【一級建築士製図対策】初受験生が理解しておくべき試験の成り立ちと合格に必要なエスキスの本質
こんにちは、博士です。
なぜ多くの受験生がエスキスをまともにできないまま受験して毎年落ちてしまうのか、知っていますか?
答えは、一級建築士設計製図試験を理解してないから、です。
「なんだそんなことか」と思いますよね?
そうなんです、試験で求められていることすら知らないまま、多くの受験生は不合格になっています。
言い方を変えると、一度も食べことがないビーフ・ストロガノフを想像だけで作り、得体の知れない料理をお客さんに出して怒られる感じです。
今回は、初受験生が合格のためにエスキスでやるべきたった一つのこと、を試験の成り立ちとエスキスの本質を交えて解説していきます。
受験生を独りにしない一級建築士合格カウンセリングをはじめました👇
│ 一級建築士試験の合格に必要なエスキスとは?
合格に必要なエスキスは、どんなものだと思いますか?
大学の建築学科でやるような、ちょっと哲学的なものでしょうか。
もしくは、プロポーザルでやるような、かっこよくて、いけてる空間をデザインするようなものでしょうか?
残念ながら、そのどちらでもありません。
一級建築士設計製図試験の合格には、試験専用のエスキスが必要になります。
│ 初受験生が合格のためにエスキスでやるべきこと
一級建築士製図試験でやるべきエスキスの中身は
情報処理
です。
一級建築士”設計”製図という名前の試験なので、
【 設計 ≒ 何かを発想する・考える 】
という印象があるかもしれませんが、全く違います。
ここでいう情報処理は、
課題文を入力情報としてプランを機械的に出力すること
をさします。
なぜ情報処理をするだけで合格できるかというと、課題文にある建物の構成を決める情報に従うだけで、プランが作れてしまうからです。
これまで多くの受験生の方にカウンセリングさせて頂きました。
不合格になる受験生のほとんどが、試験中に建物を作り出そう・生み出そうとしていました。
課題文が求めている建物ではなくて、課題文の一部を使った勝手なプランを作って、ドヤ顔で作図に入る方が少なくありません。
例えるなら、唐揚げ弁当を注文されたのに、チキンサンドを作って「当店のおすすめです!」と提供してしまうぐらいずれていました。
│ 受かりたいなら一級建築士製図試験で設計はするな
一級建築士設計製図試験では、何かを作り出すための設計をしたら負けます。
理由は、出題者も採点者も、あなたにオリジナルの設計なんて求めていないからです。
求められているのは、課題文の条件をまんべんなく満たした、なんの特徴もない建物です。
合格したいのであれば設計はしないでください。
製図試験で設計をする必要がない理由がもうひとつ。
それは、製図試験は、そもそも設計能力を測る試験にはなっていないからです。
大学卒業後すぐに受験資格を得ても、製図試験までに、実務を通して設計能力をみにつける時間は、ほとんどの受験生がありません。
もし、設計能力を純粋に比較する試験であれば、社会人1年目の受験生は圧倒的に不利です。
つまり、製図試験で出題されるような、数千平米の建物をゼロから設計するような能力は、この試験では求められていないということになります。
│ 一級建築士製図試験にいらないもの
■ ひらめき
製図試験の合格には、閃きやすてきなアイデアやデザインなど、一切要りません。
すばらしい発想力がないと合格プランを作れないと、考えている初受験の方がときどきいます。
そんなことはないので、安心してください。
製図試験に合格するだけなら、課題文に素直に従って、作業を淡々とこなすだけで十分です。
プロポーザルで勝利を引き寄せたあなたの提案力は、試験で使うにはもったいないのでそっとしまっておきましょう。
卒業設計がどれだけ高い評価を受けていても、あなたの溢れる才能は、試験ではなく実務にとっておきましょう。
■ 想い
そして、あなたの建物に対するこだわりも、製図試験の合格には一切必要ありません。
実務経験があるほど、あうしたい、こうしたい、この建物はこうあるべきだ、という考えが浮かんでしまいます。
でも、全て忘れてください。
あなたが表現した建物に対する想いを、評価される試験ではないんです。
製図試験では、あなたがどんなに熱い思いをもっていようが、合否とは関係ありません。
課題文に身をゆだねましょう。
│ 一級建築士製図試験の合格に必要な情報処理
■ 本試験課題の作られ方
まず、製図試験の課題文の作られ方について、説明します。
一部推測は入りますが、試験課題はこのように作られていると考えられます。
まず、その年の課題テーマに沿った元となるプランが作られます。
次にそのプランの構成を決定づける部分を文字に変換することで、仮の課題文が作成されます。
内容を知らない人に仮の課題文を解いてもらい、整合のとれない個所を洗い出したり、難易度を調整します。
それらを反映したものが、本試験課題として出題されます。
元となるプランから課題文を書き起こす、この過程がポイントです。
つまり、絵の情報を、文字の情報に変換することで、課題文は作られます。
では、受験生はエスキスで何をすると合格できるかというと、この逆をすればいいだけなんです。
文字情報から絵の情報に、変換しなおすだけで、合格プランを創ることができます。
