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あの頃の自分へ

思っていることを言葉にすることは大切だ、と大学3年生の時に実感した。その時にはブログを書いており、自分のセクシャリティと向き合う大きなきっかけとなった。話す相手がいないのならば、自分と対話しながら書けばいい、ブログとは中々いいツールだと思う。

自分がゲイだと薄々気づき始めたのは、確か中学1年生の時とかだった気がする。野球部の男の子を好きになった。クラスが違ったので、少しでも近づくために、仲良くなるために、共通の知り合いを伝ってなんとか友達になった気がする。あの時は緊張しすぎて何を話したかはもう覚えていない。

彼とは中学2年生の時に同じクラスになった。とてもとても幸せな瞬間だった。結局は、その子とはもう今は何もないが、初めての恋だったんだと思う。同時に、付き合っている彼女もいた。ゲイでありながらも、自覚しきれていなかったんだと思う。中学3年の夏休み前まで付き合った。

この時から、段々と将来のことを考え始めた。自分は男性が好きだから結婚はできないし、子供もできないし、好きになった相手と一緒になれるわけがないと思っていた。そう考え始めると、生きていくことに対して、絶望し、将来を悲観し、死にたいと思った。死んだ方が楽だと思った。

そんな気持ちを抱えて、大学生になり、好きな人ができて、でも言えなくて、友達にカミングアウトした。初めてのカミングアウトは、口にするのに30分くらいかかったと思う。大学の最寄りの駅を電話しながらずっと歩いていたのを覚えている。

その友達は「なんかそうっぽいなって思ってたんだよね」とか言って気がする。嬉しかった。否定されることなく、「それでもいいんだ」という実感を得られたことを今でも覚えている。俺は、俺でいいんだ。変わる必要はない。変える必要もない。ありのままで、それでいいんだ、と。そう思えた時から、自分の抱え込んでいた、胸苦しい、重い、灰色のような感情が、なくなった気がした。

あの時の自分へ。誰にも言えず、隠さないといけず、周りと合わせないといけず、好きな子のタイプを適当に繕って、大変だよな。今はまだ向き合うことは難しいかもしれない。それでもいいんだと、伝えたい。君は、君のままでいいんだ。変わる必要はないし、そもそも変わることなんてできない。変えられないものを受け入れる強さを、少しずつ、ちょっとずつでいいから、手に入れてください。

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