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私の好きな絵画

絵画にハマりました。

ノンフィクション本(の例えば古典的名作)が歴史の一角を文章にしたものなら、
絵画は、歴史の一瞬を止めて凍らせたものです。
そこには画家の思想や感情が多分に入っており(凝縮されており)、
写真よりはむしろ文学に近いのではないか…と思うのです。

以前からずっとハマりたいと思っていた世界ではあったんですが、
今回、直接のきっかけになったのは、

末永幸歩/13歳からのアート思考

を読んだ事でした。

これを読んだあと、
とりあえず近くの書店へ行って画集や関連本を立ち読みしてたんですが、
気がつくと2時間以上経ってたという。

あと、ちょうど最近、
小学館の図鑑NEOアート『図解はじめての絵画』
が出たのも大きかったです。

で、欲望の赴くままに絵画に関する本を図書館で借りたり買ったりして、
現在進行形で読んでます。

考えて見たら今までの人生の中で絵画に全く触れないという事も無いわけで、
さすがに有名過ぎる絵は知ってたんですが、
それでも今回じっくりと様々な作品を知る事ができていってます。

その延長上で、画家の生き様や歴史的文化的宗教的背景なんかも調べていったりして。

もう、沼ですね笑

さて、そんな、様々な絵を見まくってきている過程で、
お気に入りの絵がいくつか出てきましたので、
以下に紹介しようと思います。

ちなみに以前、別のブログでお気に入りのCDを紹介する記事を書いたことがあるんですが、
その時と同じく、
「1画家1作品縛り」で書いてみたいと思います。
めちゃくちゃ難しいんですけどね。
制限を無くすとどこまでも書いてしまいそうなんで…。

さて、まずは一般的な絵画から行こうかと思います。

マグリット / ピレネーの城

今回の事がきっかけで思い出したんですが、
実は私、中学時代美術部に所属してたんですよね。
で、中学3年の時、顧問の先生から、
油彩による名画の模写をもちかけられたんです。
その時おすすめされたのが、
ダリの「記憶の固執」(あの有名な、時計がグニャっとしている絵)と、このマグリットの「ピレネーの城」の二つでした。
今思うとその先生いい趣味してますねえ笑
若くてちょっと美人な女性の先生だったような気もします(もう忘れましたが)

で、当時は「記憶の固執」の方はあまりピンとこなかったんですが、この「ピレネーの城」のダイナミックさがすごく気に入ってしまって。
まあまあ大きいキャンバスに油彩で模写した記憶があります。
描いてて思ったんですが、
とにかく岩のディティールが精密すぎて。
途中で「こりゃ描けんわ」と思ったことを覚えています笑
まあそれでもなんとか雰囲気は似せられてたかもしれません。
しばらく美術室に置いてあったみたいですが、もうとっくに処分されてしまったでしょうねえ。
卒業する時もらっとけば良かったな。

マグリットはその後も気に入ってしまって、仕事をし始めてからも画集なども結構読んでたのですが、当時は「光の帝国II」とか気に入ってました。今から思うと、タイトルといい、やや中二病的な作品な気はしますね。もちろん名作中の名作ですが。

その時東京に住んでいたんですが、どっかでマグリット展をやってたんですよ。で、見に行きました。当時のガールフレンドと二人で(恋人……ではなかったと思う)。

いやー、ビックリしましたねえ。
何がビックリしたって、
マグリットって、こんなに寒く冷たく感じる絵を描くのか、って。

本物に触れて感じたのですが、
とにかく、空気が寒くて重たかった。

それだけは覚えています。

一緒に来てたガールフレンドも、感受性が強かったんでしょうか。
展示の途中で「気分が悪い」と言って椅子にへたり込んでました。

その展示会に「ピレネーの城」は無かったんですが、それと似ていた、森の中に巨岩(岩の上に城は建っていない)が浮いてる絵があったんですよ(タイトルが分からない……)。
めっちゃでかい作品でした。
その絵の前からしばらく一歩も動けなかったんですね。引き込まれて。

それまでに絵葉書とかで「ピレネーの城」を見た時に感じていた高揚感や興奮とは違って、
ただただ不安、心が重くなる、
という感じでした。

この感覚を知ってから、
それまで夢中だったマグリットからは一歩引いた感じですね。

ちなみに補足ですが、
藤子不二雄Ⓐ先生の作品で、「マグリットの石」というのがあります。
こんなマニアックなのをモチーフにするとは、
さすが藤子先生と思いましたね。

