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忍殺TRPG小説風リプレイ【ファイア・ソード・ウインド・バレット(その1)】

アイサツ

ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

なお本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

こちらの記事は前回の続きというか幕間というか…そんななんかになっております。よろしければそちらから見てやってください。

元となったシナリオ…というよりも使わせていただいたMAPは黒鷺あぐも さん作成のシナリオ【シーフ・イン・ザ・ナイト(後篇)】のMAPです!シナリオ詳細は下記の記事をご覧ください!

※なお、リプレイにあたり設定の一部を改変させていただいております。ご了承ください。(特に今回はだいぶ改変させていただいております。)

ではやっていきたいと思います!

1.

「ウ、ウウ…ここは…?」アベノスゴイハルカスビル、47階。ソウカイヤとザイバツという二大ニンジャ組織の抗争によって多くの破壊と殺戮が生まれたこの場所でケイマ・ルマは目を覚ました。

痛む身体に難儀しつつ身体を起こす。「確か…レポートの課題でスゴイハルカスに…それで…」「気が付きましたか」ルマが声のした方を振り向くと人の好さそうな顔をしたサラリマン風の男が彼女の顔を覗き込んでいた。

◆ケイマ・ルマ(種別:モータル/カラテ特待生)
カラテ       2    体力        3
ニューロン     6    精神力       6
ワザマエ      4    脚力        2
ジツ        -    万札        0
回避ダイス     5
							
◇装備や特記事項
 カルマ:善
 カラテ特待生:
 ・回避ダイスの算出方法が【カラテ】-2ではなく【カラテ】-1に。
 ・【体力】が+1。
 ・近接攻撃を命中させやすい。
 ・説得判定で有利に。

「あなたは…?」「覚えてませんか、ドーモ、アルキです。向こうは妻のニホと息子のキントです」アルキと名乗った男の後方には眠る子供を大事そうに抱える女性の姿。「ドーモ、ケイマ・ルマです。……そうだ、私は…」

確か上階の展示室から昼食を食べるためにレストラン街に下りてきた筈だ。そこで一人の美青年を見つけて…「ニンジャ…!そうだニンジャは…!?」ルマは立ち上がって周囲を見回す。

「お、落ち着いてください!座って!」「ニンジャは!ニンジャは本当に居るんです!嘘じゃありません!私は…!」「だから落ち着いてください!」「私は狂ってるわけじゃ」「だから知ってます!その……それ、が居ることを…」アルキは言葉を濁した。「…スミマセン」「いえ…」暫しの沈黙。

そうしているうちにルマの脳裏に徐々に記憶が甦ってきた。ビル全体を揺らした轟音の後、セルフテンプラレストランの『ダイコクチョ』で子供連れの一家……すなわちアルキ達と出会ったこと。レストランの外で繰り広げられるニンジャ達の激しいイクサに巻きこまれないよう身を寄せ合って隠れ続けていたこと。そしてその後再び起きた大きな衝撃の際に頭を打って気絶してしまっていたこと。

「私達は家族で食事に来ていただけなのに…あいつらがやって来て…アイエエエ…」NRSが再発し、アルキが頭を抱える。「しっかりして下さい……えっと、今はどういう状況ですか」尋ねながらルマはもう一度周囲を見渡す。

ここは『ダイコクチョ』の中のようだがテーブルや椅子が倒れ、食器やガラス、床や天井の破片が散らばっている。フロアの照明は切れてしまっていて薄暗い。「分かりません…ただ店内から出ないようにしていただけですから…ある程度前から表は静かになりましたが…」

「救助は呼んだんですか?IRCとか…」「それが……」アルキは懐から携帯IRC機器を取り出した。しかし画面には『不可な』の文字が映るばかりだ。「妻の持ってるのも同じように通信が出来なくなっていて…」ルマも自分のIRCを取り出して確認するがやはり同じであった。彼女たちには与り知らないことであるがソウカイヤの通信妨害が働いているのである。「これじゃあ助けも…」

その時。カツン…カツン…。店の外で足音が鳴り響いた。まさか、ニンジャが。「アイエッ…!」アルキがニホに駆け寄り、妻と共に息子を抱きしめる。「……ここにいて下さい。私が見てきます」ルマは店の入口にそっと近づいていく。

