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黒の団より ラルフォ


 ラルフォに関してはいくつか情報を散りばめています。一科学者として若くして名を馳せていましたが、とある告発により「倫理的問題」を指摘され、表舞台から姿を消した後、李国に入り黒の団で更に実験を重ね、出来損ないたちを含めた多くの犠牲のうえにザングースたちのような存在、そしてニノや白たちが成功体として生み出します。内戦の戦力増強としての側面はもちろんありますが、なぜこういった実験を行ったか、などについて、本編で語るかもしれないし裏に葬ったままにしておくかもしれないし微妙なところで、いずれにせよまだ先の話です。

 これ、Twitterでも言ったことがあるかわからないんですが、本当に一番最初のプロットの話をせっかくなのでしようかと思います。例によってとっくの昔に没になったネタなので。

 懐かしきバハロ郊外にて、クロと、当時黒の団の団員だったブレットが対峙し、クロは発作に見舞われます。そこにバジルも合流しピンチだったところを、情に厚いブレットがクロを見逃し、ラナとポニータと共にクロが離脱するという展開がありました。
 その後実際の本編では、ご存じの通りトレアスに向かいオーバン家にお世話になることとなります。

 何故ラルフォのターンでこの話を出すかというと、一番最初のプロットでは、このトレアスの場面で、トレアスではなく、ラルフォの別荘に行くという展開の予定だったからです。今からすると考えられないんですが。なお、「笹波白」というクロの本当の名前もこの時にラルフォの口からラナへ明かす予定でした。とんでもなく違う展開ですね!
 クロの発作抑制に関して知る者は少なく、黒の団でクロ(白)の観察・実験を行っていたラルフォは勿論その方法、抑制剤について知っているし製造を指示しています。ゆえにクロは黒の団を脱出した身でありながらその後もズルズルとラルフォに依存しているという予定でした。ラルフォはクロの自由を認め野放しにするフリをして、彼の成長経過を観察し必要な時には団に連れ戻すつもりでクロを騙しているという設定で、まあ、あまりに無茶苦茶でして。でも、当時はこれを割と本気でやろうとしていて、漫画にまで展開を起こしています。

 それをやめたのは、これも笑える話だと受け取ってもらって構わないのですが、ウォルタ終盤を書き終えていざバハロへ、という道中のあたりで、クロから「それはいくらなんでもありえない」「そんなことは絶対にできない」というようなメッセージを、書いている時に受け取ったような感覚があったんですね。それで、冷静になって、確かにありえないな、と思って、やめて、トレアスという町が生まれ、アランやガストン、エリアというキャラクターが生まれました。彼の発作抑制剤を創ることになるガストンのところへかつてクロは転がり込んで、今まで付き合いを続けているという今の形が出来上がったのでした。

 初期の没ネタで一番覚えていることです。
 小説を書いていると、たまーにそう言った、登場人物に展開を導かれるような感覚があって、それは確かに自分から生まれたもののはずなのに、自分ではないところから生まれたかのような、不思議な瞬間です。


 そんなこんなでラルフォとの直接的な接点は初期に比べると薄くなりましたが、彼は言うまでもなく多大なる影響をこの世界に与えています。そのことについていつかはもっと掘り下げていくだろうし、楽しみにしていただければ、と思うのです。


 そんなわけで名前が出ている黒の団現団員をひととおり描き終えました~主人公サイドを中心に書いているとなかなか彼等の方へスポットライトを当てられませんが、黒の団への愛着が湧くようなきっかけになれば幸いです。楽しかった!

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 以下は上記イラストが生々しいのでお口直しのおまけです。お口直しというには絵といい字といいあまりに雑ですが、もしも何かの表紙の撮影だったら、というつもりで見てください。

 お粗末様でした!

たいへん喜びます!本を読んで文にします。