ダリ / 聖アントニウスの誘惑

前述の通り、中学3年の時、模写の対象として顧問の先生からのお勧めされた「記憶の固執」ですが、しばらく思い出すこともなくて離れてました。

それが復活したのはいつだったかなあ。

これも既に大分前ですが、
確か書店でなんかのきっかけで美術のコーナーでパラパラとダリの画集を見たんですよ。

最初に「眠り」という絵に引き込まれて、
次にこの「聖アントニウスの誘惑」に引き込まれました。

この2作品を見た時の衝撃といったら。

「眠り」についても語りだすときりがないので、
とりあえずこの「聖アントニウスの誘惑」ですが、
これは圧倒的迫力で迫ってきますよね。

悪夢というか。

特に先頭にいる馬に今にも襲われそうで。
恐怖以外の何者でもない。
アントニウスの叫びが聞こえてきそうです。

そうかと言って恐怖だけかというとそうではなく、
後ろに続くゾウの上に乗ってる建造物たちはもうとにかく大伽藍で、
後光が指しているというか、空が金色に光っていて、
もう天上の世界です。

なんというか、悪魔じゃなくて、
ある一種の神の行列?パレード?が襲い掛かってくるというか。
その画にはとにかく引き込まれます。

実は地上にも、何をやってるか分からない人とか、
遠くの方にちょっと見える丘があるのも私の中ではポイントが高い。

つまり、遠くに山が見える事によって、
「ここは、平面しかない単なるバーチャルな世界なんじゃなくって、ちゃんとした山がある(という事はきっと海もある)、しっかりと存在している世界なんだ」
と思わされるんですよ。
例えば「あの山の向こうには何があるんだろう?」とか想像を掻き立てられる訳です。
「この絵はアントニウスと馬とゾウだけの世界じゃないんだ」と。
これが単なる地平線だと、この世界はその要素しかないので浅かったと思うんですよね。
遠くに小さく山や人物を描いた事により、世界観にグッと奥行きが出ています。

「眠り」でも同じように、遠くに丘とか建造物みたいなのが見えるのがいいですよね。

余談ですが、東京で働いてた時、まだこの絵を知る前ですが、同僚から「ダリは嫌いだ。あの足の細いゾウの絵なんて大嫌いだ」と言われてたのがずっと気になってました。改めて「この絵のことか」と思いましたね。

ちなみに余談ですが、以前、実家の父親の本棚に、中公バックスの「世界の名著」(あの白い本)があったんです。それの何巻だったかなあ。挿し絵にダリの「茹でた隠元豆のある柔らかい構造」があったんですよ。
確か小学生か中学生の頃で、当時はダリの名前ももちろん知らなかったのですが、なんだか強烈に印象に残ったのを覚えてます。


ミケランジェロ / 最後の審判

これもいつだったか覚えてないのですが。
ずいぶん前の、実家に帰省中、お盆だったか正月だったか、
何気なく寝ながらリビングのテレビを見てたんですよ。
他に誰もいなくて一人で。
で、なぜかNHKのミケランジェロ特集だったんですね。
なんとなくボーっと見てました。

すると最後の審判の解説になって、
この時点では、「おー、すごいなー」くらいだったんですが、
何がきっかけになるのか分からないもので、
そのテレビの中で、
「中央右下の、はがされた皮、これがミケランジェロの自画像である」
というのを聞いて、
ものすごい衝撃を受けると同時に、
ミケランジェロの事が大好きになりました。

ほら、漫画家なんかは自分のマンガの中でよく作者を出すじゃないですか。
私の敬愛する手塚治虫先生なんかもしょっちゅう作品の中に自分が出てくるんですが、
こんな、500年前の人にも、そんな茶目っ気があったんだなー、と思うと同時に、
よりによってこの剥がれた皮かよ!!!
みたいな、そこにこの人の凄さを感じたというか。
結局そこから、ミケランジェロという人の事は大好きになりました。

ちなみにそのテレビを見る前に、
浅田次郎の小説で、「サン・ピエトロのピエタ」については知ってました。
あれも当時、実際にネットで写真を見た時はひっくり返りそうな衝撃を受けましたねえ。
そこからこの人の事はずっと気になっていたのかもしれません。

