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『うみかじ』4号について

『うみかじ』ではいつも、おわりとはじまりが重なる。制作がおわったと思えば、それを手放していくための作業がはじまる。リアクションがあったり、どこかに届いたという感触がうまれて、すこしはじまったような気もする。そのなかから次号がうまれたりする。おわりとはじまりを通底するように、ほぼ毎日のように、わたしの身体は、座り込んだり引っこ抜かれたりを繰り返している。4号では、これらの狭間にある会話ややりとりを書き残そうとした。


はじめての木版画


2023年7月17日発行
・詩 ほし
・フォトエッセイ 軍服
・うみの辺野古日記。 20230401-20230630
・木版画 沖縄島
・島じま紀行 石垣島


那覇市民ギャラリーにて、沖縄戦時の馬。


うりずんから梅雨にかけて、沖縄戦の慰霊展が各市町村単位で開催されている。「辺野古」で過ごしているとひとりひとりの身体に折り畳まれている沖縄戦の話を聞いたりして、沖縄戦の記憶とともにあるように感じたりもする。だが経験していないものをいかに身に宿すかということも含め、沖縄戦への距離をずっと感じていた。それは同時に沖縄への距離でもあり、日常生活への距離でもあった。

6/23 慰霊の日 那覇にて


バスを使って島を歩いた。「ひとりひとりの命を奪った沖縄戦の記憶と、米軍/自衛隊の基地・軍隊が蹂躙しつづけている沖縄の現状を、どのようにほどきなおすことができるだろうか。慰霊の日を過ぎ、今日明日をどのように生きていくのかというなかから、探していきたいと考えている。」(7頁)と書いた言葉は、いまのわたしにもひらかれている。


昨年リニューアルされた、道の駅かでな


4号の制作と同時にハングル版を制作しており、そして韓国に1ヶ月飛んだ。6月末から7月初旬にかけてはほとんど眠る時間がなく苦しかったことが何より思い出される。いつも完全な身体で制作に取り組むことができないけど、それでも韓国に行く前につくっておきたかった。最近、初対面のひとに何号の『うみかじ』渡したらいいのか困惑するが、根底として大事にしておきたいのは4かな?と思ったりしている。


2024.03.10 10:07


3月10日、中城湾港からうるまの陸上自衛隊基地勝連分屯地に向けてミサイル部隊の車両が走った。中城湾港に来たのは2022年のキーンソード23、自衛隊車両が沖縄島に上陸した日以来だった。記憶が苦い。警戒体制の中城湾港を窓から見ながら、運転してくれているひとに「トラウマにトラウマを重ねている」とこぼしてしまった。その日の夜「それはとてもしんどいよな」と電話で話してくれた。今年も、うりずんの季節。沖縄戦の記憶と現在・未来の沖縄とを、わたり歩いていようとおもう。


印象深い参考文献
・屋嘉比収『沖縄戦、米軍占領史を学びなおす』
・鹿野政直『沖縄の戦後思想を考える』
・徐勝編『東アジアの冷戦と国家テロリズム』
・玄武岩『〈ポスト帝国〉の東アジア: 言説・表象・記憶』
・朴沙羅『外国人をつくりだす』


つづく

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