「ま、待ちなさい…!危険だ…!」アルキが引き留めるがルマは首を振った。「…この中だと私が一番足が速いと思います。これが一番の選択なんです」そう言う自分の声が震えていることにルマは気が付いたが、無視した。

呼吸を押し殺してそっと入口の扉を開ける。僅かな隙間から見える店の外も店内と同様荒れ果てている。床に広がる赤い染みの正体についてルマは考えないようにしたが、そこに横たわるものを見つけてしまったためにそれは叶わなかった。ルマは自分の口を右手で抑えて声が漏れないように堪える。

(ひ、人が死んで…!)(大丈夫だ。見るんじゃない。屋上まで行けば…)店の外に居たのはマッサージ師めいた服装の女性とケンドー型機動装甲服を着た人間であった。警備員だろうか。少なくともニンジャではないようだ。

「あの!スミマセン!」そう判断したルマは二人の前に躍り出た!「アイエエエ!?」「アイエエエ!来るな!」店から飛び出したルマに対して二人は悲鳴を上げ、警備員は電磁シナイを振り回した。

「ス、スミマセン!怪しいものじゃありません!」ルマは両手を上げて無抵抗の意思表示を行う。「ア、アイエエ?女子大生?」「き、君ぃ!驚かせるんじゃない!……いや、生存者か!?君一人か!?」幸い相手の二人はすぐに冷静さを取り戻した。「中にまだ人が居ます!三人家族で…とにかく中へ!」

◇◇◇

2.

ファイア・ソード・ウインド・ブレット1

「ドーモ、このビルの警備員のデンガクです」「私はすぐそこの店の『身体工場テモミン』のマッサージ師のギンコです…」「ドーモ、ネオサイタマ大学のケイマ・ルマです。あちらの三人はアルキ=サン一家です」「ドーモ」あの後、一度ダイコクチョの店内の中に入ってそれぞれ自己紹介を済ませ、お互いが持っている情報を交換し合うこととなった。

K:ケンドー警備員のデンガク (種別:モータル)	
体力       1    精神力   1
カラテ      3    ニューロン 1	
ワザマエ     2    脚力    2
ジツ       -    万札    1		
カルマ:善
※元は黒鷺あぐも さん作成のシナリオ【シーフ・イン・ザ・ナイト(後篇)】に出てくるケンドー警備員です。今回のシナリオでは名前ありのキャラとして動かさせていただきました。ご了承ください。

「私たちはずっとこの店の中に隠れていて外の様子を知りません…。あなた方は?」まずルマが事情を説明した。「私も表の騒ぎが聞こえなくなるまで店の奥で震えていて…そしたらこちらのデンガク=サンが来てくれて…」「ウム、私は最初は警備室に居たのだが…そこにニンジャが侵入してきたのだ」「ニンジャが!?」デンガクの言葉にルマが驚きの声を上げた。

「ああ……それは悪魔のような外見の恐ろしいニンジャだった…。警備室のUNIXを破壊しようとしていたのでな。隙を見て後ろからこの電磁シナイで殴りつけてやったら恐れをなして窓から飛んで逃げていったんだが……一歩間違えればやられていたのは私だった」「何てこと…」

「だが私の抵抗は無意味ではなかった!実は警備室のUNIXを操作すると屋上へ通じる避難用梯子が設置されるんだ」「本当ですか!」避難用梯子、という言葉にアルキが反応を示した。「ウム。屋上へ出れば救助要請用ノロシを上げてネオサイタマ上空を飛んでいるツェッペリンなどに助けてもらうことが出来る!」デンガクの言葉に一同の表情に希望が宿る。

「そうと決まればすぐ行きましょう。キント君が起きる前に」ルマがそう言うと他の皆も頷いた。まだ眠っているキントは父親のアルキが背負う。ルマが店の入口から顔を出し、左右を確認する。「大丈夫です。行きましょう」一同を手招きする。少し歩いてからルマは自分で自分の発言が可笑しくなった。

(いったい何が大丈夫なのかしら…。もしもニンジャが居たら警戒なんて無意味なのに…)確かにあれほど激しいイクサを繰り広げていたニンジャ達は目的を達成したのかもう居ない。だが…どこかに隠れ潜んでいる可能性、あるいはもう一度やってくる可能性が無いわけではないのだ。最悪の可能性を想定してルマの全身が粟立つ。(いけないわね。ネガティブになってる。とにかく今は脱出を目指さないと)

……だがしかし、悪い予感というものは当たるものだ。今まさにアベノスゴイハルカスビル屋上に一人のニンジャが降り立ったところなのであった…!

