雨に打たれて

雨の音が心地いい。プレハブのようなものに雨が落ちて、独特の音が聞こえる。今日は蒸し暑くなく、快適な夜で、梅雨でジメジメして嫌気がさすこともあるけど、こんな夜も素敵だと思う。

父が新しい職を始めるらしい。もう始めているかもしれない。コロナの影響で自営業だった仕事はほとんど減ってしまい、これでは収入がないということで、トラックの運転手になるために免許を取りにいった。

自分は、50歳を超えても新しいことを始めようとする父にちょっと感心した。もちろん家族を養うために仕方なくとった選択肢なのかもしれないけど、どうせその選択をするのであればぜひ楽しんでほしい。父はコロナが始まって仕事はない日は毎日韓流ドラマをゴロゴロしながら見ていて、とても退屈そうだった。そんな父が新しいことを始めたのだから、きっと何か新しい発見をして、心のどこかでワクワクしているんじゃないかと思う。息子からしたら、ワクワクしている親の方が素敵だと思う。

きっと、何かを始めるのに遅いなんてことはないのかもしれない。他人と比較してしまったり、何かしらの条件がある場合は遅いという形容はできるが、それでも本人がそれを望んでいるのならどれだけ遅くても素敵なことなんだと思う。大人が夢を持っていたら、かっこいいじゃないか。そう思う。他人を小馬鹿にするよりも、自分のどうしても大切にしたい心の奥にしまってある何かを貴重に持っている大人の方がかっこいい。僕もそんな大人になりたいと思う。

僕は歌うことが好きだ。歌手を夢見ていたこともある。だけど、大して練習なんてしてなかったし、歌手になるために必要なプロセスを取ったこともなかった。それでも歌うことに幸せを感じる。もしかしたら、別に何か大きいものになんてならなくてもいいのかもしれない。自分がそこで最大限生きていられるのなら、何者かにならなくても、自分は自分で、他人は他人で、ブレることなく歩いていけるんじゃないだろうか。僕は、そんな大人になりたい。

大人になるのも、案外悪くないとも思うんだ。

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