「オセロー」観劇してきました。

現在、紀伊國屋サザンシアターでやっている文学座公演「オセロー」を見てきました。
ここ最近、僕の観劇は連続で”当たり”を引いています。まぁ僕程度がハズレと言える作品もあまりないのですが、その中でもかなり良かったと思える公演に出会えています。

舞台装置について

舞台後方には1尺程度の段差があり、舞台中央には、天井が付いていて左右の面には不均等にロープが張られている小屋のようなものがある。その小屋の前面と背面には両開きの扉が付いていて小屋ごと回転することが出来る。
舞台奥と上手下手にはビニールの幕のようなものが吊られている。

中央の小屋は公爵の部屋や寝室、部屋への出入口として使われていました。時にはイアーゴーが小屋をぐるぐると回し、オセローが苦悩しながら小屋の中で悶えるシーンがありました。恐らく具体的な建造物としての見立てもありつつ、不均等に張られたロープにより抽象的な何かに囚われるような意味合いを持っている様に感じました。

それよりも考えたいのはビニールの幕について。特にビニールを役者が活用する場面はなく、強いて言うならビニールが風で揺れた時に照明がゆらゆらとして空気が蠢いている様に感じました。
何となく舞台全体にビニールがピッタリと張り付き、纏わり付くような気持ち悪さを感じました。これがイアーゴーの狡猾さによって物語の道筋を支配されてるのを意味しているのかなと思いました。

内容についての感想

・文学座はやはり劇場を大きく使う印象が大きいですね。冒頭でイアーゴーとロダリーゴーがブラバンショーの家に行き、オセローと娘のデズデモーナが結婚すると伝えるシーンでは客席に降りてきて下手の上にある通路にいるブラバンショーと会話をしたり、オセローが影からキャシオーの会話を盗み見るというシーンでは観客の隣で「おい見ろあれを!」など観客を巻き込んでいました。
これにより観客にも緊張感が伝わり、より物語の世界に入り込むことができるのです。文字通り舞台上と客席を地続きにしたわけです。 

・1幕では特に本来その場に居ないはずのイアーゴーが転換をしながらシーンを見ているという演出がありました。これによりイアーゴーが思い描いた通りにことが進んでいるような、手のひらで転がしているような感じがしました。

・1幕2幕に分かれていて計3時間ほどの公演で物語も長く感じますが、オセローは確か3日程度の短い期間に起きた事件の話だったと思います。

当日券あり

当日券もあるそうなので、まだ見ていない方はぜひ紀伊國屋サザンシアターまで行ってみてください。公演期間は6/29~7/7なのでお急ぎを。

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