◆◆◆

3.

スタッ。アベノスゴイハルカスビル屋上。報道用マグロツェッペリンから飛び来った男は乾いた音を立てて三点着地した。男はヘルメット、ゴーグル、そして布製のメンポを着用しておりその表情は窺い知れない。黒い野戦服に湾岸警備隊の使用しているハーネスを付けており、オムラ・アサルトライフルを装備している。男は……彼はサルーテと呼ばれているニンジャである。

【ニンジャネーム】:サルーテ
【性別】 :男
【カラテ】:5        【体力】:6/6
【ニューロン】:5      【精神力】:4/5
【ワザマエ】:3       【脚力】:3
【ジツ】:0         【万札】:9(ローン10)
【DKK】:0
【名声】:2
【アイテム】:ZBRアドレナリン注射器:次の手番まで【脚力】+2、
       行動不能状態にある仲間の蘇生(使い捨て)
      :オムラ・アサルトライフル:遠隔武器、連射2、ダメージ1、小銃
      :グレネード:遠隔武器、手榴弾、使い捨て、爆発『カトンLV1』、
             『ボス級の敵』は回避判定可能
【サイバネ】:▶︎生体LAN端子:【ニューロン】判定時にダイス+1個、ハッキング時にさらに+2個
      :▶︎▶︎▶︎サイバネアイ++:装備前提「▶︎生体LAN端子」以上
               あらゆる【ワザマエ】判定時にダイス+4個、
               遠隔攻撃ダイス+2個、回避ダイス+3個
         :▶︎クロームハート:【体力】+1、【精神力】+1
【装備品】:湾岸警備隊制式アサルトハーネス
【生い立ち】:○元湾岸警備隊
【備考】:サイバネの精神力負荷―1
     アジトトイレ無し:精神力-1
【狂気】:薬物依存/バイオインゴット欠乏症
     1段階目(軽度):消費アイテムによる【体力】および【精神力】の回復量が−1される
     (最低値は回復量0)。ZBR蘇生は例外。

フリーランスのニンジャ。元湾岸警備隊。
サルーテとは彼が名乗った名前ではない。


ファイア・ソード・ウインド・ブレット2

サルーテは銃を持ったまま素早く階段へ近づき、階段の下のクリアリングを行うとそのまま素早く駆け下りていった。

◇◇◇

レアトレジャー:エンシェント・ブッタ・アイテム
◆レアトレジャーの決定表◆
出目1ー4:【万札:10】 出目5−6:下表
1:カタナ
2:タクティカルニンジャスーツ
3:パーソナルメンポ
4:*キーボード・オブ・ゴールデン・エイジ*
5:*マキモノ・オブ・シークレット・ニンジャアーツ*
6:**ボンサイ・オブ・ダークネス**
SAトレジャー判定:2d6 = (4+6) = 10
SAトレジャー出目5,6表判定:1d6 = (5) = 5

【万札:10】【*マキモノ・オブ・シークレット・ニンジャアーツ*】【DKK:2】GET

…サルーテは48階の展示室にエントリーした。飾られていたであろうチャワンや絵画などが破損、焼失しており、床や壁には血痕や複数の爆発四散痕。部屋の有様はここで激しいイクサが行われたことを物語っている。床の上にはサラリマンめいた男の死体が二つ転がっていた。頭部を血で赤く染めた死体と背中側が消し飛んだ死体。

サルーテは銃を構え、BLAMBLAM!死んだサラリマン二人の心臓に向けて発砲した。BLAMBLAM!BLAMBLAM!念のため頭部に更に2発ずつ撃つ。

続いてサルーテは展示室に残った美術品の物色を始めた。ローンの返済に充てるためである。純金製のブッダ像。サイズは小さいがそれなりの値段で売れそうだ。回収して懐に入れる。更に別の何かを探そうとしたサルーテのサイバネアイに古びたマキモノが映った。

何かのカケジクかショドーだろうか。これも嵩張らない割に高値で売れそうである。サルーテはマキモノを回収した。他に目ぼしいものは特に見当たらない。サルーテは再び屋上へとその足を向ける。…だがしかし、まさにその時、屋上に新たなニンジャ達が降り立っていたのである…!

