前奏

 NOMELON NOLEMON 1st アルバム「POP」の1曲目「cocoon」

 「私たちが考えるPOPはこれだ」「今後生み出していく音楽はこれだ」という、ユニットの方向性を示す作品の、イントロを担う曲。
そして、僕が思うノーメロの軸になる3曲のうちの1つ。

 cocoonを日本語訳すると「繭」。その名の通り、聴く人を優しく包み込む曲。イントロからアウトロの直前まで、ゆったりとした流れに乗せて、ボーカルの透き通るような優しい声が響く。聴く人が、曲が寄り添ってくれていると感じられる音楽。
 サウンドだけでなく、歌詞にも優しさが溢れている。「きみのためのざつおんがいまなりひびく」という歌詞が一番の象徴だと、僕は思っている。具体的な導きではなくて、抽象的だけど、でも確実に聴く人に前を向かせてくれる歌詞。作曲、作詞、表現、全てが重なって説得力を持たせている。
 お二人の力は不思議だ。

 僕は、アウトロに入った瞬間のギターに、「音に殴られる」という感覚がある。みきまりあ氏の言葉を借りるなら「鼓膜を打ち抜いてくれた。」(POP・LINER NOTES)感覚とも言えると思う。
 はっと目を覚まさせるような音。
 寄り添ってくれていた人が、次に強く背中を押してくれたときのような音。
 一緒に前に進んでくれる曲。




 ノーメロが、ノーメロを聴く人に対して、「聴く人を無視しない音楽を作る」という誓いを立ててくれた曲が「cocoon」だと思う。

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