈夫。そんなふうにさえ思っている。

一応、母が生きているうちは私が母をどう思っているか、は義母にも内緒にしておく。悪口を言うみたいで実母がちょっと可哀想だから。

私はいつも実母に葛藤しながら、義母に本当のお母さんみたいに甘えている。それでバランスが取れている。

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私も義母みたいなお母さんになりたいと思っている。
子供がお母さんに話しかける時にいちいち顔色を伺ったりしなくてよくて、今機嫌が悪くないかどうか、話しかけるタイミングが間違ってないかとか気にしなくてよくて。

見えない地雷を踏んで突然ヒステリーをおこされる心配もなくていつだって笑顔でメンタルが安定していて。

本当は当たり前じゃないんだけど、まるで当たり前のようにいつもそばにいてくれる存在。安心できる人。

そんなお母さんに私もなりたい。






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