◆◆◆

4.

ファイア・ソード・ウインド・ブレット3

スタッスタッ。アベノスゴイハルカスビル屋上。警備用マグロツェッペリンから飛び来った男女は乾いた音を立てて三点着地した。「屋上に人影は無いわね。準備は良い?」血で汚れ赤黒く変色したPVC包帯で右目を隠した女がもう一人の男に尋ねた。袖の長い黒いパーカーに隠れた両手に握られているのは鈍く光る二振りのカタナ。彼女の名前はセルフハーム。ソウカイヤのニンジャである。

【ニンジャネーム】:セルフハーム
【性別】 :女
【カラテ】:5        【体力】:5/5
【ニューロン】:6      【精神力】:6/6
【ワザマエ】:4       【脚力】:3
【ジツ】:0         【万札】:6
【DKK】:0
【名声】:4
【アイテム】:カタナx2:『近接武器』、『二刀流』、『連続攻撃+1』、『ダメージ1』、
                   『射撃不可』、『連続側転難易度+2』
       高速振動ナイフ: 『特殊近接武器』、『攻撃難易度+1』、『ダメージ2』、
                『属性ダメージ追加不可』
【装備品】:
【生い立ち】:○刀剣マニア
【備考】:
ソウカイヤに所属するイタミ・ニンジャクランのソウル憑依者。
彼女が愛するのは人でもカタナでもなく鮮血を流す切り傷だ。

尋ねられた少年は……然り、中性的な容姿ではあるが少女ではなく少年だ。ショートボブの髪は白に近い金色に染められており、つばを後ろに向けたキャップを被っている。Tシャツにはヒキャクパルクールによる郵便運送会社『オトッパヤ』の企業ロゴが胸にプリントされており、更に見る者が見れば太腿までを覆う黒いスパッツの下、つまり彼の膝から下はオモチシリコンに覆われたサイバネ『ヒキャク』であると分かるだろう。

「ウッゼ!言われなくてもとっくに出来てるっつの」少年はPVCスニーカーのつま先で地面をトントンと叩きながらセルフハームに向けて舌を出した。舌の先には『キリステ』の文字にクロスカタナの意匠の銀のピアスがつけられている。「…ああそう。なら足を引っ張らないでね。ダストワール=サン」「ア?ダッセ!今のでキレてんのかよ」

【ニンジャネーム】:ダストワール
【性別】 :男
【カラテ】:4        【体力】:4/4
【ニューロン】:2      【精神力】:2/2
【ワザマエ】:5       【脚力】:5
【ジツ】:3         【万札】:8
【DKK】:0
【名声】:0

【スキル】:
◉『常人の三倍の脚力』:【脚力】+1 『連続側転』の基本難易度EASY
●『タツジン:ソニックカラテ』
・ソニックカラテ衝撃波(ストレート):
  遠隔武器、連射不可、ダメージ2、射程8マス
・ソニックカラテ衝撃波(ダブルチョップ):射撃前に【精神力】か【体力】を1消費すること
  遠隔武器、連射不可、ダメージ3、射程4マス、射撃難易度:HARD、回避難易度:HARD
・ソニックカラテ衝撃波(ジャブ連打)
  遠隔武器、連射3、ダメージ1、射程4マス

『●ニンジャ動体視力』:『●マルチターゲット』と『●時間差』を得る。
『●タクティカル移動射撃』

【装備品】:▶ヒキャク:【脚力】+1、回避ダイス+1個

【生い立ち】:○元ヒキャクパルクール

【備考】:
元ヒキャクパルクールのソウカイニンジャ。
生意気だが、ソニックブームを尊敬しており彼の言うことはよく聞く。

ダストワールと呼ばれた少年はしかめ面で言った。彼もセルフハームと同じくソウカイヤに所属するニンジャである。今回は二人での任務を行うためにここへ来た。「怒ってるのはそっちでしょ。何がそんなに気に食わないのよ」「ウッゼ、キレてねーし」「……ソニックブーム=サンにここのイクサに連れてってもらえなかったこと?」

「アア!?違えよ!ウッゼ!クッセ!」ダストワールは感情的に否定した。図星なのだろう。分かりやすいニンジャだ。セルフハームは溜息を吐いた。「あのね、シックスゲイツが私達みたいなサンシタを連れてってくれるわけないでしょ?」「ダッセ!お前はどうだか知らねえけど、俺はちげえから」「どこからその自信が来るんだか」「ハ?やんのかコラ?」険悪!

