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【介護】感謝は薬より強し


昨日は母と美容院へ行った。昨年秋に母が倒れてから2回目の美容院だった。

母は滅多なことではリクエストはしない。文句も言わないし、干渉もしない。その母がそろそろ美容院に行かなきゃと何度もいう。

最初は二人でお風呂に入っている時だった。わたしはいつも大体くたびれていて、湯船に浸かるとあまりの気持ち良さに目を閉じる。

その向かい側に母がちょこんと座っる。

引越しの際に小柄な母用に、風呂の端を一箇所高くしてもらったのだけれど、これは正解だった。胸まで湯に浸かると母は苦しがる。

だから気持ちよさそうにそこに座っているのだけれど、長く寝ていて体の筋肉が減って以降、何かの拍子でその椅子からスルリと滑って溺れそうになる。

そこでわたしが、母の向かい側から両足を母の座る椅子のような高さのそこまで伸ばし、母がうっかり滑り落ちないようにお守り申し上げる笑。

その小さな母が湯船に浸かったまま目を閉じてしまうわたしに向かって美容院に行かなきゃという。

こんなリクエストはそうそうない。

ということで3回目のリクエストで重い腰をあげ、昨日いつもお願いしている美容師さんのところまでタクシーで出かけて行った。

夜、母がやけに眠そうだ。食事もそこそこに布団に入った。久しぶりの外出でくたびれたのだ。

そして今日は母のリハビリの日。

実に親切で腕のいい理学療法の先生が来てくださる。

わたしのためにあんな立派な先生がわざわざ来てくだるなんてもったいないと母はよく口にする。

しかも、お医者様も実に優しく明るい男性なのだ。

その方々が母のために自宅にまで来てくださる。母にとっては申し訳ないほどありがたいことなのだ。

だから母は、リハビリの日も診察の日も、いつもよりきちんと髪を整え薄く化粧をして、少ししっかり目の家着を身につける。

部屋の窓を開け放ち、換気はもちろんのこと、先生方がいらっしゃる前には部屋の温度も整えておく。先生方が歩かれる場所もきちんと拭いて歩く。

実はこれが母にとっての最強のリハビリになっていると思っている。

昭和一桁の母にとっては男性の先生方が来てくださることは本当に勿体ないことなのだ。

だから宿題の運動は必ずする。かなり大真面目に運動する。

二人で風呂に入ると、母の背中に筋肉がついてきたことに気付いて驚いた。

母を見ていると、感謝こそが最高のリハビリなんだと思う。


※最後までお読みくださりありがとうございました。


※スタエフでも話しています。

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