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トラペジウムは新時代の扉をルックバック

毎月始めは映画デー。今月は張り切って二つの映画館を跨ぎながら映画を3つ梯子した。

観た映画は以下のとおり。観た順。
・トラペジウム
・ウマ娘プリティーダービー新時代の扉
・ルックバック

どれも良かった。ほんとに良かった。これは「コーンシャーク」でも観てお口直ししなければならないなと思った。ちなみに「コーンシャーク」はつまらないです。

実写映画版ピーターラビットが嫌いです。マグレガー爺さんは死ぬしヒロインの頭はとてもおめでたい出来をしていて、これを面白がる人間とは決して相容れないと思った。なのでそれを前提に、私個人の感想をちゃちゃっと記しておく。

ネタバレたくさん!!!!!

トラペジウム

アイドルになりたい女の子の話。主人公の東ゆうが嫌いな人、けっこう多いんじゃないかな。なんでも自分の都合で他人を振り回すし、他人の幸せのあり方を自分基準で考えてるし。でも、その行動力が他3人を変えたのは事実だし、彼女らの友情は本物だ。

主人公がアイドルに狂気的なまでに執着していることが明らかになるシーン。あれが明確な分かれ目で、あれこそ彼女を彼女たらしめる狂気であり信念でもある。姉とか両親は普通なようなので、全ての原因は幼い頃に彼女の脳を破壊したアイドルです。

どうすれば注目されるか。どうすれば世間に売り込めるか。彼女の行動原理はそこにある。でも、更に深いところにあるのは、幼い頃に観た"ファンを笑顔にさせて幸せそうにしているアイドルの姿への信仰心のような憧れ"なのだろう。

ところで眼鏡くんさ。かっこいいね。舞台装置だけど。アイドル目指してる女の子と写真の道を研鑽している男の子なんて、それだけ聞けば恋愛を想像してしまうのも無理はない。というか、作中で彼との出会いを週刊誌にすっぱ抜かれる展開があると睨んでたのに、彼はオチ要因でした。

利用されたと知りつつも恨まず感謝してくれる友達。凄い。誰かゆうのこと殴ってもおかしくなかったのに。お蝶夫人好き❤️

ずっとゆう目線だからそれに違和感を抱く人はいるかも。上手く行きすぎじゃね、みたいな。

でも物語としては東西南北解散後にもう一度四人集まって歌を歌うシーンとラストの写真のシーンは王道にビシッと決まってるように思えた。

総評? 面白かったよ!

劇場版ウマ娘 新時代の扉

実は今日で観るの2回目なの。で、驚いた。ラストのジャパンカップが2回目の方が断然良かったことに。同時にようやく気付いた。私はこの映画を咀嚼及び消化しきれていなかったということに。

ゲームはもう長いことやってるので、競馬ミリ知らだけどキャラは全員知ってるし、その史実もちょろーっと知ってる。

推しという言葉は嫌いだけど、わかりやすいのであえて推しとして挙げるのはマチカネフクキタルが好き。映画には序盤に一瞬だけゲーム画面の切り抜きみたいのが写った。うおー! サイゲがとち狂って97世代のウマ娘一気に追加してくんないかな。「ステイゴールド」の名前が出たしね。

閑話休題。

少女ではなく「ウマ娘」という種族の話。それがこの映画の内容だ。走りに特化し、どこまでも走りに囚われた種族。彼女たちの目標は大なり小なり差はあれど、その殆どが"誰よりも早く走りたい"になる。だからこそ映画ではレース表現にこれでもかと力が入っている。

聞け地響きを! 轟く声援を! そして間近で直視するライバルとの差を。

彼女らはどこまでも走ろうとする。時として自分が壊れることすら厭わずに。人間はトレーナーとして彼女らの走りを支える。もしかしたらずっと昔は加減を知らないウマ娘たちの故障が多かったのかもしれない。

2回目でも、いな、ストーリーを知り余裕を持った2回目だったからこそ、初回の時よりもずっとよくレースで走るウマ娘たちの顔を観ることができた。そこにはプリティーさなんて欠片も無くて、ただ貪欲に誰よりも早くゴールへと駆けていく戦士たちがいる。レース一つ一つに命を賭けて挑む者たちが。とても強く感動する。

同じ映画を同じ映画館でもう一度。いや、何度でも。良い映画はどれだけ観ても良いのだから。

ルックバック

話題作かつ公開して日もあまり経ってないとあってか、上二つより人がいた上、値段もちょっと高め。コミックス付いてくるしそれは仕方ないかな。

実はこの映画を観る前に、あまりピンと来なかったという旨の感想をSNSで観た。だからやや斜に構えながら観始めだのだが、始めはなんか冗長だなと思っていたけれども後半から一気に畳み掛けてくる。原作の読み切りは明らかにあのアニメ企業を襲った出来事を踏まえているし、当時はそれで色々言われてた気がする。私も読み切りは読んだ。だから物語の流れは全て知っていた。のに、

感動した!

良かった。良かったんだ。オチがどうなるかなんて知っていたのにも関わらず、目に涙が浮かんだ。原作者だけじゃ無くて、この映画に関わる人みんなの思いが込められていた。

蹴りたいよな。多少馬鹿っぽくてもヒーローみたいに。

俺はさあ、二十歳超えてんのにいまだに純情ボーイでよ、階段の少し先を登ってるギター担いだおそらく女子高生の短なスカートが揺れるたびにドキドキしちゃうって具合でよ、要するにまだ心の中に中学生がいて、そんな俺が怖くて震えたんだよ。イカれた男の咆哮に。そこにバシーんと男を蹴っ飛ばすなんてもの見せられたら憧れちゃうでしょ。ヒーローにさ。

救いたかったんだ。

でも現実はそうじゃ無くて、彼女はもう過去の中にしかいなくて、主人公にとっての弔いは友達が好きでいてくれた自分の作品を描き続けることだった。

まとめ

全部観て良かったと思えた。実は殆ど完徹状態で眠かったけど、どの映画も始まるとその眠気が消えた。どっぷりのめり込めた証拠だ。

やっぱり映画は良いね。映画館の音響じゃないと、あのウマ娘たちのレースシーンの揺れていると錯覚するほどの地響き音は体感できないだろう。

同世代は就活やら研究室で忙しそうだし、後輩とは「先輩」というポジションでしか話すこともできない。藤野みたいに直向きに努力してきた事もなくて、先生と呼んでもらえるほど小説は上手く書けない。

だからか、とても怖いんだ。映画を観てると、自分が持ち得ない熱がそこにあって。その恐怖がほんの少しだけ私を変えてくれる気がしてる。新しくあろうと。

今回の記事ではマシュマロを置いてみた。これがなんなのかよくわかんないけど。