「…ゴメンナサイ、私が悪かったわよ」セルフハームは大人になることにした。重要なミッションの前だ。「ハ!ダッセ!ビビってやがる」「ハイハイ…任務はこのビルに居る目撃者の始末。いいわね?」「だから分かってるっての。……とっとと済ませようぜ!」ダストワールは階段へ向けて駆け出した!ハヤイ!

彼の走った後に砂塵が舞い、セルフハームは咳き込んだ。「ゴホゴホ!ちょっと!待ちなさい!」「オッセ!それでもニンジャかよ!」ダストワールは即日配達が売りの『オトッパヤ』に勤めていた元ヒキャクパルクールであり、ニンジャとなり脚部をサイバネ置換してから更に脚力に磨きをかけた。彼の脚力は常人の三倍である。

「ツーマンセルで行動しろって命令で…ああもう!」セルフハームも決して遅くは無いがダストワールはそれすら上回る速度で階段を下りていく。

◆◆◆

5.

ニューロンで判定

SA察知:6d6 = (2+2+5+4+4+3) = 20
SH察知:6d6 = (4+1+1+3+6+3) = 18
DW察知:2d6 = (4+1) = 5

サルーテが最も早く気が付く。

階段を上ろうとしていたサルーテはその足を止めた。地面に伏せて耳を床に当てる。屋上からこちらへ向かってくる足音が二つ。無人の屋上から?おそらくサルーテと同じようにツェッペリンから飛び来ったのだろう。すなわちニンジャの可能性大。サルーテは状況判断した。息を殺して陰に潜む。

ファイア・ソード・ウインド・ブレット4

程なくして48階の展示室に二人のソウカイニンジャがエントリーした。サルーテは物陰からその様子を窺う。「ここは展示室ね…。ちょっと散らかってるけど」「何だこの変なツボ?チャワン?ダッセ!」「真面目にやりなさいよ。物陰とかを確認して」「ウッゼ!説教垂れてんなよ」「はあ…」

男と女が言い争う声。どちらも若い。女は両手にカタナ、男は素手だが階段を下りる際のスピードから恐らく脚部をサイバネ置換している。…………サルーテはサイバネアイの恩恵で照明の通っていない暗い店内でも二人の姿が良く見える。


……だからそれは誰もが予想しなかった出来事なのだろう。

セルフハームとダストワールの索敵判定を行う。

SH索敵判定:1d6=6 = (6 :成功数:1) = 1
DW索敵判定:1d6=6 = (1 :成功数:0) = 0
マジか

セルフハームがサルーテに気が付く

「!そこに誰かいるわ!」「ア?マジかよ!」セルフハームのニンジャ察知力がサルーテのニンジャ野伏力を上回り、彼の居場所を看破したのである!「イヤーッ!」セルフハームは連続側転で物陰へと接近!

SH連続側転:4d6=6 = (4,3,4,3 :成功数:0) = 0 ウカツ!

ステーン!「アイエッ!?」しかし両手にカタナを持っての連続側転は無理があったか、あるいはガラス片や瓦礫が散乱する床の状態が影響したか、セルフハームは連続側転に失敗!「キャハハ!ダッセ!ダッセ!」ダストワールが手を叩いて嘲笑する!「ウ、ウルサイ!そこの隅よ!誰か隠れてる!」「アイアイ、分かったよ!」

SA連続側転:7d6>=4 = (6,1,6,6,4,3,6 :成功数:5) = 5
SA→SHオムラ・アサルトライフル:5d6>=5+4d6>=5 = (2,4,6,4,1 :成功数:1) + 
(2,5,2,4 :成功数:1) = 24
SH回避:3d6>=4+3d6>=4 = (2,3,3 :成功数:0) + (4,1,6 :成功数:2) = 2
SH体力4

ダストワールが動くよりも早くサルーテは物陰から飛び出し、展示室入り口横のガラスを突き破って廊下に出る!KRAAASH!「逃げるわ!追いかけ…」BLAMBLAM!「ンアーッ!?」サルーテは連続側転で階段へ向かいつつセルフハームへ向けて発砲!肩を弾丸が掠める!

