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名前についてさまざま小ネタ

でもなんで名前を否定したんだろうなって、名前を棄てたんだろうなって思うんだ。俺たちには名前しかなくて、だから、自分からそれを取ると、何者でも無いものになってしまって、唯一の自分のものを棄てて……

 っていう、台詞に、果たして覚えがある方がおられるかわからないんですが、これは97話の終盤あたりで圭の話していたことです。

 名前、というのは少し大切なものです。
 ずっと書きたいと思っていることの、キーワードでもある。
 だから、この台詞のことは、覚えていてもらえるとちょっと楽しいかもしれない。

 といいながら、この作品はポケモンに名前をつけていなかったり、人間の名前もけっこう適当につけているところがあるんですが。
 ポケモンに名前をつけていないのは、はじめから、この物語が実にたくさんの登場人物で構成されることが分かっていて、というのも旅物語ですし、やっぱり自然と、たくさんの人と出会って、別れていくわけです。だから混乱を避けたいというのがあって、既存の名前を使わせていただいています。犬にいぬと、猫にねことつけているのと同じなんですが、なんというか、アニメに一応育てられてきて、ずっと違和感を持たずに過ごしていたんですよね。クロたちにとって、ポニータは既にポニータで、アメモースは既にアメモースで、そうして誰かに名付けられた名前があって、既存のものの中から区別するための特別な名前というより、既存のものを無意識のうちに尊重するという流れがあっても、いいんじゃないかな、とか思ったりして、でもそれは完全に後付けの考えです。

 まあ、今回の記事の本題はそういったポケモンの名前というよりも、もっと全体的に、いろいろと名付けられていることごとの小ネタだとか裏話みたいなのをまとめてみようかなということです。
 本編に関わってくることを除いて、思いつくままに書いていこうかと思うのですが、既によく知られているであろうことや、言ったこともないもの(没ネタ)も含め、並べていこうかと思います。ゆるっと楽しんでください。


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 火閃 かせん
 クロ(白)の武器。今でこそ完全に火閃なんですが、当初は閃火と迷っていて、けっこう、閃火と間違えて更新することが多く、後から読み直してこっそり閃火から火閃に直していたりします。もう無い……と思うんですが、見かけたらこっそり教えてください。


 五月雨 さみだれ と 白雨 はくう
 圭の武器。ずっと五月雨でいこうと思っていたのに、実際にこれを出した48話で突如出現した白雨と迷い、そして白雨が選ばれ、しかし五月雨が捨てきれずにどこかの時点で五月雨に途中変更するという荒技を使用。
 五月雨は、梅雨のしとしとじとじととした雨。一方の白雨は白く見える雨、すなわち夕立やにわか雨のような激しい雨なので、意味としては正反対なわけです。圭のキャラクターを考えた時に、五月雨は適していないのではないかと思い、豪雨の類に入る雨から選出されたのが白雨でした。しかし、五月雨という音の響きを捨てきれませんでした。というのと、やはり白は、タイトルにもつくぐらいだし、笹波白という存在もあるわけで、ちょっと使うには重い。そういうわけで五月雨に。
 今となっては、感情を露わにするのが圭のキャラクター性かもしれないけど、しとしとと降り続ける雨もまた彼の側面でもあるのかな、という気がしています。


 武器について
 そもそも、クロや圭をはじめいわゆる実験完成形の人間が持つ武器が、発動時や必殺技的なもの(自分で言ってて恥ずかしい年頃になってしまった)に名前を呼ぶのは、一応! ちゃんとした! 理由があって! ちらっとヒントは本編でも出していて、遙か昔にまとめたこともあるんですが、そのまとめたファイルがデータの藻屑となって消えたようなので、またそのことはnoteで触れたいです。


 圭 と エアームド
 圭の名前の由来は錦織圭選手、というのはけっこう当初から言い続けているのでこういう名前ネタの中では有名の類で、エアームドを彼と合わせたのは、もちろん鳥ポケモンであるということが大前提なのですが、鳥ポケモンの中でエアームドを選んだのは、エアKが由来です。
 有名とはいっても私が自分からけっこう言っていただけで、言わなければたぶん気付かれない駄洒落ですが、気に入っています。


 クラリス と リコリス
 名前ネタで本編で思いっきり使ったのが、こちらの二つ。覚えてます?

