2023年07月08日 宮沢和史さん with 坂本美雨さん「愛と平和を歌う2023」

会場となったのは静岡県小山町総合文化会館。下調べせずにチケットを取ったら、箱根と御殿場の中間に位置するエリアで、東京から公共の交通機関で乗り込むには結構な時間がかかかる場所でした。もう少し終演時間と公共のバスの時間が連動していたら良かったですね… それでも、今回のコンサートを運営した小山町の皆さまはとても親切で、諸々感謝しております。

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宮沢和史さんの「愛と平和を歌う」シリーズを自分が観るのは昨年と今年の有楽町朝日ホール公演に続いて3回目。昨今の国際情勢に対し、ある時はラブソングを歌い、不当な政治や暴力に対しては言葉による闘いを挑むような構成とセットリスト。ただし、ミヤが繰り返し「ツアーではない」と言っていたように、前回は又吉直樹さん、今回は坂本美雨さんがゲストで、少しずつ内容が変わってきていますね。

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ミヤの近作やTHE BOOMの比較的レアな作品、加藤登紀子さん作の中森明菜さんの「難破船」カバー、更には昨年他界したガル・コスタの「私の声、私の人生」のカバーと、このシリーズならでは曲が並んだ前半を経て、坂本美雨さんはライブ中盤に登場。ミヤのギターでミヤと「時雨の森」をデュエット。その後ステージに一人残り、高田渡さんの「ブラザー軒」を朗読。更に「Danny Boy」を英語詞、日本語詞の順に朗読し、アカペラの歌へ。再びミヤと「遠い町へ」をミヤのギターでデュエット。

4つの曲に共通するのは遠く離れていく愛する人たちへの想い。美雨さんはご自身の「推し」であるアーティストの話に纏めていたけれど、自分は勝手に色々想像してとても切ない気持ちになりながら聴いていました。勿論いつも素晴らしいですが、今日の歌声や言葉の美しさと言ったら…

ちなみに「時雨の森」は、美雨さんが1stアルバム後に試行錯誤を繰り返していた頃、発売されたシングルの収録曲で作詞が美雨さん、作曲がミヤという作品。最近ラジオでこの話になり、「また歌ってみたら?」とミヤから提案があったとか。

また、「ブラザー軒」(詞:菅原克己さん/曲:高田渡さん)は仙台の老舗洋食屋を題材にした歌。美雨さんも閉店前に訪れたそうですが、この歌詞、主人公が七夕の夜に今は亡き父と妹の幻影を見る物語なんですよね... 美雨さんが「風鈴の音」をアジアの打楽器で表現するくだりなど、教授の最後のアルバムを思い出したりとか。

そして「DANNY BOY」、更に「遠い町で」も遠くに離れていった愛する人を想う歌。とても悲しく、そして美しい時間を共有させていただきました。ありがとうございます。

ミヤと美雨さんのMCについてもすこしだけ。お二人の出会いは美雨さんが9歳の頃、まだ坂本家がNY移住前で高円寺に住んでいた時に、THE BOOM4人を教授と矢野さんが招待したのがきっかけだそう。以来、NYの家も訪れるように。「血は繋がっていないけど親戚のおじさん」とミヤ。

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活動休止から復活後の宮沢和史さんの音は、基本的に穏やかなアコースティックサウンド。観客もおとなしく聴いていましたが、終盤のTOKYO LOVEでステージ上も客席も突然スイッチが入り、オールスタンディングに。会場には普段はあまりいらっしゃらないような地元の御老人の方々が散見されたのですが、流石にこの急展開にびっくりされていたようでした。

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(8 July 2023/小山町総合文化会館)

01. ブランカ
02. 未来飛行士
03. 愛より
04. 午前0時の近景
05. そばにいたい
06. 難破船
07. Minha Voz, Minha Vida
08. 時雨の森
09. ブラザー軒
10. Danny Boy
11. 遠い町で
12. Justin
13. 夏がとまる
14. ピアノ
15. Paper Plane
16. 幸せゆき
17. 島唄
18. ひとつしかない地球
19. Tokyo Love
20. 真夏の奇蹟
21. Next To You

encore
22. 気球に乗って
23. 風になりたい

宮沢和史 Vocal, Guitar, 三線
今福健司 Percussion
土屋玲子 Violin, 二胡, Chorus
白川ミナ Piano
坂本美雨 Vocal, Poetry Reading (M8 - M11)

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