「引っ込んでろよセルフハーム=サン!」ダストワールがセルフハームを押しのけてサルーテを追う!「イヤッイヤッイヤーッ!」ダストワールがボックスカラテめいて虚空へジャブを連打すると風の弾丸が生成されサルーテに向けて襲い掛かった!ソニックカラテジャブ連打だ!

DW→SAソニックジャブ連打:2d6>=4+2d6>=4+3d6>=4 = (4,6 :成功数:2) +
 (1,6 :成功数:1) + (3,6,4 :成功数:2) = 5
SA回避:2d6>=4+3d6>=4+3d6>=4 = (4,1 :成功数:1) + (5,5,2 :成功数:2) + 
(3,6,1 :成功数:1) = 4

サルーテの最新サイバネアイはこの不可視の弾丸を見切る!完全回避!BLAMBLAM!BLAM!「あっぶね!」ダストワールは反撃の銃弾をブリッジ回避!ブリッジから上半身を起こしたダストワールは相手を睨む。「モータルじゃなくてニンジャかよ。ドーモ!ダストワールです!」「セルフハームです!ザイバツのニンジャ…!?……じゃないわね」

二人のアイサツを受けてサルーテは気をつけの姿勢を取り、見事な挙手の敬礼を行った。「何だそのアイサツ?ダッセ!」ダストワールが神聖なアイサツを侮辱!だいぶシツレイだ!「ちょっと待ちなさいダストワール=サン!ソウカイネットで調査してみるわ!」セルフハームはIRC端末を操作し、相手の外観や装備から情報を得ようとする。「フー……ン」ダストワールは…

DW大人しくするか否か:2d6>=4 = (4,1 :成功数:1) = 1

「アイアイ、とっととしろよな」両手を頭の後ろに回して待機した。サルーテに対する最低限の警戒は行っている。サルーテは銃口をまっすぐダストワールへと向けている。その表情は窺い知れない。(ザイバツの残党……違う、じゃあフリーランス?それなら戦う理由は無いのかも…)セルフハームは情報を検索しながらニューロンを高速回転させる。

……だがその時、ケオスに向けて加速する状況を更に混迷させる新たなニンジャが屋上に降り立ったのである…!

◆◆◆

6.

スタッ。アベノスゴイハルカスビル屋上。広告用マグロツェッペリンから飛び来った少女は乾いた音を立てて三点着地した。「遅かった…!もうイクサは終わった後…!」

ぜえぜえと息を切らせながら、カワラ色の丈の短いチャイナドレスめいたニンジャ装束を着た少女は悔し気に唸った。彼女の名前はドラゴンチック。ドラゴン・ゲンドーソー率いるドラゴン・ドージョーのニンジャである。

ファイア・ソード・ウインド・ブレット5

【ニンジャネーム】:ドラゴンチック
【性別】:女
【カラテ】:7          【体力】:7/7
【ニューロン】:5        【精神力】:9/8
【ワザマエ】:6         【脚力】:4
【ジツ】:1(カトン・ジツ)   【万札】:36
【DKK】:0           【名声(ドラゴン)】:11

【アイテム】:なし
【装備品】 :生成装束(伝統的ニンジャ装束【回避ダイス+1】)と
       生成メンポ(パーソナルメンポ【精神力+1】)

【生い立ち】:○未覚醒のアーチ級ニンジャソウル憑依者

【スキル】:★★★共振装束生成 このニンジャの【ジツ】値が1以上の場合、効果は以下の通り。
      ・生成メンポ:ベースとなる防具効果に追加で【精神力】+1
      ・生成装束:ベースとなる防具効果に追加で【精神力】+1

      ★カトン・ウェポン生成(未熟、発動時【精神力】更に+1必要) 
       「難易度:NORMAL」で判定
       『素手』および『バイオサイバネ』で繰り出したダメージ全てに、
       炎による+1の修正が入る。さらに『近接攻撃』時のダイスが+1個される。