ちなみにロマン・ロランの「ミケランジェロの生涯」という本はだいぶ前に買って未だに積んでいます。早く読まんとな……。


モネ / 散歩・日傘をさす女性

さて、モネですよ、モネ。

今回、改めて絵画にハマって、
書店で2時間画集を立ち読みした時、
一番ハマったのが、印象派、その中でも特にモネでした。

もちろん有名過ぎるので名前くらいは知ってたし、
作品も何度か本で見た気がするのですが、
昔は全然印象にも残ってませんでした。

食べ物や音楽、映画、本と一緒で、
年齢を経ると好みが変わってくるんでしょうかねえ。

とにかく一発でやられました。
最初はとにかく「草上の昼食」みたいな、
木々と木漏れ日がきれいで、それにやられました。

その後、モネの画集を見て、
「印象・日の出」「キャピュシーヌ大通り」「積み藁」などにハマっていったんですが、
中でも、この、「散歩・日傘をさす女性」を見た時の衝撃といったら。

モネという人の作品は、
なんといったらいいのか、
とにかくどこまでも暖かく、やわらかく、優しい。
でも拡大して目を凝らしてみると、紛れもなく油彩なんですよね。
油彩って言ったら、いわゆるゴッホのような、
「コテコテに塗りまくってる」というイメージが強すぎていたもので、
モネを見た時はビックリしました。

画集を見ていると、モネのイメージは「昼食」や「ヴェトゥイユの画家の庭」といった、陽だまりの中でのあたたかくやわらかい植物たちというものだったのですが、
この「散歩・日傘をさす女性」は、あたたかさ、やわらかさだけでなく、
「ごおっ」と音が聞こえてくるような風に揺れる白いドレス、
逆光の中こちらを見る妻カミーユの存在(と、息子ジャン)、
夕方(多分お昼と夕方の真ん中のようなイメージ)に向かうような雲の色(わずかな夕焼けの色とグレー)、
草木の精密さとそれに落ちる濃い影、
それらが混然一体となって、
絵の中からこちらに向かって語り掛けてくる。

いやぁ、こんな絵、他にないですよ。

この絵の凄いところは、
画像を縮小しても、(いや縮小したらさらに)良さが出てくるという不思議な所です。

今、一枚部屋に飾るとしたらこの絵を選びたい……というほど今好きな絵の一枚です。

余談ですが、「ひなげし」は、妻カミーユと息子ジャンが、「散歩・日傘をさす女性」のシーンの後に家に帰っている所……と自分で妄想してます。


レオナルド・ダ・ヴィンチ / モナ・リザ

モナ・リザも今改めて見ると凄い絵ですねえ……。

「見るたびに表情が変わる」と言われてるらしいですが、私も例にもれず。
特にあの微笑をたたえている口元は、じっと見ているとムニャムニャ動いてるように見えてきます。
凄い。
そして人物の輪郭(線)が描かれて無い。
解説によると、ダ・ヴィンチは油彩で何度も何度も塗りながら、徹底的に輪郭を消すようにしていったそうです。

このモデルや背景は謎みたいですね。
この女性は誰なのか?そしてこの岩山だらけの場所はどこなのか。
どういったシチュエーションなのか。
想像が膨らみます。


ピーテル・ブリューゲル(父) / 叛逆天使の墜落

これはすごいです。
ブリューゲルは「バベルの塔」で有名(昔3000ピースのジグソーパズルがあって、それがすごい印象に残ってた)んですが、
天使と悪魔(堕天使)の最終戦争(ハルマゲドン)を描いた本作は、
魚介類系に描かれている悪魔(堕天使)がわしゃわしゃと太陽(月?)から堕ちてくる、壮大な作品です。
本物の前に立って、ただただ圧倒されたい。


ジョルジュ・ド・ラ・トゥール / 鏡の前のマグダラのマリア (悔悛するマグダラのマリア)

カラヴァッジオと同じく、光と影(「大工の聖ヨセフ」なんてとても良い)を効果的に使っている。
「ダイヤのエースを持ついかさま師」で有名な画家で、女性の顔はちょっと怖いのですが、本作は顔があまり見えないため神秘的で、蝋燭の光に照らされる、ちょっと物思いにふけっているマグダラのマリアがとても良いです。


ジャック=ルイ・ダヴィッド / ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠

「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」が超有名なダヴィッドで、
ナポレオン万歳の人ですが、
本作は特に大作で迫力があります。
后妃の戴冠をナポレオン本人がしているというのもすごいですね。
あと、「ソクラテスの死」も興味深い。プラトンの「パイドン」を思い出しました。