「リコリス! 勿論知っていますよ。随分山の方から来られているんですね。私の名前のクラリスと少し似ているでしょう。初めて知った時それで印象に残ってるんです」

 52話、クラリスが旅の一行と出会った時の台詞ですね。こういう、名前と似たものにシンパシーを感じて形から好きになったりなんか気になったりする、ということが好きです。
 ちなみにこのキリ編の時に同じようなことをやろうとして、でも明らかに放り込める雰囲気にならず、しかしどうしてもあきらめきれなかったのが、下記。


 エクトル と エクレア

 「さあ、分けたところで、飯でも食べな。デザートもあるよ。エクレア好きだっただろう」
 言いながら、ザナトアはテーブルに乗せられた菜食豊かな大皿とチョコレート仕立てのエクレアをエクトルに寄せていく。いつまで経っても、エクトルに対して子供としての一面が抜けない。名前に少し似ているからなんとなく好きだった、それだけだったのに。老婆心に、頑なになっていた肩の力が急に抜けた。
「昔の話ですよ」
 そう言いながら、エクトルは満更でもなく、口許を解けさせた。

 最新話の120話、ザナトアがアランの退院祝いで料理を振る舞うんですが、その中で。ザナトアの中ではずっとエクトルは坊やのままで、出す料理もエクトルがかつて好きだったものだらけなんですが、その中で用意していたのがエクレアで、それはエクトルにとって、味が、というよりも、名前が近いから、という理由が大きかった、という、そういうシーンでした。これは、前のクラリスとリコリスと繋げている部分で、けっこう、クラリスとエクトルはどこか似たもの同士であるかのような部分を意識しています。クラリスがエクトルの影響を大きく受けているのです。


 ブレット
 火閃と同様、ブレットにするかブレッドにするかで迷っていたもの。いつもお世話になっている外国人の名前が一覧になったサイトで、ブレッドを見つけて、かっこいい音の響きだしいいな、となったのですが、ブレッドだとパンだなというのがちょっとださい気もして、ちょっと悩んだ末にやっぱりパンは無いだろとなってブレットになりました。彼は出来損ないですが、なんといっても、心が男前ですから。


 ベクトル
 エクトルじゃないですよ。ベ、です。
 これは没ネタなんですが、誰の没名かというと、アランです。最初、ベクトルでした。で、一瞬だけ実はこれで当時更新してます。30分くらいで響きが微妙なのがどうにも気に食わなくてやめました。
 アランは理系なので、前述した外国人名前一覧見てたときにそれらしい名前でなんとなくいいんじゃないの、という気にも一瞬なったんですが、アランにして良かったなと思います。そしてベクトルは、bが消え生まれ変わって別キャラになったのでした。


 ラナ と アラン
 続キリ編で、ラナは本当の名前を隠して偽名としてアランを名乗ります。
 そうしたのには一応理由があるし、もしかしたらこうかもしれない、というのをほんのり匂わせたりしながら(ほんのりすぎる程度ですが)、いつかは答え合わせのようにはしようと思ってます。納得されることかは、わからないけど。最初に書いたように、名前は、この物語で少し大切なので、名前を変えるというのは、それなりの出来事です。
 このことは、やっぱり、驚かれたことが多いんですが、音の観点では、そんなに遠いものではないのです。
「Lana」の最後の「a」を前に持ってくると「Alan」になるのです。
 ベクトルじゃなくてアランにした一番の意味ですよね、ほんと。


 チィ
 おまけ。
 これは前に没ネタ集で書いた、生まれるかもしれなかったイーブイの名前です。暗黙の了解のごとくポケモンに名前をつけずにいますが。
 名前をつけるまではおちび、とザナトアが呼んでいて、ザナトアがせっかくなので名を付けたらどうだ、とアランに言って、それで生まれた名前です。単純というか適当にもほどがある名前ですが。



 他にも名前関連では掘れば掘るほどネタがある気がしますが、今回はここらにて。また気が向いたら、続きをします。ではでは。

たいへん喜びます!本を読んで文にします。