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ナウ・ローディング


最近ゲームセンターに通っている。驚くべきことに、最近のゲームはなんと無料でプレイできるのである。
「コード・オブ・ジョーカー」(通称COJ)という遊戯王っぽいデジタルカードゲームなのだが、これ、三〇〇円のICカードを買うだけでその後は毎日2回、無料でプレイできてしまう。追加プレイやカード購入にはお金が必要だが、むろん課金しなくても遊べる。ログインするとスタンプが押され、一〇個たまるとレアカードがもらえたり……まるでスマホゲームをリアルでやっているような気分になる。そう、今、ゲームの世界はスマホアプリ一人勝ち。コンシューマーも、アーケードもめちゃくちゃ厳しい状況にある。


「ナウ・ローディング」はそんな状況のなかでも、ゲームを愛する人々を描いた青春小説。既刊『インサート・コイン(ズ)』は、過去を振り返るノスタルジックな作品だったが、今回は実況サイトでのドラクエⅢのRTA(リアルタイムアタック)、同人アダルトゲームの現状など「今」を切り取る。


ここ最近のゲームを題材にした作品は、押切連介『ハイスコアガール』、ドラマ「ノーコンキッド」など、懐古的内容が多かった。だが、本作で”ノスタルジーとは変わらないことの確認です。(略)変わるのは遊び方――遊ぶ側です”と述べられているように、ゲームの楽しみ方は常に新しく更新されているのだ。その「今」が確認できる良作(同じく、ゲームの今を描いた、大塚ギチ『THE END OF ARCADIA』もオススメ)。

初出:2014年11月「宝島」

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