エドヴァルド・ムンク / 太陽

ムンクと言えばもちろん「叫び」が超有名で、
というか私も今回色々と見るまでそれしか知らなかったのですが、
実は他にも面白い作品がたくさんあります。

「マドンナ」のような裸体もいいし、
「家路につく労働者」の絶望的な労働者達の表現もいい。

本作「太陽」は、見た瞬間衝撃でしばらく固まってました。


ジャン=フランソワ・ミレー / 晩鐘

「落穂拾い」や「種まく人」で有名、
牧歌的で抒情的な農村での労働絵(しかしよく勉強するとそこここに仕掛けがしており奥が深い)を描くミレーですが、
この「晩鐘」は特に良い。
美しい夕方をバックに大変な農村での労働が伝わってきます。


ジョルジョ・デ・キリコ / 通りの神秘と憂鬱

ダリと同じく、夢の中で見た風景のような作品で、
シュルレアリズムとしてくくられています。
なんだか分からないけどじっと見入ってしまう絵。

その昔「ICO」というゲームがあったんですが、
本作はあの雰囲気をちょっと思い出しますね。
他に「Piazza d'Italia」という作品も好きです。

あと、つい先日、宮崎駿の「君たちはどう生きるか」を観てきたんですが、後半、この画家の影響を受けているシーンがありました。


ポール・ゴーギャン / タヒチの女(浜辺にて)

ゴーギャンもゴッホと一時期ルームシェアしてたというくらいしか知らなくて、作品も最初見た時はそこまでピンときませんでしたが、
本作だけはなんとなく記憶に残っていました。
その後この人の人生を勉強すると、
後半でタヒチに行ってからの人生にものすごく味があって、
背景を知った事によって一気に好きになったんですよね。

去年(2022年)出版されたエマニュエル・トッドの「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」という本の表紙になってて知った有名な大作「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」(タイトルが長い)も良い。
エマニュエル・トッドの本もユヴァル・ノラ・ハラリと同じく早く読まんといかんなあと思ってる本です。成毛眞も絶賛してたし。
あとサマセット・モームの「月と六ペンス」もずっと気になってますが、ゴーギャンの話なので読まないとなあ。


エドゥアール・マネ / フォリー・ベルジェールのバー

マネ最後の大作。
この女性が娼婦というのが良いですね。
気だるい表情が味があります。
ちなみにこの絵のポスターがその昔私の実家にありました。
多分母が飾ったんだと思いますが、良い趣味してるな。

マネは「オランピア」や「草上の昼食」といった裸婦も描いており、
どちらも当時は酷評されたようですが私は大好き。
「オランピア」も娼婦というのが良いですな。


アルフォンス・ミュシャ / スラヴ歴史の神格化(スラヴ叙事詩)

ミュシャと言えばタロットカードのような女性の絵(というかイラスト)が有名ですが、
普通の絵も描きます。
というかこのスラヴ叙事詩の壮大さはマジですごい。
20連作という大作ですが、掉尾を飾る「スラヴ民族の賛歌」は特に圧倒的迫力ですね。


ラファエロ / キリストの変容

西洋人はダ・ヴィンチよりボッティチェリよりもラファエロの方が偉大とされているようですね。マーケティングが上手くいってたとか。

「アテネの学堂」とどっちにしようか迷ったんですが、
迫力と恐ろしさからこっちにしました。

「キリストの変容」は、大学生の時に読んだ瀬名秀明の「ブレイン・ヴァレー」というSF小説で知りました。小説の内容はあまり覚えてませんが、表紙をめくった瞬間に入って来たこの絵の事はものすごい印象に残ってます。

「アテネの学堂」は何で知ったんだったかな……。
中心にソクラテスがいるので、プラトン関連の本だったかもしれません。


グスタフ・クリムト / アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I

「接吻」(女性が崖の端に座ってるのが良い)が超有名なクリムトですが、
本作や「ユディトI」など、豪華絢爛な作品が多いです。
本物の金箔を使っているという事で、
これも実物を見てみたいですねえ。


ピーテル・パウル・ルーベンス / 聖母被昇天

「フランダースの犬」でネロとパトラッシュが見てた絵。
この人もまた壮大な絵をよく描きますが、本作はまた特に壮大です。
同名の絵画は何作か描かれていますが、
やはり本作が一番印象に残ってますかね。

ちなみにこの人の描くヴィーナスは太りすぎです笑


ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ / 聖マタイの召命

この絵を見た時最初はピンときませんでしたが、
改めて紙で見ると、
その光と影のコントラストがとても良い。
他の作品、「果物籠を持つ少年」や「トランプ詐欺師」も同じくコントラストが良いですね。
ちなみに「キリストの埋葬」も大好きで、
最初は一番右がマグダラのマリアなのかと思ってビックリしましたが、
中央がマグダラのマリアと知って一気に好きになりました。


