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どうして日本では、女性が男性と同じに働けないのか、を考える


今回から、シリーズで日本の企業だけにあるコース別雇用管理について考えてみたい。


情報開示

今、日本の上場企業は変化の渦の中にある。その中でも特に急いで変化を求められているのがプライム市場。

このプライムはご存知のように、日本の上場企業の中でも日本を代表する企業といっていい。そして、この枠に入るのは至難の業だ。

で、どんな変化が求められているのかといえば、プライム企業は、その隅々まで見える化してくださいねという要望がある。企業はそれに応えなければならない。

それを要求しているのは東京証券取引所等だけれど、その東京証券取引所にに指示を出しているのは金融庁だ。

なぜ、金融庁が企業の内部にまで踏み込むのかといえば、それは日本企業の価値が問われているから。もっといえば、日本国の価値が問われているからだ。

つまり、金融庁は従来の閉じた形では評価されにくいため、日本の上場企業を、世界中の投資家アナリストに注目してもらうために情報開示をするようにと指導しているのだ。



有価証券報告書

その中で、わたしが注目するのは人的資本に関する情報開示。

金融庁は、その人的資本を有価証券報告書に記載するよう求めている。

そして、その人的資本の中には、男女間の賃金格差が含まれる。

いくつかの企業をHP上でチェックしてみたけれど、まだ男女間の賃金格差に触れている企業はほとんどない。

日本は横並び社会だ。どの会社もきょろきょろと企業間で調整をしているのだろうか。

これは、2023年3月期から義務化になったとはいえ、残念ながら罰則がない。罰則無し、これが日本のルールについて回る不思議な点だ。



男女の賃金格差

そこで、ウイリス・タワーズワトソンの東証プライム上場企業等160社を対象にしたアンケート調査を見てみる。

このアンケート調査は2023年の1~2月に実施されている。
この調査では、男女の業種別賃金格差が数値化されている。
対象が160社と少ないため偏りはあるけれど、印象的なのが、160社を業種別に分類すると、全ての業種で男性が女性の賃金を上回ったという結果がでている。

日本経済新聞 朝刊 20230502 12版

業種によっては圧倒的に女性の多い企業がある。けれど、そんな企業であっても、上層部を占めるのは男性だけという企業ならいくらでも頭に思い浮かぶということ。あゝやっぱり。


女性は男性の半分強

前置きが長くなってしまったけれど、わたしが言いたかったのはここからだ笑。

このアンケートで男性の平均賃金を100%とした場合、女性の平均賃金は74%

けれど、業種別にチェックしてみると、なんと金融・不動産では、男性100%に対して女性は62%なのだ。

そして、建設・資材、商社・卸売がその次に男女格差が開いている業種だ。

これが今の日本を象徴している数字だと思う。

金融・不動産では女性は男性の半分と少ししか稼げていないということだ。


コース別雇用管理ができたわけ

またまた回りくどくなってしまったけれど、先の業種別男女別賃金格差でワーストとブービーに入っていたのが金融と商社

実はこの金融と商社が日本で一早くコース別雇用管理制度を導入しているのだ。結果、今でもこうした業種では社内で男女格差が開いている。

当然といえば当然だ。

なぜ、日本の企業にはコース別雇用管理というらしい制度があるのか。若い人たちには想像もつかない話だ。もうずっとずっと昔からあるから仕方ないと誰もが受け入れてきた制度だ。

けれど、これは超頭のいい企業人が考え出した制度なのだ。

女の子は結婚して直ぐに辞めるからね~、子ども産んで辞めるしね~、子ども産んで居座られても困るしね~、という男性の考えで作り出された制度だ。もちろん男女雇用機会均等法が出来る前にちゃっかり制度化されている。

本当に頭のいい人というものはいるものだ。


おわりに

この国では女性の貧困が問題になっている。誰もが、何とかしなきゃと考えている。けれど、わたしはその始まりはこのコース別雇用管理制度にあるとにらんでいる。

今ではわが社はコース別雇用管理制度を撤廃しました、なんて涼しい顔で発表する会社だってある。そんなの表面的な変化だ。

これから入社組には確かになくなるかもしれない。けれど、これまで社内で女性たちが同じ仕事をしていても男性より低い賃金で働かされてきていて、女性間でも同じ仕事内容で受け取る賃金が違ったりする。その内側まで変えない限り、それは見せかけの撤廃だと思っていい。

というわけで、次回は、もう少し踏み込んでコース別雇用管理制度について考えてみたい。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。

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