      ●ミネウチ ●連続攻撃2

【備考】:アジト(風呂)の効果で【精神力】+1

「中国地方から急いで来たけど……間に合わなかった…!」ドラゴンチックはメンポの下で悔しさに歯噛みする。もう少し自分が早く来ていれば救えた人が居たかもしれない。

つい昨日、ドラゴン・ドージョー本殿でゲンドーソー直々の稽古を受けていたドラゴンチックは見事にカラテの壁を一つ打ち破った。だが修業が終わったその時、ゲンドーソーの鋭いニンジャ感覚は邪悪なるニンジャソウルがこのアベノスゴイハルカスビルで大量に蠢くのを感じ取り、ドラゴンチックを急遽向かわせたのだ。

おそらくイクサを起こしたのはソウカイヤだろう。しかしそれではソウカイヤの相手をしていたのは?「別のニンジャ組織…?そんな組織がドラゴン・ドージョー以外にもあるのかな…?」ドラゴンチックはかつてごく短い期間だがソウカイヤに所属していたことがある。しかし彼女はザイバツの存在を知る前にヌケニンしていたため裏社会の事情に詳しくない。

「とにかく行かないと。もしかしたら生存者がいるかもしれない…!」ドラゴンチックは気持ちを切り替え階段へと向かう。自分と同じ苦しみを誰かが味わっているのなら、ドラゴンチックにはそれを見過ごすことは出来ない。なんとしてでも止めなければならぬ。そして……少しでもそんな誰かの助けになりたいと思う。ユカノとゲンドーソーが自分にそうしてくれたように。

◆◆◆

7.

その頃、48階展示室では。『黒い野戦服、アサルトライフル、アイサツ方法……検索結果1件。フリーランスニンジャ。サルーテ』「いつもお世話になっております。…っと」セルフハームはソウカイネットを通じてサルーテの情報を入手していた。

「ドーモ、サルーテ=サン。フリーランスのニンジャがこんなところに何の用?」セルフハームはサルーテにカタナを向けつつ思案する。(フリーランス……私たちの任務は目撃者の始末。もしディセンションしたニンジャが居たら二人がかりで囲んで叩いて連行しろってことだったけど…この場合は?)

セルフハームの問いにサルーテは答えない。ただ銃を構え続けている。「……アーウッゼ!もう殺しちまえばいいじゃん!2対1だぜ?」「ダストワール=サン!私が交渉してるの!」痺れを切らしたダストワールをセルフハームは一喝して黙らせる。「ケッ!んだよ……」ダストワールは面白くなさそうな顔をした。

セルフハームはその態度に文句の一つも言いたくなったが我慢する。無用な戦いは避けるべきだ。だが、仮にサルーテがソウカイヤの敵対組織……それこそザイバツなどから依頼を受けてここに来たのならば放っておく訳にはいかぬ。今はそういった非常に難しい局面と言えるのだが…(そのことに気が付かないのかしら!もう!)

更にセルフハームにとって頭の痛いことにサルーテはこちらの言葉にまったく反応を示さない。相当口が堅いのだろうか。あるいは用心深いのか。(ダストワール=サンの言う通り、殺害も検討すべきかしらね…)セルフハームが答えを決めあぐねていた……その時!屋上から階段を駆け下りる音が展示室へ響き渡る!三人のニンジャは身構える!

「な…ニンジャ!?」下りてきた人物は展示室を見渡して驚きの声を上げた。セルフハームとそう年の変わらぬ少女で口にはメンポを装着し、ニンジャ装束を着ている。すなわちニンジャだ!