ディエゴ・ベラスケス / ラス・メニーナス

絵画のモデルからの目線で描かれており、
あちこちに仕掛けがしてある作品。
仕掛けも面白いですが、
私はフェリペ4世夫妻がモデルになっているのを見に来たマルガリータ王女がツンとすましていて侍女が周りを取り囲んでいる、
なんか仕事場に来た娘という感じで、
微笑ましい印象を受けるのです。

ベラスケスは「鏡のヴィーナス」みたいな、
ちょっとテクニカルな裸婦作品もあります。
私個人の感想だと、裸婦自体は下記で紹介するような、他の作品ほどではありませんが……


ピエール=オーギュスト・ルノワール / ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会

「舟遊びをする人々の昼食」とどちらにしようか迷いました。
どちらも明るく楽しそうな場面がとても心をウキウキさせてくれます。
ルノワールもモネと同じく筆のタッチが良いですね。
印象派は良い。

他にも、「パリジェンヌ」「踊り子」「桟敷席」「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」なども良い。「ダンス」3連作も良いですね。

あと裸婦も結構描いてて、
「習作(陽光の中の裸婦)」とかは「肉が腐っている」とか酷評されたらしいんですが、「ブロンドの浴女」も含めて、とても良い裸婦画だと思います。
ちなみに後半の裸婦画はグロテスク方面に行き、迫力があります。
最後の作品「浴女たち」の身体はマジですごい。
「裸婦画もここまで行くのか」と思わされますね。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー / 解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号

これまた空とか雲とか霧とか描くのが上手い人ですが、
特に本作は夕焼け雲の描き方が超上手い。
これから解体される船も雰囲気があって良いです。


ワシリー・カンディンスキー / 横線

抽象画の第一人者。
「コンポジション」シリーズとか、何を描いてるのか、何がなんだかよく分かりません。
でもなんだか引き込まれるんですよね。
本作は、私は、黒い丸が目、その下の赤い三角が唇という、女性の顔に見えています。
なんとなくクセになる画家です。


ジョン・コンスタブル / 草原から見たソールズベリー大聖堂

ターナーと似ていて、雲や空が上手いんですが、それ以上に地上の風景が上手い。
特徴的なのは赤の使い方で、
全体的に淡い色使いの中で、ちょっとだけ描かれている濃い赤がものすごい主張してて絵全体を引き締めてるんですよね。これは上手い。


はい。という訳でお気に入りの絵画を紹介してきましたが、
続きまして以下は、裸婦絵画も含めた、萌え・エロ系の作品で、
これぞ絵画美術の本領発揮と言ってもいい、傑作が多いです。
なんだかんだ、画家も結構エロかったんじゃないかと思わされますね。

ちなみに私のこの垢(柏木海)はエロ垢な訳で、
今まで散々萌えエロマンガやラノベ、エロゲのレビューをしてきましたが、
だからこそこういった作品についても肩の力を抜いて好きなように書ける訳です。
リアル垢だととてもそうはいかない。

こちらも、ぜひとも画像を載せたいところだったのですが、
先日Twitterに載せたところ、シャドウバンを食らいまして。
それが直接の原因かどうか因果関係は証明できないのですが、
念の為にタイトルだけにしたいと思います。

どれも有名で、画家の名前とタイトルを検索したらすぐ出てくると思いますので、
もし気に入ったものがあればぜひ確認してみて下さい。

・アレクサンドル・カバネル / ヴィーナスの誕生

この美しさはもう完璧だろ……と思わされます(´д`)
「ヴィーナスの誕生」と言えばボッティチェリが有名ですが、
私はこちらの方が断然好き。
あと「オフィーリア」も良いです。
「オフィーリア」と言えばジョン・エヴァレット・ミレー(ミレイ)の作品が有名(というかミレイ版の方が原作に忠実だと思う(ちなみに「樹木希林 120の遺言」という本の表紙で樹木希林が演じていたオフィーリアの写真はまさにこれがモデルだったんだな)ですが、
私はやはりカバネル版の方が好きだったりします。

・ゴヤ / 裸のマハ

裸婦絵画の中でも特に素晴らしいですね。
ゴヤはミロス・フォアマン(「カッコーの巣の上で」「アマデウス」の監督)の「宮廷画家ゴヤは見た」という映画を見ると、その背景が分かって面白いです。

