week5講義のまとめ「インタビューとは」
こんばんは ウミガメおばさんです。
今日は10月19日の大学院の講義の内容をまとめておきたいと思います。
この日の内容は「インタビュー」についてでした。インタビューは「個別インタビュー」と「フォーカス・グループインタビュー」に大別されます。
インタビューの定義は「観察だけではとらえにくい現象についてのデータを会話を通じて得る方法」です。質的研究にとって大切な手法です。
インタビューのタイプは「構造化」「半構造化」「非構造化」の3つ。
どうしても「半構造化」が好まれがちですが、ナラティブのときは「非構造化」がよいとのこと。ただし時間に余裕がないと、できないやり方です。
インタビューは質問の言い回しにも注意が必要です。
インタビューの受け手が、話しやすいことが大前提だからだと思います。
講義では
①オープンエンドの質問(6W2H)
➁クローズエンドの質問(はい/いいえ型)
③前提付き質問は不適切(質問者の枠組みを押し付けていないか)
④多重質問を避ける(1回の質問では1つのことを聞くようにする)
⑤当事者の使用している言葉で(英語圏では8~10歳にわかる英語でというのがよく言われていること)
⑥「なぜ」「どうして」は使い方を間違えると相手を責めているような誤解を受ける(ききたいのは動機?原因?判断の根拠?・・・目的を明確にして質問する)
の6点が説明されました。
ここで良くない例を挙げますと・・・
・質問:授業内容とレポートについて、どのように感じていますか
多重質問となる。1回の質問で1つのことを聞くようにする
・質問:仕事を辞めてから、どのようなこころの問題を抱えるようになりましたか
「仕事を辞めてから」の箇所が前提付き質問となっている
などの説明がありました。確かにこの多重質問や、前提付き質問は無意識のうちにやっていそうです。
さらに、よいインタビューにするためには、質問の深め方(Probing)に気を配り、あらかじめ、展開(流れ)をよくよく頭に入れておくことが大切です。気がつけば、質問者の方がたくさんしゃべっていたということがないように練習しておきましょうとのこと。
インタビューは大切なデータとして記録(映像・音声・メモ・記憶)し、話してもらった内容以外の情報(日時や場所・対象・インタビュアーの行動・インタビュー中の活動や出来事)も記録しておくことが必要です。そして、音声を文字におこしたものを「逐語録」と言い、この形にして保管しておくことが分析するときにとても役に立ちます。
インタビューというと、どうしても「個別インタビュー」が多くなりがちなのだそうですが、グループでのインタビュ―が適している場合もあります。
「フォーカス・グループインタビュー」と呼びます。
6人から8人くらいのグループが一般的。少なくとも3人以上から始めた方がよいそうです。2人だと質問者に交互に回答する形になりやすく、2人間で「そうですよね」と合意が形成されてしまいがちで、それは避けたいからです。グループで行うメリットは、参加者同士の相互作用によって様様な意見が発展的に得られること。話し合って合意を形成することではないんですね。なるほど。
では、どんな場合が適しているかというと
・人々の考えや感情などの幅を知りたいとき
・人々の考えや見方の違いを知りたいとき
・人々の意見・行動・意識などに影響している要因を知りたいとき
・人々からアイディアを生み出したいとき
・大衆を対象とした商品、計画、方針、アイディアなどを予備的、試験的に試したいとき(地域限定で発売してみるお菓子など)
・大規模な量的調査を計画するための下準備として情報がほしいとき
・量的調査の結果に関してもうすこし理解を深めたいとき
(余談ですが大昔の修士課程の研究では、大量のアンケートを分析して、何か物足りなく、自由記述のKJ法をしたものの、なにかしら納得いかず、座談会をやったことを思い出しました。フォーカス・グループインタビュー、という言葉は知りませんでしたが・・・)
・人々のことばによる情報が必要なとき
というケースが紹介されていました。
フォーカスグループインタビューでは、個別インタビュー以上に展開を細かく想定しておく必要があります。
スタートは簡単に、質問は一般的なものから特化したものへ、適切な時間配分が肝要です。先生の「全身全霊で臨む」という言葉が印象的でした。
個別インタビューと、ここがかなり違うな、と感じたのはインタビュアー(質問者)にモデレーター(調整役)の役割が求められることです。場を調整して、トピックを発展的に展開させていくためにはフォーカスされたトピックや参加者に関心を持っているだけではだめで、①トピックに関する一定の知識と理解が必要なこと➁口頭だけではなく、筆記でのコミュニケーションがとれる(小さなホワイトボードなどで、論点を視覚的に示し、場の共通理解をはかる)力③自分が発言したくなってもがまんできる④参加者全員に対して公平でフレンドリーな態度⑤ユーモアのセンス が必要とのこと。言われてみれば確かにその通り。多くの人が個別インタビューにしよう、と思うのはここらへんがハードルの高さとなっているように感じました。でもきっと、きちんと準備できれば、とても実りのあるインタビューになるのだろうなあとも思いました。
記録の仕方についても、なるほど、と思ったのは、録音の許可がいただけた場合、各自話していただくときに、ご自分の名前を言ってもらうことをお願いしておくこと。後からどの人が話してくれたことなのか区別がつかなくなることを防ぐためと。
ここでにクイズを一つ
〇〇〇〇はフォーカスグループを救う
○○○○に入る言葉は「たべもの」です。
お菓子・スナック・ドリンクがあることは「場が和む」のだと。
ただし、音の出る者や好みの分かれれるもの、話しにくくなるもの(夏場のアイスとか?)は避けたほうがいいとのことでした。
個別インタビューでもフォーカスグループインタビューでも、インタビューを受けてくださる方への敬意と感謝を忘れずに、受けてくださった方が、質問者と話せてよかったと思ってもらえるようなインタビューをこころがけたいと身がひきしまる思いがしました。
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