この変換こそが、情報処理です。
課題文には建物の構成を決める、敷地形状・部門名・室名・要求室の面積、動線条件などが書かれています。
そのため、課題文を作る過程を素直に逆再生するだけで、元のプランの要素を含んだ、合格プランを作ることができます。
新しいものを作り出す必要は全くありません。
繰り返しますが、設計をする必要はないです。
設計をしようとするとまとまらなくなります。
もちろん、元のプランに関するすべての情報が課題文に書いてあるわけではありません。
そのため、あなたのプランと元のプランが完全に一致することはないです。
ただ、課題文の条件に従ってさえいれば、採点者から見て、落とせないプランを作ることができます。
誤解がないように、念のため言っておくと、元のプランに近づけることが大切なわけではありません。
出題者が、これだけは守ってほしいという条件が、課題文にはちりばめられています。
課題文条件に全力で従うだけで、結果的に合格プランを作ることができる、ということをぜひ覚えておいてください。
│ 一級建築士製図試験専用のエスキス方法
紹介するエスキスは、はかせが初受験で落ちた翌年に、約30年分の過去問を分析しながら作りました。
単純な情報処理だけで構成されています。
このエスキス方法を確立してから、自信をもって課題文に向きあえるになりました。
今でも試験の傾向に合わせて改良中です。
その甲斐あって、この方法で初受験生の方が毎年合格しています。
絶対合格できるエスキス方法は存在しませんが、合格する確率を上げるためのエスキス方法ならあります。
一級建築士の初受験合格をねらう場合は、紹介する方法をベースに、やりやすい手順に最適化していってください。
💡 注意
エスキスとはプランニングのことではありません。
プランニングは情報処理の一部です。
■ エスキスの大きな流れ
ではどのように、情報処理をすると、合格プランが作れるのか、エスキスの大きな流れを説明していきます。
はかせのエスキスは全体で約20個の手順から構成されています。
それぞれがつながることで、プランが自動的に出来上がる仕組みです。
今回は、それらの手順を5つの段階に区切って説明させてください。
■ エスキスにおける5つの段階
① 情報整理
課題文に散らばった情報を分類した上で、文字から少しずつ絵に置き換えていきます。
例えば、3階建ての建物に、吹抜けや屋上庭園の要求があったら、断面を書いて、絵に変換しましょう。
② 条件整理
課題文の文字情報のうち、直接アプローチなどの動線条件や、建物の構成を決める高さ方向の条件を、図として可視化します。
条件は、部門間を渡る条件と、部門内の条件の2つに分けることが可能です。
ここで作成する条件図が、試験時間中に満たすべき最大の目標になります。
課題文の文字情報を条件図に変換し、条件図をもとに、合格プランを創っていきます。
③ 計画可能面積の確認
さきほどの条件図はここでは考慮せずに、建蔽率から1階の最大面積を求めたり、各階で計画が可能な面積を計算します。
各階にどれだけの面積を確保できるのかが曖昧なままだと、手戻りが多くなるので、丁寧に算出します。
例えば、要求面積の最大値から100㎡を引いて、階数で割る、などの簡単な計算で構いません。
④ 部門の配置 │ ゾーニング
第二段階で可視化された条件図に従って、部門単位の配置を検討します。
部門というのは、病院であれば、診療部門のように受付・待合室・診察室・処置室といった、機能を一つにまとめた塊のことです。
室単位ではなく、部門単位で配置を検討することをゾーニングと呼びます。
部門の配置では、部門間を渡る条件を処理します。
⑤ 諸室の配置 │ プランニング
さきほど検討した部門の配置に従って、部門の境界線の内側に室を配置していきます。
いわゆるプランニングです。
部門の配置では部門間の条件を、諸室の配置では部門内の条件をクリアすることで、課題文条件を満たしたプランを創ることが可能になります。
│ エスキスをお弁当屋さんに例えると・・・
製図試験の言葉で説明してきましが、少しイメージがわきずらいので、お弁当屋さんで例えてみます。
情報整理・・・材料の準備です。その日入荷した材料をみて、下ごしらえをします。
条件整理・・・注文にあたります。お客さんから唐揚げ弁当がほしいという、具体的なオーダーが入ります。
面積確認・・・お弁当箱の大きさの確認になります。容器の大きさを把握しておかないと、どれぐらいの量が入るのかわかりません。
部門配置・・・お弁当箱に仕切りを設けることです。仕切りがないと、お弁当の中身がぐちゃぐちゃに混ざってしまって、お客さんの満足度が下がってしまいます。
諸室配置・・・盛り付けです。仕切りに合わせてごはんやおかずを入れていきましょう。
合格プランを機械的に作るために、以上のような大きな流れを理解してください。
│ どこで合格は決まるのか?
どこで合否が決まると思いますか?
部門の配置、ゾーニングでほぼ決まります。
最後のプランニングではありません。
なぜなら、建物の全体構成がゾーニングで決まるからです。
そのため、部門配置を検討するゾーニングが一級建築士製図試験ではもっとも重要です。
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