ゴヤは結構ドギツイ絵画(「マドリード、1808年5月3日」や「我が子を食らうサトゥルヌス」など)が多いのですが、
その中で本作品は光彩を放ってます。

・ドミニク・アングル / グランド・オダリスク

ふつくしい……(´д`)
この絵を見た瞬間一瞬で気持ちを持って行かれましたが、
シチュが「トルコのハーレムに仕える女奴隷」という事を知って、
さらに好きになりました。
ヴィーナスや貴婦人を描いた作品ももちろん好きですが、やはり娼婦とか女奴隷を描いた絵画は私は大好きかもしれません。
「脊椎が3つ多い」とか当時は酷評のあった本作ですが、私はあまり気になりません。
同じモチーフでの「奴隷のいるオダリスク」もエロくて素晴らしい。
他の作品、「アンジェリカを救うルッジェーロ」は、
数少ない絵画の世界で女性の拘束が描かれており大好物だし、。
裸婦ではないですが「ルイ13世の誓願」とか「玉座のナポレオン」とかも良いですね。

・ウィリアム・アドルフ・ブグロー / Dawn(夜明け)

ブグローはエコール・デ・ボザール(フランスの美術学校)におけるカバネルの後輩で、彼も「ヴィーナスの誕生」を描いておりこれまた美しいです。
とにかく神話に出てくる美女や天使や少女をエロ可愛く描いた作品が多く、いやー、この人もエロかったんでしょうね笑
ヴィーナスの他神話に出てくる美女や羊飼いの美少女、水浴び前後の美女など様々なエロ可愛い美女や美少女を描いてますが、その中でも特にDawn(夜明け)、Day(昼)、Evening Mood(夕方)、La Nuit(夜)の四連作は傑作じゃないでしょうか。
とにかく裸体も美しいが、まとっている布の質感がまた素晴らしいです。

・エドガー・ドガ / エトワール(踊りの花形)

モネ、マネ、ルノワールと同じく印象派。
バレエの少女達をよく描く画家で、
本作も超有名な一枚。
この作品や「舞台のバレエ稽古」も含めて、
この人の絵画の何が良いって、
バレエ衣装の細かさも素晴らしいんですが、
パトロンがちらっと見える所が良いんですよね。
当時バレエダンサーの地位は低く、
パトロンの愛人になることも少なくなかったという事で、
自分のお抱えのバレエダンサーが頑張っている姿を見て、
「うんうん」と頷いてたりしてるような、
ものすごい想像力を搔き立てられて、
これをモチーフに小説を書けそうな。
超興奮しますなあ。

・フランソワ・ブーシェ / ヴィーナスの化粧(1746年)

いわゆるロココ美術で、エロ可愛い絵画をたくさん描いてます。
とても一つは選べないのですが、
本作なんかはとても好きです。
同じタイトルで1751年版もありますが、
これもまた良い。
あと、「ソファに横たわる裸婦」という裸婦絵画も描いてますが、
これは何が良いってポーズが良い。
なんとなくだらしなく見える下半身のポーズがリアルでめちゃめちゃ好き。

・ヨハネス・フェルメール / 真珠の耳飾りの少女

超有名な本作ですが、
私はこれを萌え絵とカテゴライズしました。

こちらを見る愁いを帯びた瞳、濡れた唇の質感、
いや萌え絵ですよこれは。

同じく超有名な「牛乳を注ぐ女」は、
パンが光ってるのが良いですね。

・ギュスターヴ・クールベ / 波の中の女

クールベは「画家のアトリエ」といった大作、「ノルマンディーの海岸」みたいな風景がも良いんですが、
一連の裸婦絵画も良い。

「世界の起源」とかヤバいですよ。女性器丸出しで。とてもブログに乗せられません。
「白い靴下」もロリータ趣味で良いですし、「泉」の裸体と水の質感も良い。

・ティツィアーノ・ヴェチェッリオ / ウルビーノのヴィーナス

これも裸体が美しいですし、背景も想像力をかきたてられます。
「ダナエ」なんかも良いです。

・ルーカス・クラーナハ / ヴィーナス

それまで裸婦というと「全裸」+「ボインボイン」だったのを、
あえて「ちっぱい」(幼児体形)+「全裸にアクセント」(アクセサリとか全く意味をなさない薄布)という、
今でいうロリな絵を描いた先駆者。
ちょっと顔は怖いですけどね笑
「ヴィーナスとキューピッド」「正義のアレゴリー」「泉のニンフ」なども良し

