嶋佐は奥深い

ニューヨークの嶋佐をみなさんご存知だろうか。ニューヨークといえば、M-1、キングオブコント両方とも2回ずつ決勝へ行っている実力派コンビ、テレビ結構出てる有名人、レギュラー多数のノリに乗っている芸人であるが(ニューヨーク好きだからちょっと良いこと書きすぎてるかも笑)、ニューヨークの面白さについて深く考えたことがあるだろうか。テレビやM-1でよく言われるのは「毒と皮肉のネタ」「どこかでうっすら世界を小馬鹿にしている」などのどちらかというと屋敷のツッコミに関する評価がなされてる気がする。確かにニューヨークの持ち味は屋敷の鋭い毒のあるツッコミではある。屋敷はツッコミのタイミングがやはり上手いと思う。バラエティとかで屋敷のツッコミや最近では場をちょうどよく回していく能力が一役買っていると思う。(特にラヴィットとYouTubeの30分トークではそれが如実に表れていた)屋敷は本当にお笑いの優等生。

これだけ優秀だと屋敷のピンでお笑いが成り立つようにも思われる。でも、屋敷だけだと多分ニューヨークの絶妙な塩加減のネタはできなかったと思う。屋敷の毒のあるツッコミだけでも十分面白いが、さらに面白さを増幅させてるのが相方、嶋佐だと思う。

嶋佐は正直、昔からトークがあまり得意ではなさそうだ。今でこそ大分マシになったが、バラエティでの立ち回りはかなり空回りしていた。昔テレビに出てなかった時はカリスマ性のあるボケ芸人のイメージが定着していたようだが、テレビの露出が増えてからは嶋佐のポンコツな所が物凄い速さで露呈していった。

嶋佐の面白さが分かるのって正直めちゃくちゃ時間がかかると思う。ニューヨークのファンでさえも、最初は屋敷から入って嶋佐の良さに時間経って気づくって言っているから。ニューヨーク好きな人でも最初嶋佐の面白さにあまり気づいてなかったのに、ニューヨークそんなに好きじゃない人がトークがあまり上手ではない、バラエティは空回り、結構すべる嶋佐を早々に「面白くない奴」と見切るのはまあ無理もない。

でも嶋佐ってやっぱりなにか面白いんだよな
嶋佐の面白さに一番早く気づいたのは、漫才を見た時だな。嶋佐って兎に角、演技が上手い。漫才でもコントでも何かが憑依してる。そしてモノマネも上手い。絶妙に上手い。上手いからネタにリアルさが足されて風刺アニメを見てるかのような面白さよ。
そして、顔が面白い。変な顔とかっこいい顔を反復横跳びしている顔。このボーッとしているちょっと眠たそう顔をしているから、何も喋らずにそこにいるだけでもうっすら面白い。黒髪だろうが金髪だろうがそれはあまり変わらない気がする。
　嶋佐がいると、なぜか雰囲気がなんとなくおかしい。彼はかなり気分屋で機嫌がコロコロ変わりやすいのだが、嶋佐が笑ってたり楽しそうにしていると周りもみんな楽しそう。
　あと嶋佐は人にとにかく好かれやすい。本当はポンコツなのを知っている芸人は嶋佐を放って置けないようだ。ダイタク、囲碁将棋、とろサーモンなどの数多の先輩芸人に好かれるのはその所以だろう。最近だと嶋佐がラヴィット(TBS)でoasisのdon't look back in angerをバンド付きで歌い上げる嶋佐とかインディアンスのきむに対してチビメガネとしか罵倒しない嶋佐とかを見た。とにかくあの番組は嶋佐のことを好きすぎて嶋佐のやりたいことを叶えてくれている。感謝しかないです。段々と嶋佐の可愛げ(？)や愛嬌が伝わっているのが嬉しい

共通して言えるのは嶋佐の顔、演技力、雰囲気は生まれ持っているものであるとは思う。全部努力で得られるものではない気がする。

この言語化が極めて難しい嶋佐の面白さを解明するヒントないかなーと考えていたある日、落語に詳しい人から「嶋佐って『フラ』を持っている人だよね」と言われてピンと来たので、「フラ」という言葉を使って説明したいと思う。

フラ
とは「ふっと笑いたくなるようなおかしみ、勉強して出来るもんじゃない」と古今亭志ん朝師匠は仰っています。他にも定義を調べた所、理屈では計算できない自然と纏っているおかしさ、生まれ持った愛嬌、なんともいえないユーモラスな空気。フラを持っているからって落語において噺が上手いというわけではないのだが、芸人としての資質を認める最大級の褒め言葉、と。

めちゃくちゃ腑に落ちる表現だな。うん、嶋佐はフラを沢山もっている。嶋佐にぴったりの表現あった。落語ってやっぱすごい。流石笑いの原点の落語。と、落語の話は置いておいて、嶋佐の面白さってフラに似ているものなんだな。天賦の才能ってことか。そう考えると嶋佐が羨ましくなってきたな(笑)  あ、でもフラも要は「言語化できない」面白さだから結果的に全然言語化できてない。嶋佐ってこんなに奥が深いのか。

とりあえず嶋佐の面白さは、ネタを見たらわかると思います。ニューヨークが気になってる人、ニューヨークにあまりいい印象を持ってない人、ニューヨークアンチの人、是非ネタを見にきてください。人の価値観は人それぞれなので、ネタを見ても面白さが分からなかったらそれまでですが、面白さが分かったら嶋佐の見方も変わるはず。ライブに是非きてください。