「アア?ウッゼ!またニンジャかよ!ドーモ!ダストワールです!」「セルフハームです」二人のソウカイニンジャの先制アイサツに続いてサルーテが先程と同じ様な挙手の敬礼を行う。「…ッ!ドーモ、ドラゴンチックです」少女はアイサツを返した。

ファイア・ソード・ウインド・ブレット6

「ドラゴンチックですって!」セルフハームがドラゴンチックの名前を聞いて驚愕する。「ア?知ってんのかよセルフハーム=サン」「バカね!ディスグレイス=サンの報告を聞いてないの!」「あの触手オバサンが何だって?」「スゴイ・バカ!ドラゴン・ドージョーのニンジャよ!ソウカイヤの敵!」「ドラゴン・ドージョー!?マジかよ!」

「あなたたち…ソウカイヤのニンジャ…!」ドラゴンチックはセルフハームとダストワールの会話内容から二人の素性を把握した。ではあの野戦服の男は?「一体ここで何をしているの!そっちの人は誰!?」矢継ぎ早に質問する。「ウッゼ!答えるわけねーじゃん!バカかよ!」当然回答拒否!

「で?どうすんだよセルフハーム=サン。こいつなら殺して良いよな?オニイサンに褒めてもらえるぜ!」ダストワールは既にやる気だ。「待ちなさい…少し…」セルフハームは黙考する。確かにドラゴン・ドージョーのニンジャならば殺害ないし捕獲すればボーナス重点は間違いない。しかしセルフハームが即座にイクサに移ることを決断出来ない要因がある。サルーテの存在だ。

仮にダストワールと二人がかりでドラゴンチックにイクサを仕掛けたらサルーテがその隙にどう動くか分からない。放っておくべきか、注意だけはするべきか、あるいは……戦うか。……やがてセルフハームは決断した。

セルフハームはどうした?
1サルーテは無視2サルーテには注意だけ向ける3サルーテとも戦う:1d3 = (2) = 2

「やるわよダストワール=サン。……傭兵にも注意して」セルフハームは後半をダストワールだけに聞こえるよう小声で言った。「遅えんだよ!こっちはとっくにやる気だぜ!」ダストワールが挑戦的な笑みをドラゴンチックに向ける。だが。「………あなたたち、は……その……」ドラゴンチックはカラテの構えを解きつつセルフハームたちに語りかけてきた。

「何…?」「ア?命乞いかよ」ソウカイニンジャ達は訝しんだ。「えっと……」ドラゴンチックは躊躇うように言葉を口の中で転がしていたが、やがて口を開いた。「あなたたちは、ニンジャの力に…ソウルの破壊衝動に呑まれたりしてない…?」「……ハァ?」

「もしそうなら…ソウカイヤの、ヤクザの手伝いなんてしてたらいけないと思う。何か事情があるのかもしれないけど……。ドラゴン・ドージョーはソウルの力を抑える方法を教えてくれる。だから……」ドラゴンチックは…クツロ・ツクは不器用ながらもセルフハーム達が悪しき行いと決別するよう説得しようとした。かつてのドラゴン・ユカノのように。

セルフハームとダストワールが顔を見合わせる。「………プッ!」「……フフッ!」「「アーッハッハッハッハ!」」フロアを笑い声が包んだ。ドラゴンチックは黙ってその様子を見ている。サルーテは変わらず銃を構えている。その表情は窺い知れない。

「アッハハハ……バカだなお前?バカだろ?」ダストワールが笑いすぎて目から溢れた涙を指で拭きながら言った。長い睫毛が跳ねる。「カビ臭えドージョーに誰が好き好んで行くかっての!山奥篭って修行とか!ダッセ!ウッゼ!」ダストワールは右手でキツネ・サインを作り舌を出した。ソウカイヤのエンブレムのピアスが舌の上で揺れる。

「ま、私も同感ね。むしろあなたがソウカイヤに入ればいいのに。タノシイわよ?」セルフハームはクスクスと笑った。「……分かった」ドラゴンチックは静かに言った。「もう大丈夫。心置きなく戦える」そしてジュー・ジツめいた構えを取る。

ドラゴンチックはどうした?
1サルーテは無視2サルーテには注意だけ向ける3サルーテとも戦う:1d3 = (1) = 1

(ひとまず、あっちの銃を持ったニンジャはソウカイヤじゃない…味方でもないと思うけど)ドラゴンチックはサルーテのことは考えず、ソウカイニンジャとのイクサに集中することにした。元より2対1。これ以上別のニンジャを相手取る余裕は無い。

四人はしばし睨み合った。そして数秒後………「「「イヤーッ!」」」アベノスゴイハルカスビルで再びニンジャ達のイクサが始まった!

ファイア・ソード・ウインド・バレット(その2)へ続く