ちなみにキャッツアイ3姉妹の敵クラナッフって、
このクラーナハ(クラナッハ)から名前もらったのかな?
という事は北条司もかなりのロリということに……

・フラゴナール / ぶらんこ

ブーシェと同じくロココ美術の代表格で、この絵もロリーな娘が無邪気に遊んでる絵のように見えるのですが、なかなか見たまんまの世界ではない訳です。
何かの本では、左の男が何かのアクシデントで転んじゃって偶然少女のスカートの中が見えちゃった、と書いてますが、
山田五郎の本ではむしろ、少女があえて見せてるんだとか。
本来脱ぐはずのない靴下止めに凝る必要はない。やはり外で誰かに見せるためじゃないか。
またぶらんこを揺り動かしてる右の男は身なりから執事というよりもパトロンなんじゃないか。
自分の愛人の下着をあえて別の男に見せているという解釈で、
本当かどうかはわかりませんが、なかなか一筋縄ではいかない絵な訳です。
見たままでも楽しめますが、背景を想像するとさらに楽しめる萌え絵ですね。
他の作品としては「シーソー」や「閂」も好き。

・エゴン・シーレ / 裸体の女

4歳年下の妹をヌードモデルにしてさらに肉体関係もあったんじゃないかという、おいおいけしからんもっとやれな画家で、自分もイケメンでその後も美女とつきあったりする訳ですが、その人生は波乱万丈で、28歳という若さで早逝してしまいます。
この画家の有名な作品は「死と乙女」や「自画像」だと思いますが、この「裸体の女」も、そういう目で見ると何とも言えない味があっていいんですよねえ。この人の絵、最初はピンとこなかったんですけどね。性器も結構描いたりしてて、なかなか挑戦的な画家です。「Kneeling Girl」はポーズが素晴らしい。

・ハーバート・ジェームズ・ドレイパー / Bather

セイレーンを人魚として描いた(それまではハーピー(半分鳥)の姿だった)「ユリシーズとセイレーンたち」で有名なドレイパーですが、この人もまた良い絵を描きます。裸体はもちろん、布や岩や水の質感がとても良いです。「The Kelpie」の夕方の岩の表現なんか素晴らしいですねえ。


はい。という訳で、以上が好きな萌えエロ絵画の紹介でした。

最後に以下はおまけとして、大好きという訳ではないけど、
なんとなく印象に残っている絵画たちです。

ギュスターヴ・モロー /出現

モローは神話やキリスト教をモチーフにした神秘的な絵を描きますが、
本作は「サロメ」を独自の解釈で描いており興味深い。ディティールもすごいです。


ヤン・ファン・エイク / アルノルフィーニ夫妻像

これはまあ、それほど好きな絵画という訳でもないんですが、
後ろの鏡の描き込みはマジで職人レベル。すごい。


パブロ・ピカソ / 泣く女

「ゲルニカ」も含め、やはり訳の分からない絵を描くピカソですが、
「青の時代」と呼ばれる若い時代は写実的な絵を描いてたんですよね。
実力があってこその、訳の分からない絵画という事で、味があります。

余談ですが、ピカソのフルネームはパブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソといい、めちゃめちゃ長いです。


フィンセント・ファン・ゴッホ / 夜のカフェテラス

「ひまわり」や「星月夜」も含めて、まあ、言うまでもなく超有名なゴッホで、
私にはまだピンときてないんですが、
それでもなんとなく味がありますねえ。

ちなみにこの人の人生はなかなか壮絶で、
人物評伝をぜひ読んでみたいところです。


ポール・セザンヌ / リンゴとオレンジ

手塚治虫の「七色いんこ」というマンガで、ゴッホとセザンヌが同列に扱われてたのでなんとなく印象に残ってます。
リンゴの絵ばっかり描くイメージですが、人物画や風景画もたくさん描いてる。


ウジェーヌ・ドラクロワ / アルジェの女たち

「民衆を導く自由の女神」(戦場なのにおっぱい丸出し)で超有名なドラクロワで、結構ドギツイ絵もたくさん描いてますが、本作はなんか味があって好きですねえ。
これもアルジェリアのハレムの側室を描いているということで、やはり私はこういったモチーフが好きかもしれません。


ジャクソン・ポロック / ナンバー1A, 1948

カンディンスキーと同じかそれ以上に「なんじゃこりゃ!?」な絵画(というかアクションペインティング)を描く画家です。
エド・ハリスが監督主演をした映画があるという事で、そのうち見てみたい。


