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JT杯で揮毫盤が当たった話

彼の白く細い腕が抽選箱をかき混ぜているその時ですら、傍らに掲げられた将棋盤が私のものになるだなんて、1ミクロンも思ってはいなかった。 なんならその時私は、可愛いしか言ってなかった。 その人の一挙手一投足に「可愛い!」と感嘆符つきでため息をもらし、ステージ上のその人を見つめていた。 そして隣からは、私の可愛いを上回る回数で「あれ欲しいなぁ」という声が聞こえていた。 そうそう当たるもんじゃない。なにしろ、参加者の約半分は敵なのである。 (勝利棋士を当てることが前提条件であるため、

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