レンブラント・ファン・レイン / 夜警

カラヴァッジョに影響を受けた、これこそ「光と影の魔術師」と呼ばれている画家ですが、
私はそこまでピンときていません。
「テュルプ博士の解剖学講義」とか「布地商組合の見本調査官たち」とか、
まあ面白いモチーフを扱ってるなとは思いますが。


はい。という訳で、
とりあえず今回紹介したかった絵画は以上となりますが、
まだまだ勉強中で、
今後もどんどん好きな絵画が増えそうです。
とにかく絵画の世界というのは奥が深く(というか沼だ汗)、
一度ハマるとなかなか抜け出せなさそうな感じがしています。

とりあえず今回絵画の勉強(?)をして思ったのは、
絵画の世界というのは、
私が今まで教養として得てきた、
歴史や文化、民族学の、
ノンフィクション本や映画、
それと萌え・エロのマンガやイラスト、ラノベ、エロゲなどを
徹底的にインプットしてきた要素が、
これでもかと統括的に結集しているものということですね。

つくづく、良い趣味を見つけたもんだと思いました。

ではまた、好きな絵が増えたらまた更新していきたいと思います。


(追記)
絵画にハマるというのは、忙しい人からするとちょうどいいのかなと思います。
音楽や映画だとどうしても時間芸術なんで、
1つの作品を味わうためには1時間とか2時間とか、どうしても時間がかかってしまう。
本だって時間がかかる。
ゲームなんて言わずもがな(長いのだと100時間とかかかる)。

ところが絵画というのは、極端に言えば1秒で味わえるわけです。

時間がある時はじっくりと細部を味わう。

時間が無いときでも数秒見るだけでも気分が変わる。

普段忙しくして時間の無い人にとって、これは大きい。

ちなみに鑑賞方法なんですが、
なんでもいいとは思いますが、やはり紙がおすすめですかね。

今はネットで拾った画像を、カラーのプリンターでA4に印刷しています。
パブリックドメインになっている昔の作品だと、かなり解像度が高いので、しっかりしたプリンターがあれば、書店で売ってる小さい画集には負けないくらいの精度で印刷ができます。
もしプリンターが無ければカメラ屋さんで写真のような引き伸ばし印刷してもらおうかと思ってました。

ちなみに紙はマット紙か上質紙がいいとおもいます。
光沢紙はどうしてもギラギラしてしまって、写真っぽくなってしまうので。

PCで絵画を見る場合は拡大できるのがいいですね。
特に解像度の高い昔の絵(一辺が2000~3000ピクセルもある)だと、
100%まで拡大すると相当大きくなるわけです。
その絵の細部を見るのがなかなか楽しい。

私はPhotoShopを使っていますが、使いやすいソフトであればなんでもいいと思います。

(追記2)
ゴッホにせよモネにせよ、
西洋美術の巨匠達は少なからず、
浮世絵や日本庭園など、日本の美術に影響を受けていると知ってビックリしました。
別に右寄りの発言をする訳ではないんですが、
日本人である事を誇りに思います。

しかしその浮世絵の中でも特に有名な、写楽「奴江戸兵衛」や北斎の「神奈川沖浪裏」は日本でなくアメリカで所蔵展示されており、日本が所蔵展示していないのが悔しい事この上ありません。

(追記3)

カメラの発明は画家たちに衝撃を与えたといいます。
将棋で言えばAIが名人に勝っちゃったみたいな。
あるいはもうすぐあるかもしれませんが、
ボーカロイドの曲がレコード大賞獲っちゃったみたいな。

機械が人間にとって代わった時、
それでも人は絵を描く意味があるのか。
そうやって描かれてきた絵画が、20世紀の絵画であると思います。
しかし、印象派やシュールレアリスム、フォービズム、キュビズムなどを取り上げるまでもなく、
写実主義の時代の絵画を見ても、
私個人的には、人が絵を描く意味はあると思います。
絵画には画家その人の感情がある。
絵を見ていると、その感情が伝わってくる訳です。
これは音楽や文学と同じように、
作者の感情を味わうというものであると思います。

(追記4)

今回のことをきっかけにいくつか映画を見ました。

確かに面白く、時代背景が分かったのはいいのですが、
どれだけ史実を基にしてようと、
映画というのはやはりフィクション。作りものです。

それに対して絵画というものは、
こと本物を見たとき思うのは、
目の前にあるもの、
キャンバスや絵の具は、
まさにその時代、その場所にあったものであり、
いわゆる文化の化石である、
つまり本物である、
と思うのです。

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